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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■ステップ6・7について
年度末で忙しいですが、それでも雑記を更新。

ステップ4・5で棚卸しをすると、次にステップ6・7が待っています。

> 6. こうした性格上の欠点全部を、神に取り除いてもらう準備がすべて整った。
> 7. 私たちの短所を取り除いて下さいと、謙虚に神に求めた。

これは自分の欠点を全て取り除いてくださいと神に求めるステップです。

ビッグブックでは、同じ言葉を繰り返し使わず、別の表現を用いる修辞法が使われています。だから、ステップ5では「過ち(wrongs)」、ステップ6では「欠点(defects)」、ステップ7では「短所(shortcomings)」と違う言葉が使われていますが、すべて同じものを指しています。

どうやってステップ6・7に取り組んだらよいか、という質問を受けることがあります。しかし、ステップ6・7は極めて単純なステップです。ちゃんとステップ4・5で棚卸しができていたなら、それによって自分の欠点短所が明らかになったはずです。そして、

「もう、こんな自分ではいたくない」

と思うようになったはずです。変わりたいという願望です。

そうならなかったならば、ステップ5が不十分だったということでしょう。ビッグブックでも、ステップ5が終わったときに、それまでの5つのステップが手抜き工事になっていなかったかチェックするように提案されています。

ステップ6・7は意欲を持つステップです。

12ステップは全体に「意欲→実行」というプロセスが並んでいます。ステップ1はまさに回復への意欲を作るステップです(動機付け)。そしてステップ3で行動を起こす決心をし、実際にステップ4から実行していきます。

ステップ6・7でも「変わりたい」という意欲を持ちます。つまり、ステップ5で明らかになった短所を取り除きたいという意欲です。実際にそれが取り除かれていくのは、この後のステップです。

埋め合わせのステップ8・9でも、埋め合わせする意欲を持つステップ8があり、次に実際に埋め合わせを行うステップ9の順になっています。

ステップ6・7はスコップのような単純な道具だと言われます。ビッグブックでもわずか1ページしか割かれていません。使い方は難しくはない。ただ、そのスコップを使うか使わないか、それは私たち次第です。

実際には私たちは「すべての短所を取り除いて欲しい」と願うのは簡単ではありません。中にはなかなか手放せない欠点・短所もあるからです。

実際に棚卸しをやってみるとわかりますが、例えば40才の人というのは、その人の短所を抱えたまま40年生きてきてしまったわけです。その短所を人生の早いうちに手放せていたとしたら、その後はまったく違った人生を歩めていたことでしょう。もちろん過去に戻って人生をやり直すことはできないのですが。

旅の途中で道を間違え、その間違いに気づかないままずっと旅してしまい、気がついたらもう戻れないところまで進んでいた・・というような気分です。

そうした自分の人生の虚しさや、妙なこだわりを手放せなかった自分の愚かさに気づくと、人は打ちひしがれた気分になります。今さら違う自分になろうとすることは、過去40年の自分の人生を否定することにつながる・・そう感じてしまうのは、まさに病んでいる証拠だと思うのですが、まあそう感じてしまうものです。

欠点のある自分が自分であって、それを手放したら自分ではなくなってしまうような気になります。そうなってしまうと、当然回復は止まり、逆方向へと向かってしまいます。

ステップ5で明らかになる以前にも、今までだって自分の欠点短所に気づかなかったわけじゃありません。でも、うすうす気づいても、自分を変えることはできなかったのです。チャンスはいくらでもあったはずなのに。それほどまでに、自分で自分を変えることは難しいのです。

だからこそ、ステップ6・7は、自分で自分を変える決意をするステップではなく、自分より大きな力である神に、欠点を取り除いてくださいとお願いするステップになっているのだと思います。


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03月28日(水)
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