ID:27426
雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
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■口を封じてしまいましたか
久々に奏でられる着信音。
「まだ仕事中?」
メールの往復は然程珍しく無いが、
声を聞いたのは、
何ヶ月振りになるのだろうか。
「また仕事始めたんだ!」
「おお!そうなのか。」
仕事の出来る喜びと、
新天地での期待感を、
目一杯の明るさで報告してくれた。
そうか?
本当にそうか?
ただ仕事を始めた事を、
わざわざ電話で伝えて来るのか?
久々に電話をくれたあの子に対して。
「まだ仕事中?」
「うん。週末からヨーロッパだし。」
俺はそう、
無意識の内に先制攻撃を放って。
言いたい事を、
伝えたかった言葉を、
あの子の口を封じてしまったのだろうか。
あの間は。
普段と違うあの間は。
「またね!」
そう言って通話を切ったあの子は、
其の言葉の後ろに、
意識的に無言を添えたに違いない。
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References
Jun.23 2002, 「繋ぎの種が必要ですか」
Jun.17 2002, 「元気と分かれば其れで充分か」
07月02日(水)
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