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頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■我が良き友よ
「ああ友と よき酒を 時を憂いて飲みあかしたい
 今も昔もこの酒つげば心地よし」(詞 吉田拓郎『我が良き友よ』より)

確か高校の卒業アルバムに、この歌詞が載っていた記憶がある。
ぼくは、数ある拓郎の歌詞の中でも、ここの部分が一番好きである。
また、いつも秋になると、この歌のこの歌詞が、頭の中で鳴っている。

高校時代、一番楽しかったのが、2年の秋だった。
おそらく、高校時代のすべてが、この時期に集約されている。
運動会が終われば、真面目に参加しなかったにもかかわらず、打ち上げキャンプをやり、修学旅行が終われば、反省会(何の反省か?)をかねた打ち上げキャンプをやった。
キャンプはいつも、学校の裏にある皿倉山(北九州市のシンボル的山)の中腹でやっていた。

最初のキャンプは、10月の頭だった。
テントと酒だけを用意して、各自好き勝手なことをやっていた。
酒が好きな人間は酒を飲み、バイク好きな人間はバイクを転がし、説教好きな人間は説教していた。
ぼくはといえば、ギターを弾きながらガンガン歌っていた。
あの時歌ったのは、拓郎の一連の歌や、陽水の『断絶』『東へ西へ』『能古島の片想い』、泉谷しげるの『春夏秋冬』『おー脳』などだった。
声を張り上げて歌っていたせいで、2,3日声が出なかった。
また、タバコを覚えたのもこの時だった。
初めて吸ったタバコは、ハイライトだった。
初めて吸った時に、倒れたとか吐いたとか、人はいろいろ言っていたが、ぼくの場合、酒が入っていたせいか、まったくそんなことはなかった。
ただ、味はなかった。
タバコのおいしさを知るのは、それから3年後である。

そういえば、修学旅行の打ち上げキャンプは、11月2日3日だったと記憶している。
ちょうど今日のような寒さで、震えながら酒を飲んだのを覚えている。
さすがに初回の運動会の打ち上げほどには人は集まらなかったが、楽しかった。
この時もぼくは、ギターを弾いてガンガン歌っていたのだが、何よりも楽しかったのは、みんなと話せたことである。
教室では聞けない話を聞いたり、将来について語り合ったり、充実したキャンプだった。
その時ぼくは、「10年後も、20年後も、こいつらといっしょにキャンプしたいなあ」と思っていた。
しかしその後は、3年の夏休みに一度キャンプをしただけで、それから後は一度もキャンプをすることはなかった。

『我が良き友よ』が流行ったのは、高校2年の冬だった。
このキャンプより、少し後に流行ったことになるが、ぼくはこの歌のこの歌詞を聴くと、いつもその頃のことを思い出す。
その時集まった、一人一人の顔が、今でも目に浮かぶ。
みんな歳食って、40面を提げ、女房子供に手を焼きながらも生きていることだろう。

ところで、この『我が良き友よ』は、残念ながら、同時期に『22歳の別れ』が流行っていたため、邦楽のベスト10部門では1位にはなれなかった。
しかし、ぼくの中では堂々の1位だった。
当時は『22歳の別れ』を聞いて、「こんな軟派な歌なんか嫌いだ」と思っていたものだった。
しかし、時が流れて、改めて『22歳の別れ』を聞いたとき、「何といい歌なんだ」と思ったものだ。
同じような境遇の歌に、キャンディーズの『春一番』がある。
この歌も、同時期に『およげ!たいやきくん』が流行っていたために、1位にはなれなかった。
が、ぼくの中では堂々の1位でだった。
しかし、『およげ!たいやきくん』は時が流れても、いい歌だとは思えない。
実に残酷な歌である。



 長らくお世話になった、ASAHIネットによる『頑張る40代!』を、お終いにしようと思っています。
その件については、近々日記か何かでお知らせします。
11月03日(日)
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