2004年03月24日(水)
(それは、夢で)届くはずも無いのだ 皺だらけの私の手 に似た貴方の手 にも似つかない沢山の手 が 記憶を握りしめて 振り向いた足元に続いている その夏の日は その秋の宵は その冬の終わりは (どうして、君には見えぬのだ) 節くれだった指が 幾つも連なりながら紡いだ糸は 泥の中に沈んでいる (機を織るための棹は誰かが舟にしたのだ) 乾いた目をこすり ああ、春の湿り気は何処へ行ったのだろう 無数の手がくみ上げた 水は (遠くに) (遠くに) 2004年03月04日(木) 春が来る 春が来るよ、母よ 一つ前の春 二つ前の、そのもっと前の 巡り続ける春は ひとつひとつ瞼の裏に 母よ、私は呼んで 瞬きを繰り返しながら 貴女の見た山並みの青さを 思い出している 残された雪の白さは、娘よ お前が見る春と同じだろうかと 春が来るよ、母よ あなたの瞼の上に また今年も |
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