ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■「ご存じでしたかAA」
アルコホーリクス・アノニマスは、以前にはどうしようもない酔っ払いであった連中が企画し運営している仲間の共同体である。

仲間の資格は“もう飲めない”ことと、やたらとわけをきかないことである。この共同体には規則もなければ会費や月謝のようなものもない。そういった目に見える組織は何もないらしいのである。ミーティングでスピーカーになった人は、一つのことから出発して全く違うことがらへと語り進み、しまいに、“このプログラムは効く”ということのほかには自分はほんとうになにも知らないという。

グループは絶えず破産しているのに、いつも金があるらしい。

こなくなる仲間がいつでも出るのに絶えず成長しているらしい。

人々は、AAが利己的なグループだと言うけれども、いつも他人のためになにかしているようにみえる。どのグループも掟や規則、布告や決定を破る。みんな気楽にそういうものを無視する。何か気に入らぬことがあったら、いつでも怒って去る権利がある。―――同時に何事もなかったような顔で立ち戻り、何事もなかったように迎えられる権利もある。24時間以上先の計画は何もない。それで偉大な計画が生まれ素晴らしく続いていく。AAには規則書にのっとったことは何もない。

―――どうして続いて行けるのか?

たぶんわれわれが自分のことを笑えるようになったからだろう。神は人間を笑うものにも造ったのだ。
たぶん神はわれわれの努力を喜ばれ、誰かがまちがったボタンを押しても、すべてよいようにして下さるであろう。
神はたぶん、われわれが完全であることより誠実であることを喜ばれる。たぶんわれわれが他の何者でもない、われわれ自身であろうと努めることを喜ばれるであろう。
どういうわけか、それは知らないがこれは効く。仲間は皆AAの投資信託から配当を受け取り続けている。

飲まないで生きるために、こいつが賢いやり方なのだ。

「ご存じでしたかAA」 from BOX-916 '95/10 (BOX425, Norris)

06月04日(金)
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