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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■日本アルコール関連問題学会岐阜大会の印象(その2)
7月に岐阜で開かれた日本アルコール関連問題学会の大会の感想、その2です。
大会ではシンポジウムや分科会がいくつも開かれており、取り扱うテーマは多岐にわたっています。またこうした学会に限らず、日本国内あちこちで、年がら年中、依存症関係のセミナーや講座がいろいろと開かれています。こちらもやはり様々なテーマを扱っています。
そうした多数のテーマを僕なりに分類すれば、ざっくり二種類。
・共通する問題(コモンプロブレム)
・個別(その人固有)の問題(スペシャルニーズ)
に分類できます。
まず共通する問題についてです。一口にアルコール依存症の問題と言っても、病気を予防する立場からは国民全体のアルコール消費量の低減や未成年者飲酒の予防などの話になります。いったん病気になってしまえば、治療に結びつけるための介入(インターベンション)が必要ですし、治療の現場では断酒を決意させる動機付けや教育が必要になります。断酒の前段階として節酒という目標もありかもしれない、という話を前の雑記でしました。そして断酒が始まれば、再発の予防が必要です。
AAはこのアルコール依存症に対する長い取り組みのうち、その最後尾である「再発(再飲酒)の防止」に取り組んでいるところです。
この一連の流れはすべてのアルコホーリクに共通のものですし、再飲酒は断酒したすべてのアルコホーリクに起こりうることですので「共通の問題」という分類に入れておきます。学会の大会でも依存症に対する心理療法を扱った分科会がありました。12ステップも同じく「共通の問題」を扱うための手段です。
さて次は、もうひとつの個別の問題についてです。これは非常に多岐にわたります。
例えば就労問題です。断酒して就労することを考えます。酒が原因で職を失わなかった人はそのまま働き続ければ良く、仕事を失っても新しい仕事に就ける人はそれで良いわけです。しかし、なかなか仕事に就けない人もいるし、仕事についても続かない人もいます。こういう人たちには就労支援が必要です。
若い頃から荒れた生活をしていたので定職に就いた経験が薄い人や、そもそも学校にすらマトモに通ったことがない人もいます。手に職をつけるために資格を取ったり、通信制の学校で高卒・大卒を再度目指したり・・という就学支援が必要な人もいます。
発達障害や知的障害が疑われれば、評価をして、公的な支援にむすびつけねばなりません。
洗濯・掃除・ゴミ捨て・炊事などの身辺の管理がおぼつかない、中には清潔を維持する習慣すら怪しい人もいますから、集団生活でそれを身につける訓練が必要な人もいます。こういう人が若くしてシングルマザーになったりすると余計大変です。
一番ありがちなのが金銭の管理ができずに(生活保護であれ親族の援助であれ)もらった金をぱっと使っちゃって生活費が足りなくなったりする。こういう人にはお金を預かる金銭管理の支援が必要です。
うつ病やパーソナリティ障害などの精神疾患も、こちらに分類して良いでしょう。
こうして見てみると「個別の問題」は非常に多様であり、一人ひとりに固有のものです。だからこれをスペシャルニーズと呼びましょう。そして、このスペシャルニーズは依存症の問題「ではない」のです(少なくとも共通した問題ではない)。
そこを見極めるには頭を使わねばなりません。例えば就労できないのでギリギリの生活費しかないのに、金銭管理ができないので自分の使いたいことにお金を使ってしまって、生活費が足りなくなる。身の回りのことも十分できない・・そんな人が、男をつかまえて生活費を出してもらおうとか、女をつかまえて身の回りの世話をしてもらおうとか、そういう隠れた意図で異性関係を結ぶのは良くある話です。当然上手な関係が築けるわけもなくトラブルになります。それを異性依存(男性依存・女性依存)などと名付けて、「アルコール依存が異性依存にシフトしましたねぇ」などと言って普遍性を発見したように思っている支援者を見ると、このクソ馬鹿野郎○ね!とか思ってしまいます。
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08月05日(月)
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