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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■人は行動する前にまず信じる
AAがオープン・ミーティングをやっているのは、まだ酒をしっかりやめられていないアルコホーリクやその家族に回復の実例を見せる、という目的も含まれています。(だから、オープン・スピーカーズ・ミーティング(OSM)などのAAイベントには積極的にAA以外の人を招き入れる工夫が必要なのですが、その話は別の機会に譲りましょう)。
僕は時々、依存症者のご家族から「どうしたら良いか」という相談を受けることがあります。この場合の「どうしたら良いか」は、依存症者本人に「何をやらせたら良いか」という意味です。それは、グループのミーティングに通ったり、医者に行ったりすれば良いでしょう。問題なのは、ご本人がそうした行動を取りたがらない場合です。
その場合には、本人を治療に結びつける努力が必要です。その努力の多くは家族が担わざるを得ません。しばらく前までは、本人の底つきを促すためには「家族は手を出さずに何もしない方が良い」と言われていたのですが、最近ではジョンソン式介入やCRAFTなどの「家族がすること」が日本に紹介されつつあります。つまり家族に行動が求められることになります。
上に述べたように、行動に先立ってまず「信じる」ことが必要です。それは「私の愛する人が、酒や薬をやめて立ち直れる」と信じることです。「そうなって欲しいと願う」ことと、「そうなるという結果(あるいは可能性)を信じる」ことは別物で、この二つには隔たりがあります。
だから本人が行動を取りたがらない場合には、家族の人が「AAのオープンミーティングや断酒会に行かれたらどうですか?」と勧めています。もちろんアラノンも役に立つでしょう。依存症のジャンルが違えば別のグループを紹介すれば良いことです。
酒をやめるのは本人なのに、なぜ家族がミーティングに通わなければならないのか? という疑問に出会うこともしばしばです。家族自身の回復のためという理由もありますが、家族が「行動」を起こすためでもあります。家族から本人に何らかの働きかけをするにしても、その行動を続けて行くには「信じる」ことが必要なのです。信じる気持ちを持ち続けるためには、回復の実例を見聞きし、同じ目標を目指す人たちと一緒の時間を過ごすことが役に立つのです。
信じる気持ちを持てない家族は(本人同様に)現状維持を選びます。しかし依存症に現状維持はありません。徐々に悪くなっていくのを傍らで見守ることになります。
依存症が放っておいて自然に良くなることは滅多にありません。回復のためには行動が求められます。そして人の行動には、それに先だって結果(あるいは可能性)を信じる気持ちがある。だから、まず信じることが大事です。信じることができないのなら、まず自分が「信じるようになれる」ことを信じなくてはなりません。
それほどまでに「信じる」ことは重要なのです。
08月28日(水)
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