ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
[218285hit]

■伊藤君
うちのバイトに伊藤君という大学生がいる。
昼食時に彼と話していたのだが、途中で彼の携帯電話が鳴った。
「おい、電話が鳴りよるぞ」
「ああ、これメールです」
「お前、聞くところによると、メール魔らしいのう。一日何件ぐらいメールしよるんか」
「多い時で50件ぐらいですかね」
「50件?!」
「多いですかねえ」
「多いわい」
「でも、メールしなければ友だちが減るようで寂しいじゃないですか」
「お前、メールでしか友だち付き合い出来んとか。まあそれはそれとして、そんなにメールしよったら、他に何も出来んやろ?」
「他にすることないですから」
「帰ってから本を読んだりせんとか?」
「本はマンガしか読まないです。マンガは白けるじゃないですか」
「じゃあ、テレビは?」
「嫌いです」
「ところで、携帯に月なんぼ払いよるんか」
「少ない時で2万円、多い時で7万円です」
「7万!?」
「でも、親が払ってくれますからね」
「お前、携帯代を親に払わせよるんか?」
彼はいかにも当然という顔をして、「はい」と言った。

ぼくもけっこう携帯を使うほうだが、それでも多い時で2万円程度だった。
最近は携帯で電話することも少なくなったし、頻繁に使うiモードも、FOMAに変えたため通信料がかなり安くなり、ドコモに支払う額は毎月だいたい7千円程度である。
「ぼくの学生時代に携帯電話があったとしたら、そこまで携帯電話を使うだろうか」と考えてみた。
そして、「使うより以前に、携帯を持たないだろう」という結論が出た。
学生時代のぼくはへそ曲がりだったから、「みんなが携帯を持っているから、持つのは嫌だ」と言って、持たなかったにちがいない。

さて、伊藤君である。
「お前、携帯のことを、ホームページに書いていいか」と、ぼくは伊藤君に聞いてみた。
「書いてどうするんですか?」
「いろんな人の意見を聞いてみたいけの」
「別にかまいませんよ」
「じゃあ載せる。で、実名で書いていいか?」
「どうしてですか?」
「イニシャルで書くとI君になるけど、I君じゃけっこうパソコンで見にくいけのう」
「いいですよ。どうせ、知らない人が読むんでしょ?」
「いや、この店の人も読むよ」
「それは困ったなあ」
「おれは困らんけ、書くぞ」
「好きにして下さい」
ということで、彼の承諾をもらって、実名で書くことが決まった。

ところで、『いろんな人の意見…』は口実である。
「世の中にはこういうバカな学生がいる」ということを教えたかったのだ。
いったい彼は、将来どんな人間になるのだろう?
それに、親は彼が就職してからも、携帯代を払ってやるのだろうか?
以前、マンガ『人間交差点』で、親から勉強したご褒美として2000万円のカードをもらい、殺人事件を引き起こした学生の話を読んだことがある。
彼もそうなるのではないか、と余計ながら心配している。
01月26日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る