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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■どうやって「ゆだねる」のか
10日ほど前に、メールで質問をいただきました。返事を出さないまま、日が経ってしまいました。せっかくなので、メールに返信する代わりに、日々雑記のエントリでお答えしたいと思います。

ご質問の部分だけ抜き出します。

> ステップで、行動を神に任せる、という祈りがありますよね。
> これはどういう風に、自分の生き方を定めるという事なのでしょうか?

12ステップでは、ステップ3で自分の「意志と生き方を自分なりに理解した神にゆだねる」決心をします。

ステップ3は「決心をする」ステップですが、決心をした後、具体的にはどのように神にゆだねていったら良いか、という主旨の質問だと理解しました。

決断や決意は心の中で行うことです。だから、ステップ3の決心も心の中で行われるものでしょう。しかし、12ステップは「行動のプログラム」ですから、ステップ3も何か具体的な行動をするのがふさわしいでしょう。ビッグブックでは、p.91に「第三ステップの祈り」が書かれています。「神よ、私をあなたにささげます」で始まる5行の短い祈りです。

p.92では、理解ある人と一緒にこの祈りを口に出して唱える、という行動が提示されています。決心を行動として現わすわけです。

これでステップ3は終わりです。しかし、決心しただけでは「ゆだねる」ことは実現しません。

もし、東大に合格する、と決心しただけで東大に合格できるのなら、はたまた、大金持ちになると決心しただけで金持ちになれるのなら、僕はいくらでも決心するでしょう。しかし残念なことに、決心しただけでは物事は実現しません。決心に続いて、その内容を実現するための努力が必要です。東大に入るためには、決心に続いて受験勉強が必要ですし、金持ちになりたければ努力して事業を成功させなければなりません。結婚だって就職だって、決心だけでは実現しません。

「神にゆだねる」ことも同じです。ステップ3の決心に続いて、ゆだねることを実現するための行動が必要です。それがステップ4から12にあたります。

さて、話を進めやすくするために、この図を見てください。

人生の三つの次元

これは、ジョー・マキューとチャーリー・Pのビッグブックスタディで使われた図を日本語に訳したもので、12ステップの説明に使われます。私たちの人生(life=生命、生活)を三つの同心円で表現しています。

私たちが「自分」と捉えているのは、この図ではグレイのアニュラス(円環)で表現しています。私たちが「心」とか「精神」と呼んでいるものです。

私たちは物質的なもの(金銭や財産)や社会的なもの(人間関係や社会的地位)に囲まれて暮らしています。だからそれらを一番外側の円環として表現しています。

さらに、ビッグブックでは神(あるいは神の意志)は、私たちの一番深いところに見つかる、と書いています(p.80)。だから、神が一番内側に描かれています。

この三つの円を「人生の三つの次元」と呼んでいます。

さて、真ん中にある神は意志を持っています。もちろんグレイの円環である私たちも意志を持っています。つまり「神の意志」と「自己の意志」の二つがあるわけです。ステップ3では、この「自己の意志」を「神の意志」に従わせていく、という決心をするわけです。

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自分の意志を神の意向にだんだんと合わせられるようにするのがAAの十二のステップの目的である。(12&12, p.56)
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内なる神は善なる存在です。しかし、グレイの自己は利己的な存在なので、良い動機を持っていたとしても、「人との間に、あるいは何かのことで、ごたごたが絶えない(AA, p.87)」という生活を送ることになります。だから、自分の意志を神にコントロールしてもらえらえば、うまく生きていけるだろう、というのが12ステップのコンセプトです。

神あるいは神の意志は、僕ら人間に生まれながらにして備わっています。誰もがそれを備えています。だから、そう望むのなら、誰でも、自分の意志と人生を、内なる神にゆだねて生きていくことができます。


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03月28日(月)
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