ID:104448
暴かれた真光日本語版
by 日記作者
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■038 pseudoscience
 それにしても二、三の見事な例はあげておきたい。まず平群真鳥(ヘグリノマトリ)真筆を神代文字の記録の翻訳であると称する天津教の主張をくつがえし、実は神代文字之巻は平群真鳥の記録の翻訳であることを見破った箇所、それに神代文字解読の目がさめるような鮮やかなプロセスである。私は第五と第六で扱われた二つの文書批判を一番おもしろく読んだ。

 古史古伝を研究するなら『上記』(ウエツフミ)ぐらい読むのが当然の手続だと評するむきもあるが、狩野は渡辺大濤から神代文字の字引がある、と聞き、「自分の寡聞を恥じる」と素直に認めている。この卒直な態度こそ真の学者の初心ではないか。七十を越えた老学者が奇怪な神代文字と格闘し、拾いだした異なる形をした四十四の記号を五十音ではないかと解いてゆく白熱が伝わってくる。この推理の過程を再現した文章が後世にのこったことを、私はむしろよろこんでいる。
 また人類の棟梁である天皇という天津教の思想に用いられた「五色人」の由来の種あかしや「宝骨像神体」(天皇の遺体を風葬にし骨を粉にして練ってつくった人形)に思想の変態性と頽廃性をみる観察など、狩野の見解は、そのように判断するのが一番自然だという相対的で常識的の思想に立脚している。彼の批判はすべて証拠の真贋にかかわるのみで、鑑定は一種の知的ゲーム(見破れなかったら本物として通用するのを防ぐための競技)である。狩野にとって不敬は主要な関心でなく、それは官憲の次元のことである。知のゲーム感覚にこそ、この論文の真価をおくべきであろう。

【解説】
 「天津教古文書の批判」は岩波書店の『思想』昭和11年6月号に掲載され、戦後に単行本として岩波書店より刊行された『狩野亨吉遺文集』に掲載されている。現在は、Web公開されている。
http://redshift.hp.infoseek.co.jp/scilib.html
 「S教M光」誌平成15年8月号73-75頁に、京都大学文学部で日本史を専攻する学生が、「『歴史迷信』を打破するために日本史学会で影響力の大きい京都大学受験を決意したのです」などと豪語していた。橋本進吉氏の『国語学概論』や、狩野氏の『天津教古文書の批判』といった、岩波書店発行の学術書を打破できるものならしてみたまえ。岩波の書籍は全国各地の図書館に収蔵されており、最近ではハンセン氏病患者に対する差別的表現があったとして、問題書籍を回収するという良識ある態度をとった。古史古伝専門の八幡書店や日本文芸社とは、およそ次元が異なる。「御神意成就に役立ち得る歴史研究に邁進し、また、研究者のお導きに精進させていただきたい」とこの学生は述べているが、馬鹿にされるだけである。



「S教M光」誌平成十五年五月号 10-33頁
平成十五年四月度月始祭ご教示
(P21-22)
 更に、絵文字とは違って類似の古代の紋様的な文字形体、或は明らかに文字であろうとされる岩刻文字、いわゆるペトログリフは一九七〇年代に入って日本をはじめ欧米諸国において発見されるようになりました。ペトログリフの研究は緒についたばかりでありまして、今後の学際的な調査が待たれております。
 この絵画文字とは次元の異なるものに「神代文字」があります。
日本では、漢字伝来以前に既に存在していた文字であります。「その古さは想像を絶するものである」と示されております。
『釈日本紀』には、「和字の起源は神代にあり」と記されております。ヒフミ文字やアヒル文字、更には『上記』序文の五十猛命の五十音図(字)、象形文字などがあります。神代文字は大変種類が多いのです。今日のカタカナの本になっておるものであります。
図2 アヒル文字

(P26)
 中国で最も古い文字は、亀甲や獣骨などに刻まれました。それを「甲骨文字」と言います。今より三千五百年前のものが中国で発見されております。

P184-191 「ハングルが呼び起こした神代文字の記憶」――十五世紀のシステム文字・ハングルが、はるか昔に埋もれた聖なる文字をよみがえらせた……
  中島 渉 (作家)



<大いなる文字>

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11月25日(火)
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