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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■AAミーティングはバイキング料理?
スポンシーにとってみれば、スポンサーの言うこと(考え方)は間違っているようにしか思えませんが、つきつめれば、それは「嫌いだから食べたくない」ということにすぎません。

偏食で身体が不健康になった人は、自分のことを好きになれないものです。偏った食事のせいで、太って、顔色も肌も不健康になり、おしゃれな服が似合わなくなった自分を好きになるのは難しいものです。その人は例えば野菜は好きじゃないかもしれず、食べたくないと思うかも知れません。しかし、努力して野菜とかミネラルの豊富な食事を摂るようになったとすれば、バランスの取れた食事のおかげで、やがてその人は痩せ始め、顔色や肌が健康になり、服も似合うようになる・・・。つまり以前より自分を好きになるし、自分を変えてくれた野菜を好きになります。

考え方にも同じ事が起こります。最初は反発していたスポンシーも、しぶしぶ新しい考え方を取り入れるにつれ、次第にそれが好きになっていくものです。自分の精神を健康に戻し、人生を立て直してくれた考え方なのですから。これはスポンサーから押しつけられた考え方だ、などという意識は消えてなくなり、最初から自分がそういう考え方を持っていたぐらいの気分になるようです。

ミーティングに出ているのに酒が止まらないとか、酒は飲んでないけれど回復した気がしない、という人もいます。そういう人には、スポンサーを持っているのか聞き、いないなら誰か探せと言います。スポンサーがいるのにうまくいかないなら、提案に従ってみろと言います。

このように、ミーティングとスポンサーシップは両立し、バランスが取れていなければならないのだと思います。どちらかに偏るとロクなことがない。

先日AAのラウンドアップに参加したら、ずいぶん遠方から来られていた人たちと話す機会がありました。彼らの地元のAAでは、スポンサーシップがほとんど存在しないのだそうです。なので、ずいぶん遠くまでスポンサーを求めたという話でした。

1970年代に東京で始まった日本のAAは、全国に広がりました。しかし、広がったのはミーティングという形式だけかもしれません。一対一のスポンサーシップは伝えるのが面倒ですから、全国に広がる過程で軽んじられ省略されてしまったのではないかと心配しています。ミーティングとスポンサーシップというのはAAの両輪なのですから、ミーティングだけだと片輪走行になってしまい、ふらふらと安定しません。

「持ち帰りたいものだけ持ち帰れ」という話だとか、「ミーティングだけで回復する」という話が混じってくるのは、AAのプログラムが他のもので薄められたということかもしれません。

10月15日(月)
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