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雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
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■独りだけ遅れているのですか
経験値の高い筈である人間程、
逆に雁字搦めに陥って、
そこには辿り着けないのだろうか。



自身に経験の無い事柄を、
技術と伝聞とで必死に埋めて。
知識と想像とで、
経験を乗り越えようとして。

何度も何度も、
辿り着こうと努力した場所。

あっさりとその場に辿り着いた小さな彼に、
途方も無い力を感じてしまう。





もしかしたら人とは、
生きれば生きる程可塑性を失い続けて、
成長では無く退化を続ける、
そんな生物かも知れない。


垣根の無い柔らかい物が、
隣の異物を飲み込んで溶かし込んで、
また新たな形に変わったかの様に。

小さな彼はもう、
別の姿を獲得出来ているんだ。















貴女が少しだけ我慢をした、
嬉しい報告が、
俺の耳元に届いた。



 「今度来るんだよ。」
 「本当に?!」

 「泊まっても良い?」
 「良いよ良いよっ!」



小さな彼と貴女とで交わされた、
口調は軽いけれど、
中味は重い意味を持つ会話。



俺の存在が初めて、
小さな彼に伝えられた瞬間。

俺の存在を初めて、
小さな彼が容認した瞬間。















貴女は子供の様な人だから。
小さな彼と同じ目線に、
ふわりと降りて行ける人だから。

きっと貴女は、
俺の事を包み隠さず残らず全て、
話しているに違いない。



貴女にとっても、
俺にとっても、
嬉しい事には違いないけれど。

何となく、
取り残された様な想いが、
胸に燻る。
05月14日(水)
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