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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■AAはどれほど有効か
AAに効果があるのか、それともAAには効果がないのだろうか・・・。
「AAに効果がないかも知れない」という話は、AAで回復した人にとっては噴飯物かも知れません。しかし、効果が「ある」か「ない」かは、議論の対象にすべきことです。
AAの有効性について良く言われることは、ビッグブックの「再版にあたって」にビル・Wが書いている言葉です。この「再版にあたって」は1955年に出版されたビッグブックの第2版に加えられた部分で、アメリカでAAが始まってからちょうど20年という節目の年でした。
「AAに加わって真剣に努力して取り組んだ人の半数は、すぐに飲酒がやめられて、飲まない生活を続けることができた。何度か再飲酒をしたがやめられた人は二十五パーセント、残りの人もAAにつながっているかぎり、良いほうに変わり、いろいろな改善が見られた。ほんのちょっとAAミーティングに顔を出して、プログラムが気にくわないと決めつけて来なくなってしまった人は何千人もいたが、そのうちの約三分の二は、後になって戻ってきた」(AA, p.xxv)
すぐに酒をやめられた人が50%、何回かスリップしたけれど最終的に酒をやめた人が25%。あわせて75%がAAで酒をやめていると述べています。これが「50%+25%=75%」という話です。
この文章が書かれてから五十数年が経過しました。どうでしょうか、あなたの周りのAAは75%という回復率を達成できているでしょうか?
「AAで酒をやめる人は数%」なんじゃないか、という話はよく聞きます。良い数字を挙げる人でもせいぜい2割ぐらい。ことによると100人に一人も助かっていない、なんて言う人もいます。AAはメンバーの名簿も作らないし、追跡調査もしないので、正確な数字は誰も知りません。でも、誰の言うことであれ、それなりに実感のこもった数字です。
いずれにせよ75%という数字に比較すると、あまりにも「しょぼい」数字です。するとさっそく原因探しが始まります。いったい何が悪いんだ? 1950年代のアメリカのAAと現代の日本のAAでは何が違うんだ?
あるいは、AA外部の人たちが、クライアントをAAに送り込んでもなかなか酒をやめてくれないので、「AAは役に立たない」なんて言う人もいます。
だが少し考えて欲しいのは、有効性とは何なのかです。
新しい薬を発売する前には、必ず「治験」が行われます。その薬が本当に効くのか(有効か)、また副作用がどれぐらい出るのかなどを確かめるために行う試験です。
治験を行う場合には、その新薬だけをテストするのではなく、比較対象となる薬を用意します。それは効果がない偽薬だったり、あるいは従来から存在する薬だったりします。いずれにせよ、新薬を飲む群と、対照となる薬を飲む群に分け、この二つの群の結果を比較することで、新薬の効果を判定します。
ところで、薬は誰もが真面目に飲んでくれるとは限りません。途中で飲むのをやめちゃう人もいますし、毎日飲みなさいと指示しても、一週間に二回しか飲まない人もいます。これを「服薬コンプライアンス不良」とか「服薬不遵守」などと言います。
服薬してない人が混じり込んでしまうと、データの精度が落ちて結果の比較ができなくなってしまいます。なので、そういう人のデータは集計時に取り除かれることになります。
このように「有効性を議論する場合には、条件を守った人の結果のみ採用して集計したデータを用いる」ということが前提になっています。
AAが効果を上げるには、対象者がAAミーティングに通い続けるという条件があります。AAは一生ミーティングに通い続けなさいとは言っていませんが、回復の初期におけるAAミーティングの必要性はAAの様々な書籍やパンフレットで強調されています。
AAミーティングに通ってこない人には、AAは効果を現しません。しかしミーティングに通うように言われても、途中で出席をやめてしまう人もいます。これは薬で言えば、途中で服薬を止めてしまったのと同じです。「ミーティング出席コンプライアンス不良」とでも言いましょうか^^;
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10月07日(月)
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