ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■自助ではなく相互援助
今年も1年ありがとうございました。
Webalizerの出力データ(12/31 23:00現在)。
今年一年の統計データ
送出バイト数 225.0Gbytes
訪問者数 85万4千
リクエストページ数 932万
リクエストファイル数 1,067万
リクエスト数 1,143万
今年も多くの皆さんに訪問していただいて、本当にありがとうございました。
一日の訪問者数については、近年雑記の更新頻度が下がったため、1,700/日ぐらいまで落ちていたのですが、(理由はハッキリとはわかりませんが)今年の後半になって増加し、3,000/日を越えています。(ieji.orgドメインではないブログへのアクセス数はこの数に入っていません)。
今年は「心の家路」が10周年を迎えた年でした。
この10年の間に、僕の考え方もずいぶん変わりました。それが「家路」にすべて反映されているわけではありません。中には10年前に書いたものがそのまま残されている部分もあります。
例えばこのサイトには「〜アルコール依存症からの回復と自助グループの勧め〜」という副題が付いていますが、僕はもはやAAを始めとした12ステップグループが「自助」グループだとは思っていません。
自助グループとは self-help group を訳した言葉です。20世紀の後半に「同じ問題を抱えた人たちが集まって、お互いに自分の経験を話す」というグループがたくさん生まれ、それに対してセルフ・ヘルプ(自助)・グループという名前が与えられました。自助グループには専門家はおらず(専門的な援助はむしろ否定される傾向があり)、同じ立場の人同士で、人の話を聞き、自分の身の上の話をすることで傷ついた自己イメージを修正し、問題を乗り越えていくとされています。
不幸だったのは、AAが自助グループの先駆的存在であるとか、代表的存在であると見なされてしまったことです。AAが自らを自助グループと名乗ったことは無いはずなのですが、外部の人たちがAAを自助グループに分類することで、「AAが自助グループである」と考える人がAAの中にも増えていったのだと思います。
そして日本では、1980〜90年代に自助グループ・ムーブメントとでも呼ぶべき運動が起こり、多くの「自助グループ」が誕生しました。その中には12ステップを使ったグループもあれば、使わないグループもありましたが、どちらも同じ自助グループというカテゴリに入れられました。あの当時、12ステップグループが自助グループであることを疑う人はおそらくいなかったでしょう。
僕も、医師から自助グループを薦められ、AAと断酒会の二つからAAを選びました。だから、AAが自助グループだと信じて疑いませんでした。それは多くの人たちも同じだったでしょう。日本のAAからも、AAを自助グループと紹介する文章が結構たくさん発信されたはずです。
12ステップグループは自助グループではない、という意見に接したのは2007年でした。self-help という言葉に代えて mutual aid group (相互援助・相互支援)という言葉が提唱されていました。なぜ「相互援助」なのか、その理由が分かるには、12ステップに対する自分の理解が深まる必要がありました。
AAのビッグブックの第1章「ビルの物語」には、エビーがビルを手助けする(支援する)様子が描かれています。また、「ドクター・ボブの悪夢」と第11章にはビルがボブを手助けする(支援する)様子が書かれています。11章の続きには、ビルとボブが3人目、4人目を見つけて助けていく様子も書かれています。
彼らが手助け(支援)をするのに使った道具が12ステップ(の原型)です。つまり、12ステップというのはAAが誕生した後で成立したのではなく、最初に12ステップ(の原型)があり、それを使って人を支援することを目的にAAが作られたのです。
「相互」支援とはいうものの、ビルとボブの立場は対称ではありません。ボブは「受け取ること」で助かり、ビルは「手渡すこと」で助けられています。この非対称性というのも12ステップグループの特徴なのでしょう。この一対一の関係を抜きに12ステップは語れません。
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12月31日(月)
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