(SleepWalking)
無風状態
届かないと知っていて手を伸ばすほど あたしは愚かじゃない と お姫様は信じていたのに 結局世間知らずだったのね 当たり前よ彼女ったら 生まれてこのかた、 お城の外になんか出たことが無いの それに ここ5年間はあの塔に閉じ込められているんだって
(どうやら母親を殺したらしい)
ばかねぇ あの綺麗なお姫様は 届くと思って鳥に手を伸ばしたの 窓から体を乗り出して そして 落ちた 白い肌に白いドレスで 飾りの薔薇は真っ赤に燃える ただのいちにち お姫様は あっという間に消えてしまった かさかさと物音
(風が吹かなかったのならそれは鼠)
2004年11月05日(金)
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震える
知らないことばかりだから 遠すぎる あなたに 近付くことは許されない あたしの 悪あがき どうかその優しい笑顔だけは だれかに 所有など されないでと願うばかり
2004年10月31日(日)
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見ないでよ焦げちゃうから。
2004年10月30日(土)
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旅に出る
ちいさなキャリーケースと 5cmヒールのブーツで秋を気取って どこかに行こう どこか どこだか知らないけど 届かないと思ってたちいさな夢に
からからとアスファルトをすべる かさかさとアスファルトを撫でる 秋はもう冬にせかされてる 風が台風を追い出し めを つぶす かつかつと秋を踏み潰す パリジェンヌ気取り
行き先も決めず たどり着いたどこかに たどり着いたと思うのなら きっとそこになにかあるの 運命なんてどうでもいいけど 引き寄せられたどこかにはなにかあるって 思わない? そこにあなたがいればいいと 願いながら
2004年10月21日(木)
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後ろ姿
あのこはいわゆる可愛い女の子で あなたはそんなあのこがすきなのね わたしの入るすきなど無いくらいに
なんて くだらない話をするまえにひとつ 溜め息をついておこう あなたの そのやわらかい瞳にあのこが映りこんでいること 忘れるために 知ってるのよ あのこ本当は悪魔なんだって いつも長いスカートをはいているのは 醜い尻尾を隠すためなんだって あなたを見て犬みたいに振っている 黒い尻尾
きっと喰われるんだ 胸を破ってその心臓を そして反対側まで穴をあけて 鳥を住まわせるんだ 可愛いジュウシマツ 肉を啄ばんでどんどん穴を広げるように あの悪魔がどんどん入り込んでるの 楡の陰でいやらしく笑って
きっとそんな後ろ姿も見たことが無いのだろうから 消しといたげる 雨の音に悲鳴も かき消されるだろうし
2004年10月20日(水)
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ハイヒール
影を追って歩く この足音が聞こえないように わざと選んだこの靴に 脚が悲鳴をあげている
あぁわたし まだおとなにはなれないみたい
だってこんな街に スニーカーは似合わないから この足音が聞こえないように 選んだハイヒール
あなたの耳に 届かぬように
スーツを着て 澄ました顔して 街に埋もれていくあなたが 憎くて仕方が無いのよ 私の長く伸びた髪を 慣れたように玩ぶその手とか まるで他人みたいな背中とか 昨日は甘ったるく動いてた その唇とか
だからその影を今夜壊すために わたしは化けて歩いている あなたがそうしているように わたしも隠れて大人気取り
わたしのなかみは 変わらないけれど
2004年10月14日(木)
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みえない
夕暮れ時 空から蜜が滴り落ちて 雲が大きくのた打ち回る 時々耐えれずに振り落とすんだ その雨粒 涙みたいにはらはらと 大粒の涙
遠くのほうから 誰かが呼んでる声がする おぉい こっちだ こっちにおいで さぁ 僕を みつけてごらん
だけど声は 間違いなく空から降ってきている 錯覚 誰も みえない 挑発的な甘い声が どこかからこだまする 歩いても歩いても見つからない そこには何もないんだ きっと そこはすべてを吸い込んでいる 小さく深い 穴なのだ
2004年07月16日(金)
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