ID:104448
暴かれた真光日本語版
by 日記作者
[88145hit]

■037 pseudoscience
 売買話は買い手の教団側が買い付け証明書を発行した後も、手付金を含む一切の金銭を支払わないことなどからこじれ、最近まで続いていた。しかし、同教団を巡るサリン事件などの報道で「オウムの反社会的な行動に不安感を募らせた」地権者等の総意によって破談となった。

 関係者によると、同教団は、真言宗系の宗教法人を名乗って接近。ある時期から「オウムの遷都計画」のための土地購入であることを明らかにした。当初は十万坪からスタート、四十万坪、百二十万坪とエスカレートしていった。

「山を案内していると、丹念な水質検査をくり返していた。近くに鉱山のある場所で川の水にウランが含有されていると言い出したころから、目の色を変え、ぜひここが必要だと言い出して面積が拡大していった」と地元関係者は証言する。

 同地区付近には養老年間から銀、銅、亜鉛などを産出している鉱山がある。これまでウラン鉱を産出した記録はないが、オウム側は「ウラン鉱脈を発見した」と言い、交渉に当たった同教団の一人が「我々はあらゆる兵器で攻撃を受けている。(防御するために)我々もさまざまな波状攻撃を研究し、XYZ計画というものがある。Xがサリンによる攻撃、Yが細菌攻撃、Zが世界を全て焼き尽くす核による攻撃である」などと不気味な発言をしたことから不安になった地元関係者が、知り合いの警察関係者などに照会。「麻原尊師の親衛隊」を自称するその男が、広域暴力団に所属していたことがわかったという。

 土地購入の交渉に当たった教団側の人物は二名。件の男の上司と見られる口数の少ないもう一人の人物は、行方がわからない同教団の早川紀代秀総務部長であった。

 現在教団の組織も次第に明らかになってきたが、“シークレットワーク”に当たっているという「裏部隊」と呼ばれる謎のグループの全容は把握されていない。

 土地購入に来たオウム例の一人は最近になって「ロシア製の銃器を輸入する」などとも語っている。
          *

 この話は今年死刑判決を受けた早川紀代秀といままた飛騨の地を拠点に活動を始めている中田清秀が、地下鉄サリン事件発生の一年前に飛騨高山を訪ねオウムの拠点を移そうとしていた計画を記事にしたものである。

 このとき早川と一緒にいた元暴力団組長の男は中田清秀。サリン事件のさなか、テレビ出演直後逮捕にされた禿頭人といえば思い出す人もいるだろう。

 土地の売買話はやがて早川、中田コンビが「真言宗系のお寺」といっていた宗教法人が、オウムではないかと疑いだした頃から、ギクシヤクし始めた。合計四カ所、総面積一千万坪以上に及ぶその購入計画を聞いて、仰天したのだ。

「地権者との交渉接待費はもとより、手付金一切支払わず、話だけが大きいのはなぜだ?」

 詰問する土地ブローカーの老人に中田は居直って真言宗系の寺はダミーであること、三年がかりの”オウム王国”の遷都計画であることを明かした。老人は頭を抱えた。すでに当初の購入予定地となっていた一二〇万坪の地権者たちには話をしてそのうちの四十万坪について快諾してもらっていたからだ。

「その頃はオウムという団体が、これほどの無法者とはわからなかったし、若い者が故郷を捨て、雪に閉ざされた山の中で白河郷の合掌造のためのススキを作って暮らしているだけのジイさんバアさんが、ヘンな宗教団体から金をもらってもバチは当たるまいと思った。オレも金は欲しかったしな」

 老人は買い手がオウムであることは自分一人の胸に納め売買話を進めようと決めた。中田はすっかり老人を頼り、あちこちと山林を案内させながら、オウムの壮大な計画について語ったという。

 留意してほしいのは、中田がこうした荒唐無稽とも思える教団内部の話をしたのが、サリン事件の前年のことであるということだ。

 そして、記事中では「古代の巨石文化や”ビラミッド“の存在がいわれるミステリアスな深山」とぼかしているが、購入予定の土地のうち「尊師が居住する奥の宮」は、再三登場する「竹内文書」の「位山」付近に置くといっていることである。


[5]続きを読む

11月26日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る