ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■人気者で行こう!
 「秋なりき」
 かの鎌倉の茶番劇は楽しかりき
 北鎌からの道々
 ふり向くと皆茶番を演じ
 たまに世辞笑いを見せにけり
 白々しき笑いの続きけり
 ああ、楽しきかな
 かの北鎌から続く道々
 皆世辞笑いを浮かべけり

これを書いたのは昭和53年だから、もう24年前のことになる。
日付は11月6日になっているが、ここに書いていることは、前日5日のことである。
その日の午前、ぼくたちは東京駅から国鉄横須賀線(当時)に乗り込んで、鎌倉へと向かった。
ぼくたちのグループと、当時はあまり親しくなかったグループとの合同の小旅行だった。
当然、そのグループのことをよく知らないから、どうしても自分のグループで固まってしまう。
かと言って、毎日顔を合わしている仲だから、目が合えば、つい作り笑顔を浮かべてしまうことになる。

北鎌倉駅で降り、茶店で和菓子と抹茶を注文した。
もちろん席は別々である。
グループの代表同士が、「どういうルートで行こうか」などと話し合っている。
結局、そこから寺回りをしながら、鶴岡八幡宮まで歩いて行くことになった。
ゆっくりと歩いて行った。
ゆっくりと、というよりは、トボトボと言ったほうがいいかもしれない。
なぜなら、彼らがいると思うと、何か荷物を背負っているようで、重苦しく感じたからである。
もちろん、グループごとに分かれて歩いている。
途中コミュニケーションも何もない。
時々、お互いの目が合うと、ニヤッと作り笑顔を浮かべるだけである。
ぼくが「何か白けるのう。おれたちだけで来ればよかった」と友人にこぼすと、友人も「そうだね」と相槌を打っていた。
ぼくは、その当時は、かなり人見知りする人間だった。
だから、特に白けていたのかもしれない。
友人は相槌は打つものの、別にどうでもいいという感じだった。

さて、白けたムードで東京に戻り、翌日彼らと会った。
お互い「昨日はどうも」と言いながら、また作り笑顔である。
ぼくは、東京にいる間、この人たちとは友だちにはなれないだろうと思っていた。

ところが翌年、ぼく一人だけが、彼らと急接近することになる。
たしかに、鎌倉に行った当時のグループが崩壊していたこともあった。
しかし、何よりも大きかったのは、ぼくの性格だった。
人見知りだと勝手に思っていたのだが、考えてみると、ただ人の中に溶け込むのに時間がかかるだけの話である。
「安っぽい付き合いはしたくない」という理屈付けはしているものの、根は「人気者で行こう!」なのである。
前のグループの人間からは、「おにいさん、最近付き合いが悪くなったね」と言われたが、そういう自分の性格に気づいたぼくは、もう止まらなかった。
気がついたら、そのグループの中心にいた。
そして、さらにグループの輪を広げていった。

さて、今日ぼくがこんなことを書いたのには理由がある。
実は、明日までに、自己申告書を会社に提出しなければならないのだ。
その自己申告書の中に、『自分の性格』を書く欄があるのだが、そこでいつもつまずいてしまう。
特に自分の性格を振り返ることもないので、だいたい「温厚、誠実」などと心にもないことを書いてしまう。
今年は気の効いたことを書いてやろうと思い、ちょっと自分の性格を省みたわけである。
ということで、今年は、「根は『人気者で行こう!』です」と書こう。
11月04日(月)
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