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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■翻訳企画:AAの回復率(その9)
初期のAAメンバーたちは「リハビリ」センターや「デトックス(解毒)」センターのようなところでの治療プログラムの開発の多くに直接関与したのであるが、現在ではそれらは「協力すれども従属せず」の精神で運営されている。それらの施設はAAから完全に分離された。施設の重要性は、今日のAAメンバーのおよそ1/3が、彼らが最初にAAにつながった重要な要因の二つのうちのひとつが「治療施設」であると述べていることからも分かる。30
30. 「2004年AAメンバー調査(2004 AA Membership Survey)」c AAWS, Inc. によると、31%のメンバーが治療施設を挙げ、別の8%は相談機関を挙げている。
では現在のAAも同様の成功率を上げられるだろうか?
サブマリン・ビルともう一人のAAメンバーは、インディアナ州オセオラ(Osceola)において、優れたAAミーティングでの研究を行った。そこでは、古い時代のAAのやり方と手続きに従っていた。過去12年以上にわたって、毎週木曜日の晩のミーティングにまる1年間(ほぼ)欠かさず出席していた新人の90%は、その年に飲酒をしなかった。さらに、その年に飲酒しなかった者の90%は、その後に他の地に移って他のAAミーティングに行くようになった人も含めて、現在も断酒を続けている。このやり方で、約80%の成功率が達成できたことになる。
調査を行った二人の人物は、ミーティングに比較的少ない回数しか出席せず、その後に脱落してしまった人たちをまず初めに除外したが、それは彼らが真の動機を持っていなかったからだと説明している。彼らを除けば、最初の1年の内にミーティングに行かなくなった人は少数である、としている。
ひとつの課題は、多くのアルコホーリクの候補者が当然に示す「否認」や抵抗を、AAの回復のメッセージがどう乗り越えていくか、を示すことだ。候補者たちが十分長く留まれば、彼らは最終的には「納得する」のである。上に引用した成功例は、候補者達がAAの回復のプログラムに「真剣に取り組めば」何を成し遂げられるかを明らかにしている。
ビル軍曹は彼の本の中で、初期の頃、アクロンの周囲地域には、良好なAAグループも、下手(poor)なAAグループも存在していたことを説明している。彼は1940年代にアクロン市近くにあったあるグループが、新しい人を手助けすることにひどく失敗していたことや、助けられたはずの人たちのほとんどに失敗していた理由を明らかにした。
事前選択を行って、AAミーティングからある種の人々を排除することは道徳上のジレンマを引き起こす。
・基準をあまりに高くしすぎると、ときにメンバーたちは、プログラムに取り組める候補者の一部についても、一緒に取り組むことを拒むようになってしまう。それは、その人たちに悲惨な運命を、時には死刑を宣告するのに等しい。
・基準をあまりに低くしすぎると、(シスター・イグナチアが強調したように)モラール(士気)が低下してしまう可能性がある。そのことは、プログラムに取り組めるアルコホーリクたちを、結局は失敗に導き、同様に(死刑)宣告をするのに等しくなってしまう。
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(続きます)
02月03日(火)
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