ID:27426
雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
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■掴んではならぬ腕ですか
声が滞った。
言葉が留った。



 「会った時にゆっくりと話そうね。」



先延ばしと言う唯一の手段に縋り、
一時的にせよ、
事を収めるしか無かったのだろう。

其れ以外の手段は、
気体状の黒い浮遊物の儘であり、
言葉として形作られる工程までには、
至らなかったのだろう。









一度に去来した、
雑多で整合性の無い感情。

話すべき出来事の一つ一つに、
口に出そうとした出来事の全てに、
内包している感情は、
俺の前で勝手に弾けて乱雑に散って行った。


歓びに然り、
辛さに然り、
怒りに然り、
困惑に然り、
寂寥に然り、
混乱に然り、
諦めに然り。



 「出戻っちゃうかも。」



ようやっと眼前に出現した君の肉声は、
俺の行為が、
もしかして逆効果ではないかと主張する。


















必要以上に距離が縮まらぬ様に、
懸命に受話器の間に壁を築きながらも。


君が弱音を吐けば、
俺が弱音を受け止めれば、
君にくるりと背を向けさせて、
背中を軽く押し出せるかも知れないと言う希望が、
見え隠れして。

時折最深部まで手を伸ばして、
君を腕を掴みそうになった。










 「またメールして良い?」



君から発せられた最後の問いに、
俺は肯定以外の何を返せと言うんだよ。












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References
 Apr.18 2003, 「予感は正しいのですか」
 Apr.11 2003, 「歓べないのですか」
 Nov.12 2002, 「救いの神になれますか」
04月30日(水)
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