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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■信じることについて
誰もが今自分がいる場所から出発するしかありません。長野にいる僕が旅行を始めようと思ったら、ニューヨークから始めるわけにはいきません。今自分がいる場所からです。「信じる」と言うことについても同じです。誰もが今の自分の理解から始めて、それを深めていくしかありません。

ステップ2で必要なことは、その「自分に理解できる、自分より大きな力を持った神さま」が、自分のアルコールの問題を解決できる能力も備えている、と信じることです(自分を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じる)。

だから12ステップが信じろと言っている神は、あなたがすでに信じている神さまです。それは周りの人が聞いたら眉をひそめるようなものかも知れませんが、それ以外のところから始めることはできないのです。それは、マイ・ゴッドであり、私のハイヤーパワーです。ビッグブックでも a higher power とか a god という表現があります。これは人それぞれに神があることを示しています。

そして、先のステップへと進んでいけば、それつれて理解は広がり深まっていくでしょう。ステップの効果が出て、神との自分との間の障壁が取り除かれるにつれ、自分の信じる神と、他の人の信じる神と違いが問題ではなくなっていきます。ビッグブックには Creator(宇宙の創造主)とか Father(父なる神)という表現がありますが、そうした「とうてい手の届かないものにしか思えなかった多くのこと」も受け入れられるようになっていきます。そうした、他の人の信仰に対して理解が及ぶようになるのも、霊的なめざめの一環でしょう。

ビッグブックを書いた最初の100人のうち半分は無神論者あるいは不可知論者だったそうです。無神論者というのは、神を信じないのではありません。彼らは無神論という神を信じている、と言われるように、「神が存在しないことを証明できる」と信じている人たちです。(だから日本には無神論者はほとんどいないでしょう)。そんな彼らもやがては信じるようになり、何かの宗教の信徒になることを好むようになったとあります。(宗教に入るかどうかは、その人それぞれの選択ですが)。

12ステップの実践も、霊的な事柄への理解も、今自分がいるところから始めて一歩一歩進んでいくしかありません。12ステップは「この神を信じなさい」とは言いません。けれど、あなた自身が、すでに何らかの神を信じている、ということは信じなければ始まりません。あくまで自分の力、自分の意志の力で酒をやめていこうというのなら、ステップ1の無力を認める以前の段階なので仕方ありませんが、ステップ1がきちんとできた人には、ステップ2はまったく難しくないことだと思います。

12月25日(火)
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