レプリカントな日々。

2003年01月27日(月) ピュアラブ2

 見事な大団円を迎えてしまったピュアラブ2です。
 さすが昼メロ、思わず涙しそうになりました。
 きりこさんのために還俗を決意した陽春さんですが、老師の「この寺の副住職にならないか?」というお誘いに涙し、苦節7年?やっと自らの居場所を手に入れることが出来たわけです。
 碧巌録(すげえ、変換出来た>EGWORD)の書写をしながら還俗しようと決めた時、あれほどまでに僧侶としてのアイデンティティを追い求めていた陽春さんの心に何が起こったのか・・・。
 いやはや、愛はパワーですな。

 かたつむりのご主人、めっちゃお気に入りです。
 友達になりたいです。
 陽春さんはイイ男過ぎ。こんな若者と知りあいになったら、自分が汚れていることをぐりぐりと顔に押し付けられると感じること間違いなし。
 きりこさん・・・同上。すいませんすいませんと逃げ出すしかありません。
 大悟して名僧となるのもいいですけど。
 涅槃は停止にすぎない、と言ったのは小松左京でしたっけ。
 エントロピーが二人の愛をどう扱うのかはとても興味深い所です。
 妻帯肉食は別に仏の道に反してないと思いますので、ぶいぶい幸せになって欲しいなぁと。

 尊敬しあえる愛というのは、まぁ現世ではある種の理想なんでしょうけど、別に愛欲といったものを否定する気もありませんです。
 ただ・・・愛だの恋だの関係なく、きちんと相手に敬意を払うことの出来る気持ちはとても大切なのではないかと感じさせられるドラマでした。
 最近はそういう人が少なくなりましたね。
 「惚れる」「無関心」「嫌悪」「利益」といったシンプルな感情しか持たない人の精神構造はとても哀しいです。



2003年01月18日(土) 陽春さんと禅宗と個体発生と。

 えー、なんだかとっても見てて楽しい「ピュア・ラブ2」ですが。
 イマドキのお子様(小学生)たちの「何故人を殺してはいけないのか?」という素朴な疑問に対して、老師がしっかりとお答えをくれていたシーン。
 およ?と首をひねりたくなるお言葉がありました。
 結論からいえば「個体発生は系統発生を繰り返すのか?」ということなんですが。

 老師は「君たちを産んでくれた親、そして叉その親というふうに、連綿と続く命の炎を身勝手にふき消してはいけない」と子供たちを諭します。
 これはいわゆる禅宗でいう「灯をともし続けるように法も受け継がれる」という教えのバリエーションですね。
 そして、親のまた親をたどっていくと、進化の歴史にまで遡り、ヒトが進化してきた長年月のその重みを説明するために、先の「個体発生は系統発生を繰り返す」というくだりがでてきます。

 うーん、いつからこれは「定説」になったんでしょうか?
 確かまだ答えは出ていない問題だと認識してましたが・・・。
 素朴な疑問なんですが・・・もし胎内で「系統樹を下ってくる」のであれば、ヒト以前の「進化の系統樹」は明確な一本線だということになりませんか?
 では何故博物学の世界ではあれほどまでに「種の起源」にこだわりつつも複雑怪奇な系統樹が構成されているんでしょう・・・。
 遺伝子がそうした発現の仕方をするのであれば、何故「ほ乳類になる前で成長が止まった胎児」が生まれてこないのか・・・。いや、もし「個体発生は系統発生を繰り返す」のであれば、ハエやもう少し複雑さが少ない種では「途中の」個体は生まれているのでしょうか?
 とっても疑問です。
 どなたか「これを読め」というものがありましたらメールミーです。

 さて、何故人を殺してはいけないのか?という疑問に対する私の価値観ですが。
 明確なものは持ち合わせてはおりません。
 個人的には社会契約説?に準じて「私が殺されたくないから殺さない」でいいのではないかと愚考する次第です。
 何故そのような疑問が子供たちに湧き出るようになったのか、もしくは、価値観として「殺す殺さない」の明確な線引きを今の世の人々が持たないのかに関しては一家言ありますが、それは叉の機会に・・・。



2003年01月17日(金) 「プランク・ゼロ」スティーヴン・バクスター著 2002年早川書房

 あちゃー、バクスター先生・・・量子力学が全くわかりません!
 超が付くハードSFといえばJ・P・ホーガンも有名ですが、叉一味違ったハードな世界を描いてくれちゃってるのがこのバクスターです。
 個人的にめちゃお気に入りなのがジーリーの「ナイトファイター」ですね。
 収納時は長さ100mの単座?の宇宙船です。稼働時は幅150キロになります。
 何故宇宙船なのに翼があるのか?
 「動力は空間構造そのものから得ている」
 「その翼は空間の不連続性のシートだ。つまり空間の回復力が船を前進させるわけだ」
 そうで。
 1時間で100万光年飛べます。はい。

 <ジーリー・クロニクル1>と銘打たれたこの作品、過去のジーリーシリーズの裏話的短編が収録されています。
 ビッグバン直後に生まれ出た超種族ジーリーさん、もの凄いです。凄すぎです。
 人類他様々な種族がこのジーリーさんの遺物を探して宇宙を探検するんですが、肝心のジーリーさん、そんな連中には目もくれません。ええ、全く無視です。
 人類もまた様々な種族に支配されては打ち負かしという壮大な歴史を刻んでいきます。そして人類はジーリーに並ぶ支配種族になっていくのですが・・・。
 
 お馴染の「シュレジンガーの猫」を始めとする様々な理論を基に、とても楽しいストーリーが展開します。
 風邪ひいて死んでる脳には多少つらい部分もありますが、いや、そんなパウリの排他原理だの量子分離不可能性だのフェルミのパラドックスだのを知らなくても、問題なくストーリーは楽しめます。
 私も理解なんか出来はしません。

 小柴さんがノーベル賞を貰ったカミオカンデでの観測結果に「ちっ」と舌打ちをしたのは私だけではないはず。そんな楽しみも増えちゃうハードSFをあなたもどうぞ。



2003年01月09日(木) チョートク節と長いイイワケ。

 相変わらずのチョートク節が堪能出来る某誌のコラム。
 「プリンターを持たないワケ」を読んで、なんだかなぁと思いつつも納得してしまいました。
 色々とかまびすしくギロンされている「デジタルかアナログか」ですが、最近は一段落したようですね。個人的には全くこだわりはありません。デジタルであろうがアナログであろうが写真は写真。
 写真とはなんぞや?という話はキリがないですが・・・。
 それについて語るのは常に「使う側」であって、一個の「観客」としては文字通りどちらでもいい話でしょう。
 以前、ビル一面に垂れ下がったhitomiの写真がありましたよね。あれがデジタルで撮られていようがフィルムで撮られていようが、何か観る側に与える印象が違うとは思えませんし。
 使う側としては、デジタルの便利さは「気が向いた時にだけ行っても文句を言わない、近くに車を停めるスペースを持った独り暮らしで料理上手な女」くらい都合のいいものだったりします。
 二度と手放せません。
 他に女が出来ても思い出した頃に通うこと間違いなしです。(あ、一応念のために書いておきますが、過去39年、浮気というものをしたことはありません。ホントですってば!)
 それはさておき。
 個人的にはフィルムに対する憧憬というのは常にあります。
 この世で一点限りのオリジナル。結構この言葉には弱かったりします。
 まぁ、フィルムもデジタルと同じように、コピーの方法はいくらでもありますが・・・。

 ついこの間「17才のカルテ」見ました。
 <ボーダーライン>という言葉は今ではそれほど珍しいものではありませんが・・・心に残ったのは「ここよりマシなどこか」という気持ちですね。
 もっといい写真が撮れれば・・・ここよりマシなどこかに行けるかもしれない。
 夢見るオヤジとしては、そんな気持ちで撮ってたんだなぁと再認識させてくれる映画でした。アンジェリーナに心底共感しつつ・・・写真バカなオヤジをウィノナが見たら、彼女はどう日記に綴るのか興味のある所です。
 世の中には「共通の認識」というものがあって、それでバランスを保っていることは確かです。それは常に「架空」なのかもしれないにも関わらず、ヒトはそれによりかかって生きています。勿論私もその一人。
 「写真」という架空を追い求め、今日、新しいレンズを精進してしまいました。
 がはははは。多重債務者の私が高価なレンズを購入するのはまさに狂気の沙汰なんですが、やめられません、デジタルの地平目指して走り続けます。
 な、なんて長いイイワケなんだ・・・。



2003年01月05日(日) 映画漬けの日々。


 今夜の深夜劇場は。
 「アサッシン」「つぐみ」「人間の証明」「ランボー怒りの脱出」「黒い家」「フットルース」「タワーリングインフェルノ」ですが・・・。
 「黒い家」以外は全部見てますね。思いっきり語れるのは「アサッシン」ですが。

 「つぐみ」はかなり好きです。
 牧瀬里穂が実に素晴らしい演技を見せてくれました。
 穴を掘るつぐみ、めちゃ好きです。
 オヤジの好きな蛍ちゃんも出てますし、邦画版「17才のカルテ」といったところでしょうか。(って「17才のカルテ」見てないですが・・・)

 「人間の証明」はやはりジョー山中のテーマソングが心に響きますね。
 「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでしょうね・・・」by 西条八十
 知らんがな・・・。

 「フットルース」はなんだか甘酸っぱい思い出が。
 あの踊りが上手な先輩がいましてね。
 丁度世の中が愛だの恋だのの話しかしない時代でしたから、華やかな世界を横目に見つつ「グローイングアップ1」に出てくる台詞「俺はデブのヒューイ、三枚目」を噛みしめてました。をを、今も変わらぬこのていたらく。今は常に「対象外」なので気も楽です。若さってのは残酷ですな、対象にも自分にも。

 はてさて、元旦から開始した大掃除も一段落しましたので、そろそろレンタルビデオ屋さんにでも何か借りにいきますか。
 「エンディミオンの覚醒」意外に手間取ってます。
 しかし、とっても楽しく手間取ってます。
 この至福を今暫く。



2003年01月04日(土) 「戦国自衛隊」サウンドトラック。


 食べ過ぎ飲みすぎで順調に体脂肪率を増やしつつ内蔵がおかしくて食欲もない新春です。
 まったりとお正月の深夜映画を見つつ。
 角川映画の名作「戦国自衛隊」ですが・・・私の青春時代とオーバーラップするこの映画の面白さはあえていうまでもないですね。「同族じゃぁ〜」は十代の頃の合言葉でした。

 映画の中身はともかく。
 私がどうしても忘れられないのがこの映画のサウンドトラックです。
 当時は当然レコードなんですが、免許を取り立ての頃、友人がそのレコードをカセットに落としたものを車でかけながら、深夜の海や山へと走ったものです。
 今はもうそのカセットも無いんですが、今もなお名曲だなぁと口ずさむ曲があります。
 歌詞もうろおぼえなんですが・・・。

 「けいこ」高橋研
 取りあえず今夜は新しい夜明けを港まで見にいくところさ〜〜♪

 「スクリーンに雨が降る」
 アウトローの背中はいつも旅人の香りがしたぁ〜〜♪

 その他にも2,3ありましたけど・・・。
 うーむ、断片的にしか思い出せないですね。
 でも、深夜の道路を走っていると、いつもこの歌たちが頭の中を流れます。
 どなたかレコードをお持ちじゃないでしょうか?
 もしよかったら譲って下さい・・・。
 高橋研さんはその後「おにゃんこクラブ」の歌などを作ってましたね。
 ジョー山中さんは解説など必要ないでしょう。

 この映画を作った経費で角川の屋台骨を揺るがしたという角川氏、その人柄はともかく「男のロマン」を目一杯楽しめる映画をありがとう。
 今見てもなお邦画の名作ベスト3に入るものだと私は思います。



2003年01月03日(金) 「アヴァロン」(2000/日本)押井守監督


 はぁ・・・いわく言い難いというか、なんとも表現しがたい映画ですね。
 えーと、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」(95年)は私にとっては夢の世界です。
 住みたいです。
 アヴァロンはヲタクによるヲタクのための映画ですね。
 巷では「マトリックス」等と並ぶ現実ー虚構の世界を描いた名作とされてますけど、個人的には?です。メタフィクションとしてのどんでん返しや不気味さは、表現としても意味としても最初から含ませようとはしてないようです。
 主人公のモチベーションに全く共感(反感を持つことも)出来ませんし、何故あの設定でなければ「現実ー虚構」の世界を描けなかったのかはとても不思議です。そもそも描こうとしていたのかということ自体が疑問ですが・・・。
 戦闘シーンも戦術的な面白さが全く無く、あえて言えば小学生の草サッカーの方がまだマシな戦術を展開しているのではないかと。神は細部に宿り給うとよくいいます。無論、そうした部分に興味の無い人間からすれば「戦闘シーンの面白さ」は別に映画の良し悪しには関係ないということになるでしょう。
 しかし、せめて戦闘シーンが面白ければ、ドキドキハラハラなら、主人公への感情移入もそれなりに出来たのではないかと思うのですが・・・。

 様々なソボクな疑問が沢山ある映画です。
 それを言っちゃぁおしまいよぉ〜と寅さんに叱られそうなので、このあたりでやめます。
 本当に押井守が作ったのか?と、、、とても不思議な気分になる映画です。



2003年01月01日(水) 「フォーエバー・フィーバー」(1998/シンガポール)グレン・ゴーイ監督


 新春から何故かアジア映画など嗜んでいるオヤジです。
 タイトル通り1998年制作?のシンガポール映画です。

 お話は実にシンプルなんですが、あの「サタデーナイトフィーバー」&「燃えよドラゴン」をリアルタイムで見ていたオヤジ世代にとっては、まさに涙もののストーリーです。
 カンフー好きのさえない青年ホックが、バイク欲しさに女っぽいと軽蔑していたダンス大会へ出場することを決心し、ガールフレンドを誘ってダンス教室に。金持ちのボンボンの様々な妨害にも関わらず・・・。
 仲間との友情、そして兄弟愛、家族愛、極め付けはただの女友達だと思っていたメイとの関係を再認識することになるダンス大会。
 なんて楽しい映画なんでしょう。
 イマドキこんなシンプルなストーリーでこれほどまでに楽しめる映画は他に無いのではないかと。ヤフーで検索したら2000件のヒットがありましたのでヤボな事は書きませんが、印象に残った点を一つ。
 仲間も主人公ホックも「いいやつ」過ぎ。
 なんて素晴らしいんでしょう。
 こんな仲間がいればそりゃあ人生も楽しいってもんです。
 「今の」日本でこれをやったらリアリティを感じないのではないかと。
 金持ちのボンボンの嫌がらせも実にシンプル・・・。
 人って、こんなに素直に生きていいんだなって感じさせてくれる一作でした。

 素直に笑い、そしてホロリとさせられる、ハリウッドの監督達が見たら地団駄を踏みそうな素敵な映画です。

 don't think. feel it !


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