全てフィクションです 【DRESS】 - 2003年04月29日(火)教室を飛び出したい気持ちになった。 なのになぜか僕は大人しく自分の席に向かっていた。 どこにも焦点を合わせられない。 クラスの全員が僕を見てる。 あらゆる場所から僕に対する暴言が飛んできている。 後ろから「おいオカマ野郎」と背中を小突かれる。 僕は今、最高の屈辱を味わっていた。 じっと下を向いていると、僕の目の前に誰かが立ったのが見えた。 「おい」と声を掛けられて見上げると、そこには木戸がいた。 「やっぱりお前…」 やっぱり言い触らしたのはお前か、と僕が口を開きかけると 木戸が「わりーなっ」と悪かったとも思っていない顔で言った。 ☆☆☆☆☆ それから、誰も僕と口を利いてくれなくなった。 友達だった奴には蔑まれた。 「お前、ホモなんだってな」 「違うよホモじゃない」 「夏休みに皆でキャンプに行った時嬉しそうだったもんな。」 「・・・・・」 「男同士で風呂に入った時、お前一人ではしゃいでただろ。 みんなで雑魚寝した時も嬉しかったんだろ? 大好きな男に囲まれてさ!」 「そんなことないって」 「一人でチンコ勃たしてたんじゃねーの?」 「僕はゲイじゃない!」 僕はゲイじゃない。そう叫んだが友達は戻ってこなかった。 - 【DRESS】 - 2003年04月23日(水) のろのろと歩いていたので学校へ着くのはいつもより少し遅い時間だった。 登校途中に友達に会い、「どしたのお前?具合悪いのか?」 と言われても曖昧な返事しか出来ない。 友達は少し変な顔をしたがいつもの様に馬鹿な話を僕に聞かせて 一人で大声で笑っていた。 ますます憂鬱は募る。 そのまま友達と二人で教室に入った。 うつむき加減だった僕はすぐに気付かなかった。 目の前を歩いていた友達が急に立ち止まったので僕がその背中にぶつかる。 「いてっ」 おでこを摩りながら「おいお前急に・・・」と言いかけて 予想もつかなかった・・・いや、予想通りに事が進んでいたのを 目の当たりにした。 友達はくるっと振り返り上ずった声で言った。 「お前って・・・ホモだったのか」 教室の黒板には、デカデカと文字が書いてある。 「藤沢はオカマ野郎」 ご丁寧に僕の昨日の服装の絵まで。説明付きで。 ふざけた汚らしい僕の絵が。 - 【DRESS】 - 2003年04月22日(火) 「母さん、あのさ」 朝食の準備が終わろうとしている母の傍へ行って話しかけた。 今日は学校を休みたいと思ったからだ。 「あのさ、今日学校・・・」 「なーに?サチ。早く仕度しないと遅れちゃうよ! あ、瑤子と由希はもう着替えてた?ご飯出来たよって呼んで来て?」 ・・・言い逃してしまった。 仕方なくとぼとぼと2階に上がり由希と瑤子を呼びに行った。 二人はもう学校へ行く仕度は出来ていて、 階下へ降りようとしていた所だった。 やっぱり僕は情けなさそうな顔をしていたんだろうか。 二人とも顔を合わせるなり 「兄ちゃん、今日は大丈夫?」 「急に頭が痛くなったことにしたら?」 とズル休みを勧められて「いや、言い出せなくて・・・」とは言ったが よく考えると今日だけの問題じゃない。 今日休んだって明日がある。 一週間や10日休んで済む事じゃない。 いつかは行かなくちゃいけないんだ。 「じゃあ私が言ってあげる!」と由希が走っていきそうだったので 僕は「いいんだ。行くよ」と言って部屋を出、 そのまま朝食をとらずに学校へ向かう事にした。 -
|
|