ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■翻訳企画:AAの回復率(その8)
セクションe)の後半です。
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AAの失敗についての主張を検証する:
世界的な規模で、アルコール乱用と依存による結果は厳しい状況にある。2003年にはアメリカ国内で1,700万人の候補者がアルコール問題の手助けを必要としていた。状況を説明すると、「助けを必要とする人たち」はAAミーティング会場のドアをくぐるか、AAメンバーの訪問を受ければ良いわけであるが、断酒と回復を達成するためにはその人が「助けを求める」必要があることを意識しなければならない。
AAはその始まりの頃から、AAミーティングにやってきた人の60~80%は真剣にAAに取り組んでみようとはしなかった。彼らは調査の対象とはなったが、(AAに)加わることをしなかった。彼らは興味を持たなかったか、AAで手助けが得られることに気がつかなかったのだ。また、AAの中に解決を求めない人たちの中には、人生が手に負えなくなったという彼ら自身の状態を認めることができないか、あるいはそれを認めることを嫌い、それについて何とかしようという意欲を持てない、という特有の特性を備えた人たちもいる。
こうした特性や潜在的な(対象)人数を考慮すれば、AAミーティングにやってきた人やAAメンバーが接触した人の一部しかAAで成功しないのは意外ではない。問題を抱えた対象者の中でも、助けを拒む、あるいは助けに抵抗するという特性を持ったセグメントを手助けしようという、うんざりするような挑戦をAAは行っているのである。
この対象人数の多さによって、(過去においても現在においても)AAの有効性を否定できるものでもないし、(現在の)AAの失敗を証明するものでもない。この数字は、アルコール問題の苛烈な結果に直面してもなお解決を求める意欲を持たずかつ非協力的な候補者たちを手助けする、というAAの使命の困難さを示しているのである。
時に「否認」とか「挑戦的姿勢」と呼ばれる不健全な特性によって、アルコホリズムはよりいっそう破壊的なものになっている。これにより、候補者自身がアルコホールの問題を抱えていることを認め、十分実績のある解決を受け入れることが、AAの最初のステップの中核的な原理であるとされている(「私たちは自分がアルコホーリクであることを心の底から認めなくてはならないことを知った」)。23
23. ビッグブック第3章「さらにアルコホリズムについて」45ページ
ある人々は他の人たち(例えば家族、友人、医師、看護師、聖職者、法律家)あるいは制度(例えば職場、治療施設、法制度)からの圧力を受けてAAにやって来る。とはいえ、AAへの出席を強いられた人たちもともかく酒をやめる。
断酒とはまったく関係のないことを解決したがる人たちもいる。そうした人たちの多くは、AAミーティングに何回か顔を見せた後には、もうミーティングに出るのをやめてしまい、AAを試してみようとはしない。さらに加えて、飲酒の経験を持たないドラッグ・アディクトの増加、裁判所の命令や職場の命令によって非自発的にやって来るたくさんの人たちがAAミーティングに出席し、こうした数字をもたらすのである。
・AAにやってきた人の20~40%は酒をやめたいと願っている。彼らは、それ以前に何百万人が試してうまくいったやり方を試してみるだろう。彼らはAAのビッグブックが「回復に必要な核心」だとし、さらに、「これらなしに、回復はありえない」と強調しているもの、すなわち意欲、正直さ、開かれた心を、最初から備えてきたか、あるいは後になって培う。24
24. ビッグブック 付録U「霊的体験」p.268(ポケット版)
・ビル・Wその他が主張している50%+25%の回復率は、この「真剣に努力して取り組んだ」20~40%の人たちだけに当てはめられうるものだった。ビル・Wはこの限定条件を強調するよう務めていたが、それはしばしば曖昧にされ、また無視された。
・努力して取り組むことのなかった60~80%はAAの失敗ではない。AAに費やした努力がゼロならば、AAから得られる結果もゼロであるのは単純な常識である。これはAAの有効性の問題ではなく、候補者がAAを信頼して、AAの回復プログラムに対して努力できるかどうかの問題である。
主張の根拠と引用について検証する:
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02月02日(月)
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