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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■目標値(日本のAAメンバー数)
先日のポスターセッションで、日本のAAのメンバー数は5千人前後で、まだまだ量的成長の余地がある、という話をちらりとしたら、「では、目標は何人なんだ?」という質問をその場で頂きました。

え? なんですって? 目標値? 確かに、何かの目標は持たなくちゃならないでしょうが、団体としてのAAはそんなの決めたことはないんじゃないかな。とりあえず「個人的には10万人ぐらいになって欲しい」とか言って、その場を過ごしちゃったのですが、それなりに根拠のある数字を考えとかないとだめですよね。

AAは会員名簿も作らないし、自分がAAメンバーだと言えばその人はAAメンバーなので、正確な人数を数えるのは不可能です。ただ、そうも言っていられないので、それなりに数える手段はあります。オフィスに登録しているグループは年の初めに、代表者やミーティングの情報を書いた用紙をオフィスに送りますが、そこにはグループのメンバー数を書く欄もあります。その数字を積算すれば、登録グループ所属のAAメンバー数は勘定できます。それを元にしたのが約5千人という数字です。

もちろんこれには、ホームグループを持たないメンバーとか、自分はAAメンバーだと思っていてもミーティングに行っていない人は含まれない可能性大ですが、それは仕方ない事だと思います。(その人がAAメンバーだと名乗っていても、AAのほうじゃ勘定に入れてない、ってことが起こりうるって話)。

この数字が現実と乖離しているんじゃないか、という指摘もあります。登録用紙に多めの人数を書いたりして、水増してるのじゃないのか? という疑いです。2007年に関東でサービスフォーラムが開かれたときに、実行委員が全国のグループに直接連絡を取ってメンバー数の正直なところを聞いたそうです。連絡の取れないところは、その周りのメンバーから情報を集めて、そうやって集計した数が約4,500人でした。5年前で4,500人、現在5,000人。調査の方法のアバウトさを考えれば、概ねそんなものでしょう。

で、その5千人を何人にするのが目標か、という数字の話でしたね。

AAがそれなりにうまく機能しているアメリカには138万人のAAメンバーがいます(アメリカ・カナダのAAは一体なので、これは両国を合わせた数字)。
資料はここ、
ESTIMATES OF A.A. GROUPS AND MEMBERS
http://www.aa.org/lang/en/en_pdfs/smf-53_en.pdf
推参の方法は、日本とだいたい同じでしょう。

北米 1380 : 日本 5 (単位:千人)

276倍も違うぜ!

ただし、これは母数の違いを考慮に入れていません。日本とアメリカでは人口も違うし、たぶん有病率も違うでしょう。それを計算に入れないと。

アメリカの有病率ってどれぐらいだろう? と思って「prevalence alcoholism」でググったら、こんなのが見つかりました。
Prevalence, Correlates, Disability, and Comorbidity of DSM-IV Alcohol Abuse and Dependence in the United States
http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=482349

有病率ってのは診断基準によって違ってきますが、この研究ではDSM-IVのを使っています。alcohol dependence(アルコール依存症)の12ヶ月有病率は3.8%(男性5.4%、女性2.3%)、生涯有病率は12.5%(男性17.4%、女性8.0%)。すごい数字であります。さすがは「人口の1割がアルコール依存症になる」とか「誰でも親戚に一人はアル中がいる」と言われるお国柄。

アルコホーリックが多いのは「男性」「白人もしくはネイティブアメリカン」「若くて独身」だとあります。

アメリカの成人人口は2億5千万人ぐらい。カナダにおける有病率のデータは知りませんが、人口が少ない(成人人口2千6百万人ぐらい)なので、アメリカと合わせて、生涯有病率の数字を使ってテキトーに計算すると、アルコール依存症者の数は3千4百万人ぐらいとなります。「アメリカのアル中は3千万人」という数字を他で聞きましたが、だいたい同じ数字になりましたね。


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10月09日(火)
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