作者:佐藤愛子 やーっと終わったという感じ。読み始めるとぐいぐいとひき込まれてしまうのに、3分冊しかも、ハードカバーなのがやっぱり響いたんだな。 薦めてくれた祖母の年代にすると、佐藤紅録の話という印象がするようだが、私の年代だと、佐藤愛子が最もなじみ深い。とはいっても、エッセイを数冊読んだだけなのだが。 私小説の部類に入るのだろう。 これでもか、というくらいの「血脈」だった。死んでホッとする親族がこれほどいるのは、耐え難いものがあるだろうなと思う。でも、作者が書いているように、その渦に巻き込まれたら、どうあってもその中で生きていくしかないんだよね。佐藤家に関わった女たちのたくましさを見ると、そう痛感する。 あとがきに作者が執筆に至る過程で、「あんたの家は変な親戚多くて良いよね」と言われたとあった。 どんな家族にもネタにすべきことがらがあるものだと、私は常々思っているけれど、それにしても、「血脈」はそれを数十冊分押し込んだかのような話だった。
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