(SleepWalking)



オリオン
 
何が正しくて
何を欲しがっていて
何に縋っているのか

見えない夜に冷たい空を仰ぐ
もう誰も居ない空だ

氷の浮かぶ雲の中を
ふらふらと泳いで見る
小さな魚の群れはもう
鯨に食べられてしまったよ
プランクトンは死んだんだ

見つめても誰とも見詰め合えないから
呟いてみよう
オリオン
天に昇ったお前は果たして
今も蠍から逃げているのだろうか
その術をわたしに
与えてはくれまいか

2004年12月14日(火)


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北風
 
視線の先に白く息が見えることを祈っている
見えたらきっと生きているのだろう
ちいさなちいさな生き物も
指先で一瞬に消してしまえるような
たいせつなものも

風の吹いてくるほうに向かってゆるく
おれんじいろに微笑んだ男を思い出す
無駄な時間を使うのはいいことだ
白紙の手帳を埋めるには
なにも文字に潰れたスケジュールが
有意義な人生を示すわけではあるまい
たとえば男との約束を
のうみそのどこかに隠していたように

無理矢理に抱き寄せて奪い取ったのは
そんな陳腐なものではない
ただの絶望だ
奪い取ったつもりで本当は
その根は深くなるばかりだったけれど
気付かないのがこのお気楽な頭
あからさまな言葉こそがアイであると
信じていた幼稚な大人

落ちてきた雨を掌に集めて
暖めたら撒き散らしてしまおう
意味のない行動に惚れこむように
からっぽのこころはどこかに飛んでいって
北風に向かって息を吐き出す
星が綺麗だ

2004年12月13日(月)


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銀杏
 
風が吹いてたから実が全部落ちたんだって
踏みつけられて悪臭を
雨に晒した無数の銀杏

そういえば散歩道に
散らばっていたのは銀杏の葉ではなかった
あの時既に
かさかさと死んでいたものは

蹴り飛ばして宙に舞った
こころも同じ様に
風に吹かれてふわりふわり
流されているだけの
臆病者は消えるほかないという

思い出してもひとつもいいことはないから
臭いに煽られて吐き出してしまおう
ただ置き去りにされた思い出を
卑怯者の忘れ物を

2004年12月12日(日)


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歌う意味など
 
結局あなただって無理だったじゃない


あたしのために歌って
なんて
言うんじゃなかった
あなたのこえは
もうあたしのものじゃないのに

意味なんかもう
何処にもない
あたしが歌う意味なんか
あなたがいないのに

死んでるって知ってれば救われたのよ
あたしだって
あなたが死んでるって知ってれば
それ以上なにも
今求めていないだろう
知らずにずっと探していた
愚か者のあたし

死んで空から笑うがいいわ
あたしはそこに投げつけてやる
さらさらのうた
あなたの姿などどこにもないうたを
忘れて捨ててやるの
全ての姿を


うそつき

2004年12月10日(金)


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冷たい手
 
ただ呼吸をするだけで真っ白く世界が変わる
あなたがいるところはここより暖かいのだろう
あのこがそういっているのだから間違いない

こんなに近くて
こんなに遠い遠い
関係に意味なんてないんでしょう
欲しいのはただ

夢に見るほど強く
知りもしないで憧れているのよ馬鹿みたいに
あなたが今どうやって生きてるのか
想像もつかないけど
帰ってきたときにはきっと
とってもおおきくなっているんだろう

もう繋げなくなった手をもてあまして
風と握手をするばかり
明日も笑っていられますように
見知らぬ青い空までも

2004年12月01日(水)


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はやおき
 
ねこが なぁ、 と鳴いて
鳥の羽が飛び散る音がした
ちいさなあさに
あたたかなミルクをいっしょに
飲みませんか
おそい太陽の目覚めをながめながら

2004年11月26日(金)


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ひだまり
 
おちてしまってもかまわないよ
と、あなたがいうから
あたしはおかまいなしにおちた

どこかふかいところ

あたたかいぎゅうにゅうに
めをさます
ここは
あなたのゆめのなか

ゆるくたいようがひかる
ねつはどこにもない
やくそくなんてしたおぼえはない
ただあなたがそこにいる

うきあがってそらをみおろす
そんなところにもとめるものなんて

2004年11月24日(水)


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