レプリカントな日々。

2002年06月26日(水) 「宇宙の戦士」ロバート・A・ハインライン著 1979年早川書房


 相変らずピントの出ないカメラで悪戦苦闘しているオヤジです。
 サービスセンターに持ち込んだ所、修理?には2,3週間かかるとのこと。てやんでぇべらぼうめっ。金曜日に撮影があるんだよっ。代替機くらい出しやがれっ。絞って撮れってかっ?何のために大口径レンズを高い銭払って手にしてると思ってるんだ?あん?ゼイゼイハァハァ・・・。
 返品すると叉果てしのない「待ち」だしなぁ・・・くそう、来週頭に修理に出そう・・・3週間も撮れないわけね・・・。
 前のカメラ、下取りに出すんじゃ無かった・・・。(涙)
 グレてやるっ。

 ささ、気を取り直して。
 韓国、とうとう負けてしまいましたね。
 太極旗のために闘った若者たち、お疲れさまです。
 審判の件はとても残念ですね。
 あっさり負けてた方が丸く収まった?
 色んな意味で韓国の選手たちにはとても同情します。

 ワールドカップは「ルールのある戦争」などと言われたりしますけど、テレビでは色んな国の色んな側面が紹介されてたりして、そちらの方が興味深かったりします。
 シシカバブが食いたいな、とか。やっぱりイギリスではビールは冷えてないんだ、とか。ベルギーといえば、学生時代愛飲していたツボルグを思い出したり「小さな灰色の脳細胞」も確かそうでしたね。etc...
 あれ?オヤジったら結構ベルギー贔屓?
 お国のために闘う若者たちの姿は、その是非はともかく、とても美しいですね。

 さてさて、この「宇宙の戦士」(叉70年代かよ・・・)アニメファンにはガンダムのモデルになったといえばわかりやすいでしょうか。そうです。モビルスーツという概念を産み出した元なんですね。(諸説ありますが・・・)
 原作は1959年に書かれているそうで。
 ただ・・・この作品はかなり右翼的な感覚がてんこ盛りなので、アメリカでもかなり物議をかもしたらしいです。ま、時代が時代でしたし。
 ストーリーは、昆虫型エイリアンと闘う地球の勇士たちという、とてもわかりやすいものです。原題はSTARSHIP TROOPERS。
 ただひたすら昆虫型エイリアンと闘うという話だけが印象に残ってますが、宇宙軍といえば思い出すのがエイリアン2?の宇宙軍。かっこよかったっすねえ。デジタル残弾カウンターが実にセクシーでした・・・。

ーーーーーーーーーー
完全装備すると全重量はほぼ二千ポンドになるが、はじめて身につけたその瞬間から、とっとと歩きまわり、走り、飛び、かがみこみ、落ちている卵を割らずに拾いあげ(もっともこれにはちょっと練習がいるが、どんなことだって練習すればうまくなるもんだ)、ジルバを踊り(そりゃあ強化服を着ていないときにジルバを踊れるならばだが)---隣りの家を飛び越えて羽根のようにふんわりと着地することだってできる。
ーーーーーーーーーー本文中より。

 このモビルスーツの中で「暮らし」ながら闘うわけですけど、一番印象に残っているのが「号令」ですね。
 「まだ闘えますっ!行かせて下さい」
 「駄目だ」
 とかなんとかやりとりがあった後、上官はこの兵士に「眠れ」と号令をかけます。
 「イヤですっ、行かせて下さいっ」と反論するんですが。
 「何を言っているんだ?お前は今4時間眠ったんだぞ」
とかなんとかいうくだりがあります。(本文中に見つけられませんでしたので、引用できず)
 そう、命令一下、簡単に「待機」「睡眠」等の状態になっちゃうわけで。
 理想的な軍隊ってのをハインラインなりに表現してたりします。
 その他「兵隊は眠るのも仕事のうち」みたいな説教も出てきます。
 「月は無慈悲な夜の女王」というとてもロマンチックな話の中で合理主義的無政府主義者(私はこの発想、とても気に入ってます)を標榜したハインラインですけど、さすが二次大戦に従軍していただけあって、軍隊とは、国を守るとは、という「価値観」が随所に見られます。

ーーーーーーーーーー
「きさまは、全然勘違いをしているよ。危険な武器なんてものはないのだ」
「ははあ?軍曹どの?」
「危険な武器などというものはないのだ。危険な人間だけがいるということだ。おれたちはきさまらを、危険な人間に仕立てあげようと教育しているのだ・・・・・・もちろん敵にとってだ。一丁のナイフさえ持っていなくても、危険きわまりない男にな。おまえらにまだ片手か片足が残っており、虫の息でも生きているかぎり、敵にとっては恐ろしい男になるんだ」
ーーーーーーーーーー本文中より。

 アメリカライクなモノの考え方の最右翼ですね。全米ライフル協会がこのスローガンを掲げて銃器の「強い」取り締まりに強固に反対しているのはご存知の通り。
 オヤジはどう思うかって? その通りだ、なんて思ってます。
 ただまぁ、人間を取り締まるにはそれなりの理由が要るわけで、そのあたりにヒトという生き物の業の深さを感じたりして。


 あなたはお国のために闘えますか?
 私は・・・闘わざるを得ないのかもしれまへん。
 勿論イヤに決まってます。
 どたどた走った揚げ句、とっとと撃たれて終わりなんでしょうけど・・・。
 いや、美女とロシアの国境線を越えて・・・(<古すぎ)

 なにやら映画化もされたようですけど、原作とはなーんもリンクしてないようです。







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2002年06月24日(月) 「冷たい方程式」トム・ゴドウィン著 1980年 早川書房

 おNEWなカメラ、買ってしまいました・・・。
 きっとこの暑さのせいに違いありません。
 帰り際、新しいマック(ハンバーガーにあらず)を注文したのも、きっと白昼夢です。
 しかーし、このD60、ピントが全然出ません。
 2mの距離で20センチ後ピン、50mの距離で10m前ピンです。
 がお〜〜〜〜、これが噂に聞いていた初期不良ですかっ。(涙)
 しかも距離によってバラツキますかっ・・・。
 あちこちの掲示板で「ピント問題」が騒がれているこのデジタルカメラ、私が今まで使っていたD30はきちんとピンが出ていたし、最近は初期不良等に当たったことが無かったのに・・・。
 とうとう命運が尽きたようです。久しぶりに見事な外れクジを引きました。どうせ人生下り坂です。あとは転がるように・・・。
 三ヶ月待ちで入荷したブツを、たった2日で修理に出さなくてはいけないとわっ。
 ファインダーがアテになれば、AFなんか使わないのに・・・。
 返品交換してもらうのが一番いいんですが、市場には全くブツが無い状態なんで、叉果てしの無い「待ち」状態になるわけで。
 しかも、もう前の機種は下取りに出してしまったので、手元にはありません。まさに冷たい方程式。どちらを選択するか・・・。

 明日一番でサービスステーションに持っていきます。


 三冊目は「冷たい方程式」です。
 を?70年代は終わって、やっと80年代の作品ですか。(笑)
 っていうか〜、記憶を頼りに私にとって印象的なモノを書いていますので、これからも時代はあちこち飛びますです。

 質量と燃料がきっちり計算された宇宙船に密航者が。その時パイロットはどうしたのか・・・密航者は・・・。
 その後、様々な作家に「〜〜方程式」ものを書かせることになったこの作品、とても短いけれども、読み手の脳髄にガツンとくらわすそのパワーは超一級品。
 誰も逆らえない冷たい方程式に関する考察は、様々な方がやってますから私は別の視点で・・・。
 もし、あなたがその二人のうちのどちらかだったら?
 あなたならどうします?
 その「方程式」をどう解きますか?

 もし、私が密航者だったら・・・。
 パイロットに立場を代わってもらいます。(笑)
 ええ、最初からそのつもりで乗り込みます。

 もし、私がパイロットだったら・・・。

 いやはや・・・そんな目には会いたくないですね。
 しかし、スケベオヤジに残された手は一つ。






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2002年06月21日(金) 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック 1977年早川書房


 雨の降らない梅雨(名古屋)の中、皆様如何お過ごしでしょうか。
 最近口癖で性格がわかる?とかいう心理テスト?みたいなものが出来たとかなんとか聞いたんですけど、オヤジの最近の口癖は「まぁ・・・人生なんてそんなもんさ」です。そのセンセーに私の人生はこのままでいいんですか?とか聞いてみたい今日この頃です。
 相変らず寝違えた?左肩に激痛が走りまくりのオヤジです。あげく皮膚には誰かが握ったようなアザも出来てたりして。腕が上がらない(四十肩かっ!)くらい痛いんですが、激痛が走るのは狭い角度なので、騙し騙ししながら、今夜もプールでひと泳ぎしてきました。
 ええ・・・若いお姉さんの水着姿はとても眼の保養に・・・。


 さて、今夜のお題は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
 フィリップ・k・ディックの名作ですね。
 「ブレードランナー」として映画化もされました。
 そうです、私のサイトのテキストのサブタイトルにある「ブレラン症候群」とはこの映画に源を発しているわけです。
 ただ・・・私はハリソン・フォードはどーも好きではないので、私にとってはその分この映画の魅力も減ってはいますが・・・。
 ストーリーは、自分のルーツ?を求めて火星から脱走してきたレプリカントと呼ばれるヒトそっくりのアンドロイドと「それ」を追う警官、というもの。

 原作で問われているのは徹底して「ヒトって何?」ということ。
 見た目も中身もヒトなら、そやつは果たしてヒトなのか?
 ヒトとヒトでないものを区別するその一線はどこにあるのか?
 冒頭に出てくるフォークト・カンプフテスト(チューリングテスト)の「砂漠に亀がいる・・・」っていう台詞は、漫画や小説ではお決まりのジョークとしてよく使われていますね。

 ちょいと宗教じみた話にもなっちゃうんですが、作者のディックはヒト最も大切な能力に「感情移入」を上げています。要するに「共感」ですね。
 ディックは作中のレプリカントを「内に閉じこもり、機械的な生活を送っている」人間性を失ったヒトの象徴として描いているようです。
 後書きから引用すると。
 「・・・出自は関係ない。問題はあなたがどれほど親切であるかだ。この親切という特質が、わたしにとっては、われわれを岩や木切れや金属から区別しているものであり、それはわれわれがどんな姿になろうとも、どこへ行こうとも、どんなものになろうとも、永久に変わらない」
 つまり、親切なやつは人間だけど、親切じゃないやつは人間じゃないということですね。(笑)
(特定の例外からの突っ込みは・・・勘弁して下さい)
 親切なテレビとか、親切な椅子とかが出てきたら・・・。
 恐い話だ・・・。
 いや、奴等には共感能力が欠けているから大丈夫。うんうん。
 このあたり、男と女の恋愛にもかなり共通する部分があるなぁ、なんて考えてしまうのはオヤジだけでしょうか。


 「今のは痛かったぞ、デッカード」
 自らの生を確かめるようにデッカードの殴打を受けるロイ。
 「・・・俺は君たちの想像を絶するものを色々見てきた。オリオンの傍で炎に包まれていた宇宙船。タンホイザーゲートの闇の中で輝いていたオーロラ。あのめくるめく瞬間も・・・いずれは消える。時が来れば・・・涙のように・・・雨のように・・・」映画「ブレードランナー」より。
 死に行く運命を悟った?ロイ・バッティ(レプリカント)が、デッカードを救った後に、呟くように語る台詞。
 ロイの生き様は、古くからある「死は確かなもの、生は不確かなもの」そして「死を銘記せよ」というラテン語の箴言を思い起こさせてくれますね。
 全ての生きとし生けるものに襟を正したくなる、そんな映画でした。

 屁理屈ぶっこいちゃうと、エントロピーには誰も逆らえないんですね。
 私もあなたも、そんなにあせらずともいつかは必ず死にます。
 「江戸と背中が見て死にたい」じゃないですけど(あ、東京はもう2回?も行ったことがあるんで充分です。お腹一杯です)色んなモノやヒトと、精一杯関わって生きていくべえかぁと、ちょっとだけ前向きな発言をしつつ終わります。あはは・・・。

 ブレードランナー2 ーーーレプリカントの夜ーーー
 ジーターさんの著作ですが、映画と小説を足して二倍したような、とても現代的で面白い続編もあります。






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2002年06月18日(火) 「リングワールド」 ラリイ・ニーブン著 1978年早川書房

 ドーハの悲劇から長い長い戦いを経て16強入りしたニッポン。
 本当にお疲れさま。

 ということで読書感想文一発目は、大御所のラリイ・ニーブン著「リングワールド」
 SF小説の面白さは、何と言ってもその「道具立て」にある。
 スターウォーズやブレードランナーに代表されるような「時代背景の構築」がきっちりしていればいるほど、読者はその世界に入り込み、想像の翼という奴でその世界を飛び回ることが出来る。
 もし、あまたあるSF小説の世界のうち「どの世界に住みたいか?」と聞かれたら、なんのためらいもなく「リングワールド」と答えてしまおう。
 とある恒星の周りを周回する、建造者不明の巨大なリング。
 地球の直径の何倍もの幅があるコの字型の内側に、人間が居住可能なエリアがあり、人間?とともに様々な生物が暮らしている。
 単炭素繊維で結んだ超超超巨大なパネルがそのリングの内軌道回り、その真黒なパネルに恒星が隠されたエリアには夜が来る。
 海もあれば山もある、実に地球ライクな世界で繰り広げられるラブストーリー&冒険活劇。

 かつてはそのリングを作るだけの文明を築いていたはずの「人間」たちは、そのリングワールドの内側で、プリミティブな宗教を持った集団にまで退化?した未開の民族と化して、あちらこちらに点在している。
 あまりに広大なその面積を持つ「リングワールド」では、ほとんど「隣の生き物」と接触することなく、様々な生き物が独自のエリアに適応し、様々な進化を遂げている。
 ひょんなことでそのリングに辿り着いてしまった主人公達が、様々な苦難を乗り越えてその世界から脱出するその手法は・・・。

 若返りの薬を飲んで寿命を延ばしつつ「このリングを一周する」という何世紀もかかるであろう旅を志した若者カップル。
 ああ、実に羨ましい。(笑)
 最近は全く旅なんてしていない私にしてみれば、終わりの見えない旅を胸一杯の希望を持ってすることが出来るこの若者たちに。とても共感してしまう。
 SFの中でも、こうした「でっかい法螺話」を読んでいると、あと何年生きられるんだろう?残りの人生で何が出来るんだろう?等と、無駄な感慨にふけってしまうのが玉に瑕かも・・・。

 今となってみれば多少古臭さも感じるけれども、その発想といい力技のストーリー展開といい、ありきたりのスペオペに飽きた人にはオススメ。

 「リングワールドふたたび」「リングワールドの玉座」という続編あり。


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fatman [MAIL] [HOMEPAGE]

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