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暴かれた真光日本語版
by 日記作者
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■037 pseudoscience
こうして麻原は酒井勝軍の足跡をたどり、ついに岩手県釜石市の五葉山の一角でヒヒイロカネの現物を見出すという筋立てになっている。また麻原はそこで、酒井勝軍が残した隠された予言を知る。その内容は――
《●第二次世界大戦が勃発し、日本は負ける。しかし、戦後の経済回復は早く、高度成長期がくる。日本は、世界一の工業国となる。
●ユダヤは絶えない民族で、いつかは自分たちの国を持つだろう。
●今世紀末、ハルマゲドンが起こる。生き残るのは、慈悲深い神仙民族(修行の結果、超能力を得た人)だ。指導者は日本から出現するが、今の天皇と違う》
ということになる。
事件後現れた怪文書などを彷彿とさせる内容だ。
「麻原の初期の霊的指導者(グル)が山本白鳥で、『幻の超古代金属ヒヒイロカネは実在した』の企画は、武田崇元、山本白鳥コンビから出て、それを麻原にやらせたか、あるいは麻原がパクったのでは?」とまでいう元編集者もいる。
真偽はともあれ、『オウム神仙の会』に改名したオウムが、『竹内文書』にあるヒヒロイカネを霊的パワーを昂進する小道具として、信者獲得のツールにしていたのは事実である。その後の『ムー』『トワイライトゾーン』誌上にはヒヒイロカネのプレゼント応募方法が記され、別のページにはオウムの女性信者たちが住所氏名を記した『ペンフレンド募集』欄まである。
宗教オタクの青年達があらぬ妄想を膨らませ、教団に電話をかけていく姿が目に浮かぶような紙面づくりである。そのころのオウムのPR本を見るとレオタード姿の二人の美人幹部(石井久子、飯田ユリコ)が、大股開きでヨーガのポーズを取っている。さぞや、ニキビ面のオタッキーどもを勧誘する強力な武器になったにちがいないと推察するのである。
「オウム神仙の会」が始まった頃、麻原は、「麻原彰晃の登場は、大衆から政治家までとりこにした“政治結社”のリーダーであり不敬罪・治安維持法違反で逮捕された出口王仁三郎によって予言されていた」と語っている。また一連のオウム騒動のさなかにも教団のミニコミ紙は「大本教の弾圧に類似するものだ」と言い続けていた。
その予言されていたとする根拠を出口王仁三郎が口述筆記させたと言われる『霊界物語』を引き、「松の世を顕現するために、ここにしんちゆうをたて・・・・」という一句を以て、自分の本名松本を持ち出し「松本を姓とする救世主によって新たな理想社会が建設される」と解釈、強弁するのだが、次には「仏教、ヨガの修行に取り込むこと約八年、ヒマラヤにて最終解脱を果たす」として、名称をオウム真理教に変更する。これはチベット密教の指導者ダライ・ラマに面識を得たことによる。
このダライ・ラマ十四世との結びつきが教祖としての麻原彰晃のカリスマの源となった。
一九八九年、宗教法人「オウム真理教」認証。当時はあちこちで宗教を巡るトラブルが頻発し、法人の認証が容易でない時代であったが、オウムは法律を楯にとった。一九九〇年二月、オウム真理教は候補者二十五人の信者を立て、衆院選挙に打って出るが全員落選。これが「被害者意識の裏にある攻撃性をより加速したターニングポイント」と指摘する人は多い。
一九九五年の年明け早々。私は飛騨高山から公安当局に召喚された一人の老人とあった。
以下はその面談を元に、私がスポーツ新聞紙上に書いた記事である。
*
強制捜査に揺れるオウム真理教が岐阜県山中にある百二十万坪(約四千万平方メートル)の土地を購入しようとしていた事実が発覚した。場所は飛騨高山の山中。岐阜の小京都といわれる高山市街地から車で約四十分、古代の巨石文化や“ビラミッド”の存在がいわれるミステリアスな深山でもある。
昨年九月、同教団に「熊本県波野村に残存している“隠れオウム”の移転先を捜している」と持ちかけられた関係者等の証言によって明らかになった。
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11月26日(水)
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