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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■AAを統治するもの
しかしAAメンバーにも、AAグループにも「見えない強制力」が働いています。その強制力とは「ボトルの中に隠れてやってくるもの」(『ビルはこう思う』134)です。AAメンバーは、12のステップに象徴されるAAの回復の原理から極端に外れればやがて飲んでしまうでしょう。同じように、AAグループはAAを一つの共同体に保っている一体性の原理(12の伝統に象徴される)におおむね従っていかなければ、存続していくことができません。もし、グループがばらばらに分解して存在をやめてしまったら、その支えを失った多くのメンバーは再び酒に戻ってしまうでしょう。AAにいる誰でも、極端に自分勝手なことをすれば、アルコールによる報いを得る可能性があります。
このような強制力があるので、AAには個人を罰する仕組みは必要ない、というのがAAを作った人たちの考えでした。(だからこそ、そうした強制力が働かないアルコホーリクでない人がメンバーがAAに加わっては困るとも言えます)。
12の伝統の1番目では「全体が優先される」とあります。伝統1の「全体を優先する」ことと、伝統4の「グループの自治権」は時に相反します。12の伝統は何番が何番に優先する決まりはありません。だから、相反した場合には、どちらが優先されるべきか「個別のケースごとに」よく考えて判断しなければなりません。
個別のケースごとに判断が必要なるのであれば、それをルール化することはできません(ルールというのは個別判断が要らないように作るものですから、個別判断が必要ならルールは作れません)。追加の献金が必要だからと各グループに献金額を割り当てることもできません。この本は使ってもオーケーで、この本はダメとかも決められません。そうしたルールを決めて、盲目的にそのルールに従うのではなく、一件一件のことについて、頭を使って考えることをAAプログラムは一人ひとりに要求するのです。
AAは人によって統治されているのではなく、ルールによって統治されているのでもなく、原理によって統治されているのです。
人によって統治されているのなら、自分の頭で考えなくても、その統治者の判断に従えば良い。ルールによって統治されているのなら、自分の頭で考えなくても、そのルールにただ従うだけで良い。けれど、原理によって統治されているのであれば、毎回自分の頭で考え、自分で判断しなければなりません。自分で判断することなのですから、もし結果が悪かったとしても、誰を責めるわけにもいきません。
ルールではなく、原理を求めて下さい。
09月19日(木)
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