今日という日こそ、電話が出来なくて後悔する日はない。 携帯を充電器に置きっぱなしのまま、 ぼうっとしていて君からのメールを見逃した。
たったそれだけ、たった1時間。 もう嘘はつけない。
飲み友達ならぬ飲めない友達とファミレスで、 「目標とする人はいるか?」という話をしたとき、 彼は「スリランカの坊さん」と即答した。 厳しい修行をして、若くして出家し日本に留学した彼は、 穏やかで心が揺るがず、無我の強さを持つそうだ。
さすがに僕はそういう人には憧れないが、 今日はそんな一日だった。 占いを見れば★一つだったし、仕事上も、心もそれなり。
早めに帰ってこれたので、少し寝ようと思っていたのだが 結局だらだらとパソコンをいじり、テレビを見て、ギターを弾く。 いろいろあって最近弾いてなかったから、左指がちょっと痛い。
長井秀和を昨日聞いたのだが、まあ面白いな、といった感じ。 彼はテレビで見たほうが絶対面白い。
テレビで泳ぎ方の講習をやっている。 泳ぎに行きたいなあ、と思ったり。
それでも、この時間の感情を押さえるのは辛いね。
朝起きたのは出勤1時間前だったが、 そこからどうしても体が起きられずに午前中は休みにした。 昨日の電話の後、そこから少し起きていたのがいけないのだと思う。
炬燵に入って煙草を吸っていると、 久しぶりに時間がゆっくり過ぎているのを感じた。 午後には間に合うぎりぎりに家を出て、 途中でいつものように缶コーヒーを買って飲んだ。
会社では今日までにやらなければならない仕事が待っていて、 それが一段落するまで何も食べられなかった。 売店でパンを買い、電子レンジで暖めて食べた。 それから久しぶりに会社で煙草を吸った。
終業時間が来て、途中でうどんを食べて帰った。 電話をしなければならないな、と思いながらメールを打っていると 向こうから電話が掛かってきた。 冷静に、自分が思っていたことを伝えられたと思う。 次にまた電話をしよう、ということで電話を切った。
少し心が軽くなって、写真の整理を始めた。 前に撮った写真を現像しておくためだ。 記憶とは曖昧で美化されるもので、改めて写真を見てみると、 彼女も自分も変な顔をしている。今度笑ってやろうと思う。
よく知っている友達が東京から横浜に引っ越してくるそうだ。 メールからの少ない情報から推測すると、かなりの高級住宅。 別に遊びに行けると決まった訳じゃないのだが、 近いというだけで嬉しくなるものだ。 君も近くにいるといいのにね。 さて、寝ます。 電話を切ったあとすぐ寝ない俺の所為だから気にしなくていいよ。
今期最後の大学へ行ったあと、ちょっとした食事会で遅くなってしまって 電話ができなかった。 なんだかんだ理由をつけて、電話できない自分がいる。
帰ってくるなり、足跡をつける。 それから散らかった部屋を整理した。 もらった紙袋もまだ片付けてなかったので、丁寧にたたんで取っておいた。 その紙袋に書いてあった文がどんな意味か気になって調べた。
フランス語で「いま何時ですか?」。
そういえば、ちょっと前にデジカメを買った。 会社の人に貸してもらったらあまりの良さに感動して。 そして、前に撮った写真をときどき見ている。 あの時の写真を見ている。
日記を書くことをずっと躊躇していた。
今日だって、普通に仕事に行って、 少し残業をして、帰りに煙草を買って帰ってきた。 もちろんずっと考えっぱなしだ。 まだ救われる気配は無い。
神様、助けてくれ、駄目なら殺してくれ、と叫ぶ。 自分がしなければならない決断に耐えられなくなってきている。
きっとこんなことを書くと凄く心配するだろうし、 気になってしまうかもしれない。 淋しいのは僕も一緒だ、でもそれを言ってはいけないと 昨日は自制が働いた。
自分の理想としている自分になろうとする度、 そこには妥協や躊躇や溝が生まれていく。 それがコンプレックスなのだと、二人で買った本を読む度に思う。
...風呂入ってこよう。
照れて、笑って、泣いて。 キスをして、電話して、泣いて。 悲しんで、喜んで。
今日の君にほほえみを。 明日の僕に勇気を、力を。 おやすみ。
1月22日 水瓶座 (みずがめ座)の運勢
総合運 ★★★★★ のってる日。できるところまでやってみて。 愛情運 ★★★★★ 楽しいデートになりそう。今夜は遅くなるかも。 金運 ★★★★☆ ゴージャス気分が味わえそう。今日はちょっぴり贅沢に。 仕事運 ★★★★★ 頭脳はもう、フル回転。今日は、とても冴えてます。
今日のラッキー情報懸賞関連の情報にツキがあります。
感想: ・・・なんというか。ハイ。12/26(日記は27日)の再来ですか。
今日のことを考えて、そわそわする。
今度こそ遅刻できないな、と思ったのだがやはり昨日もあまり眠れず、 起きたら本当にギリギリ。 数百円を犠牲に、定期とは違う路線を使って遅刻は免れた。
仕事がどんどん増えていく中で、明日の予定を組んだ。 浮かれ気分も半分くらい。
会社から連絡があって、一度家に帰ってから会社に戻った。 次の仕事はかなりキツソウである。
家から帰ってきたらコタツがつけっぱなしだったよ。 多分昨日の夜からだ。 でも帰ってきて暖かいというのは少し嬉しい。
明日は少し羽目を外します。
何年もの間、暗い闇を走っていて そこを抜けるきっかけがあったのが去年の11月。 それから今まで、本当にいろいろなことがあった。 その中で僕は流されたり、或いは逆らったりしながら懸命だった。 今までに無いほど懸命だった。
毎週火曜日は大学へ行くのだが、親友であり悪友である奴と 4時間ガストで話をした。 彼が代わりに答えを出してくれたのではなく、 問題に対して誠実に、冷静に対処することを教えてくれた。 それだけで僕は少し救われた。彼には暫く頭は上がらなそうだ。
よく考えて、一番自分らしい答えを出した。 正解ではないと思うけれど、胸を張れる答えを出した。 また何ヶ月かしたら、きっとまた少し考えすぎたりするんだと思うけれど、 そして少し涙を出したりするのだろうけれど、 しっかり地面に足をつけて、進んでいる気がする。
そのことを、君と共有できている。それが嬉しい。 あわよくば、次の運命を。
昨日は結局ちゃんと眠れなかったし、 少し悩みすぎていると思うので、 早めに寝ることにします。
もう何を言ってもだめだろうと思う。 今日も結局一度決めたことを覆すことができなかった。
夕方からずっと携帯の電源を切っていた。
英会話に行く前に、まだ寝てるかな、と思いながらメールを入れた。 2レッスン目の最後頃に、返事の着信をバイブレーターで知った。
こちらの雪は昼頃には雨っぽくなり、あっという間にやんだ。 彼女に会って話をしたが、別れてもいいから結婚したいと言われた。
君のことは言えなかった。
これでいいわけがないのに。
今日の夜の番組に石田ゆり子が出ていた。 じっと見てしまう。 最後にやった曲はスガシカオの「愛について」。
僕らが、 もう少し愛についてうまく、 語れるときが来たら、 運命に身を任そう。 少しずつ、少しずつ、毎日が過ぎて、 悲しみに出会うときは、 涙を流そう。
--- 4時45分 寝ます。おかしいよね。
今わかった。昨日の日記が猫だったから、あのメールだったのか。
電話しないでいると、電話したくなるが、 電話すると、切った後に反動が残る。 内容を思い出して反芻し、高揚と背徳を感じる。 軽く頭を振ってネガティブな気持ちだけを振り払おうとするが、 それでも擡げている二つの想い、それに引っ張られる。
悦楽の時間を未来に借りているのだ。 いつかそれは対価を以って返却しなくてはならない。
まだ、君の夢は見ない。
2004年01月14日(水) |
シュレディンガーの猫 |
いろんな反動が来たのか、寝坊してしまって午後出勤になった。 寝坊したついでにしっかり寝たので昼からバリバリ仕事が出来た。 でも気をつけなければいけないな、と思う。
写真を見たときは深津絵里を思い浮かべた。 でも、そのすました顔は何だか嫌だった。 着飾った美しさよりも晒された素顔のほうがいいと思った。
昼頃から、理由も無く急に精神が安定して驚く。 問題は何ら解決していないにもかかわらず、 世界がこちらを向いてくれた、という変な感覚に襲われた。 そして、自分がしたことを激しく後悔した。 気分が良いまま、後悔した。
君が思うほど、僕は気にしてない。 優しさではなくて、本当にそう思ってるんだ。 多分それは、君が正しいことをしているという自信に満ちているからで、 その点で僕は全く違う。 だから、今日の君のメールへは返事が書けなかった。
大きな箱に閉じ込められた猫は、外の世界からは隔離されて 生きているか死んでいるか分からない存在となる。 果たしてその猫は、自分をどう思うのだろうか。
--- 思い出した。 君には嘘はつかないと決めたんだっけ。 また明日話をしよう。
きっと何かあったのだろうな、と思っていたのと、 あまり頻繁に電話をしてはいけないだろうな、と自制が働いて、 素直に寝ようと思っていた。
だが、メールが着た。 すぐに電話を掛けた。
こういうときは、他愛もない話をするのがいい。 僕は結構こういうのが得意だし、 本当は電話したかったのだし。 君が眠れるようになるまで、付き合えるのが嬉かったり。
だが、電話を切ったあと一仕事すると、あっという間に意識を失った。 朝の目覚ましに飛び起きるとそこはコタツの脇。 うわ、っと思って会社へ急いだ。
おかげで今日の昼休みは良く眠れた。 体は今のところ大丈夫だから心配しなくていいよ。
まあ、今日も今日とて電話したくなってはいるんだけれども。
2004年01月12日(月) |
それは繰り返すことかもしれない |
明日から仕事。嫌になる。
キツイ現実に目を向けるために、車の中でスガシカオを熱唱する。 家に着く頃には喉がガラガラ。そこに煙草を吸うわけで、とうぜん体には悪い。
明日の朝はゴミを捨てないとなあ、と思いながら昨日の夜就寝したのだが、 朝収集車の音で目が覚めた。 もちろん全然間に合わず、ゴミ袋が二つ残っている。うむぅ。 どうも休日の間にすっかり半夜型人間になったようだ。 完全な夜型、というわけではないだけ救われているのかもしれないが。
下の妹がギターが欲しいと言ってきたので、使っていたギターのうち 一本を貸してやる。 かつて付き合っていた彼女と別れたその日に買ったそのギターは、 僕よりも妹が抱えると良く似合っていた。
まあ、似合ってるだけで全く弾けてないのだが。
今日の昼飯はミートソーススパゲティ。 不味くはなかったが、作り過ぎた。
スガシカオの曲にミートソースというタイトルのものがあったが、 なんて曲だったか忘れてしまったな。
休日はヒゲを剃らないのだが、そろそろワイルドさにも拍車が掛かりすぎて 剃ろうかどうか迷う。出来るだけ剃らないほうがその間は肌に負担が掛からないし、 伸ばしていたほうが次に剃るとき綺麗に剃れるのだ。
部屋掃除は遅々として進まず。 気分転換に外に出てきます。
--- テレビを見ていてぼんやり思ったことを。
生まれ変わったら、次はどうする?という問いの裏には、 生まれ変わることは無いことが前提となっている。 だから人は次は云々という話を平気でできる。
『生まれ変わることはできるけど、今を全て捨てる必要があるし、 次も同じものを拾えるチャンスがあるとは限らないよ?』と 問われたとしたら、どうするだろうか?
僕は今を選択するだろう。今の人生で勝負したい。
「結局ね、人生は楽しんだもの勝ちですよ。それでも人は悩むんだけどね。」 と言い切れる自分の妹に感服。
3連休は特に用事をいれなかった。 というか、入れられないわけだが。
ずっと前に買ったマッキントッシュを久しぶりに起動させようとすると 起動しない。 友達にソフトをあげるためのチェックに使おうと思っていたのだが、 これでは話にならないな、とガックリする。
電源ボタンを押して、ガックリ。 リセットボタンを押して、ガックリ。
しかし、一日コンセントを入れて放置していたら、 起動した。放っておくと機嫌が悪くなるのか。
--- 家にあった「行列のできるパスタ屋のパスタソース」(詳しくは失念)が ずっと冷蔵庫にあるのを気にしていたので、パスタを作ってみた。 トマトソースとカニソースが別のレトルトになっていて期待が持てる。
とても行列はできないな、と思った。
今度は普通のミートソースで普通にパスタを茹でるつもり。
--- ようやく重い腰をあげて、年賀状を書いた。 去年始めた写真から、印刷する風景を一つ選んで。 そのとき隣にいたのは、君だよ。
2004年01月08日(木) |
軽蔑してくれて構わない |
今日は碌に仕事をしなかった。 午後から人事部の個人面談があって三鷹まで行かなくてはならなかったので 適当に切り上げてしまった。 その後、コーヒーを飲んだりして時間をつぶした後、 気が乗らないまま英会話へ行き、そこで知り合った人と軽く飲んで帰ってきた。
昼に、最近連絡の無い女友達に久しぶりにメールをしていた。 月に一回くらいはマメに連絡をくれる人だったので、気になっていたのだ。 帰ってくると、返事が来ていた。
年末に彼女は妊娠して、中絶していた。
無論、相手は俺ではなくて彼女の彼なのだが、 それでも軽いショックを受けている。 彼女が付き合う付き合わないの時に話を聞いていただけに。 メールが書けるというのは強さだろうか。
もういろいろ悩むのは辞めようと思う。
昼飯を食った後テーブルに突っ伏して寝るのだが、 今日は飯を食うのが遅くなったので、昼間眠くて仕方なかった。
そういうときは、トイレの個室で10分寝る。 そして夢を見るのだが、大抵思い出せない。 そんなもんだ。今日もそうだった。
それでも、通勤電車の中では本を読んで過ごすことにしている。 本の一番最後のページに大事なものを挟んで、 それを時々眺めたりしている。
今年の初夢は確かに見たのだが、 起きて数分後にはすっかり忘れてた。 微かに残ってるのは、レンガの赤いイメージ。 何の夢だったんだろう?
ごめん、今日はちょっと機嫌が悪いのかもしれないね。
生まれて数千回目の自己嫌悪を今日も繰り返し、また夜を越える。 言い訳はもういい。そろそろ寝よう。
---
いや、それでも寝られないんだけど。 そんなメールきたらさ。
2004年01月06日(火) |
I know you know |
毎週火曜は大学へ行く日なのだが、今日はまだ授業をやってなかった。
のに、気が付かずに行ったよ。本郷まで。
まあ、学割で買いたいものがあったからいいんだけどさ、と強がりってみつつ 帰りに湯島天神でも行ってみるかと御茶ノ水まで。
湯島天神って昼間しか開いてないのね...。
振られ振られて隣の神田明神へ。 おみくじを引こうとしたら棒が2本出てきたので、聞くと 「どちらか選んでください」と言われる。いいのか?そんな安直で。
出た結果は吉。頑張ればどうにかなるということばかり書いてある。 境内に結びつけて帰ってきた。
---
年賀状が届いた。転居したからまとめて。 書かなくてはいけないんだろう。
---
昔個人的に書いていた日記が出てきた。 いつかの春のことが書いてあって苦笑する。 宇多田ヒカルのCDは、結局買ったのだろうか?
本当は、今日こそ電話をしたかったのだけど、 なんとなく君の心を感じたから やめておこうと思う。
といいつつ、携帯からメールだけは送ってしまう。 あほか、と自分でも思う。
--- そして、メールのやり取り後、電話を掛けていただきました。 ありがとう。
カッコイイ文章を書くのには些か飽きた。
編集者に我侭を言い、大好きなホールアンドオーツのMDと翻訳機と僅かばかりの着がえを持って空港へ向かった。市内を過ぎるあたりで東関道は渋滞していたが、スケジュールも待つ人も無い僕にとってそれはシナプスの無駄遣いを許された時間というだけだ。24時間前に、事務所で少しばかり休暇が欲しいと言った僕に、いつも僕の文章のアウトプットを支えてくれる彼女は普段預けっぱなしのパスポートと、わざわざ取材費としてそれなりの金を用意してくれた。これで彼女には暫く頭が上がらないんだろうな、と苦笑して、酔った勢いで一度だけ彼女を抱いたときのことをぼんやりと思い出していた。
美人ではない、むしろ少し不細工の部類に入る彼女は、入れたとたんにこっちが驚くほどいきつづけた。彼女にとってはそれが普通らしかったが、あれはあれで変な自信を僕に与えてくれた。よく考えれば、そのときからもう既に頭が上がらない存在なのかもしれない。
車の中で、何度もパスポートの存在を確認した。
駐車場に車を停め、カウンターの女に「外国へ行きたいんですけど、僕はどこに行ったらいいですかね?」と洒落で聞いてみた。女は素っ気無く「ニューヨークの便に若干の空きがございます」と答えた。なるほど、航空会社のマニュアルには格好つけたがる男の処理法も載せているらしい。僕は微笑みを絶やさずに「それを大人一枚」と答えてやった。チケットが手渡されるまで、女はずっと無表情だった。
飛行機はラガーディア行きだった。くそ、あの女嵌めやがったな、と海外小説のような台詞を口にしてはみたが、別に飛行機がケネディに着こうがラガーディアに着こうが、のっぽのビルに突っ込まなければどうでもよかった。そもそも、あの双子のビルはもう無いじゃないか。
空港からタクシーを捕まえて、調べておいたそこそこ安くて安全なホテルへ向かった。だが途中でひらめいて、運転手に頼んでワールド・トレード・センターの跡地へ迂回させた。縦長の風景を幾ばくか進み、あと2ブロック、というところで運転手は何か言った。自動車は現場に横づけすることができない、と僕のギリギリの言語能力で理解した。チップを多めに払ってタクシーを出ると雨が降りそうな中を、小走りに進んだ。
グラウンドゼロ。爆心地。
なぜ爆心地なのだろう? グラウンドゼロへ行きたいと告げたとき、タクシーの運転手は僕のつぶやきに明快な答えを用意した。「ビルが崩れて何にも無くなった。何もないから場所だからグラウンドゼロ。ゼロは何も無いだろ?」そして、俺の友達の友達もそこにいた、と付け加えた。
前の通りのフェンスには、遺品や国旗が掲げられていた。不謹慎とは思ったが、剥き出しのエゴイスティックな感情に少し吐き気がした。
黒人の神父が隣で説教をしていた。 弟を殺したカインを、人類最初の殺人者となった彼を神は守られたのだという。だからテロリストも正当な裁きの上で、許さなければならない、と言っているようだった。周りの人は泣いているようだった。
物事はそんなに簡単ではない、と僕は悪態をつく。いや、正確にはそんなに難しくないとでも言うべきか。僕達は等しくカインの末裔であり殺人者の系譜なのだから、僕らは等しく人に嫉妬し、呪うことを許容すべきだ。
そう、最近考えたばかりなのだ。ゲリラに親兄弟を殺され、両手を切り落とされた少女の写真の、その瞳を見て。
訳有って実家へ帰る。 何度電話しても母親が出ないため、電車を降りて途方にくれた僕は バス通りを歩いた。
通いつめていた楽器屋は本屋になっていた。 角の眼鏡屋は定食屋になっていた。
家に近づくにつれ、何度も電話を入れたのだが埒が開かず、 遠回りしてかつて通学路として歩いていた道を行くことにした。 もう10年以上通っていない道だ。 ずっと一緒に遊んでた友達の家の表札が違うものになっていたり、 バスの路線が大きく変わっていたり、変化を感じる。
通学路の途中にある家の庭のオレンジはそのままだった。 暗くてよくわからなかったが、その隣には椿の木があるはずだ。
小学生の頃、アゲハチョウの幼虫を見つけた僕は 虫かごに入れて学校で飼い始めた。 餌はオレンジの葉。それを朝の通学路で調達していた。 でも植物をよく知らなかった僕は、次の朝から間違えて椿の葉を与え続けた。 幼虫は、最初の日にあげたオレンジの葉ばかりを食べていたので、 僕はそれを取り上げてしまった。
しばらくして、幼虫は小さくなって死んでいた。 僕は小さな命を自分の不注意で失わせてしまったことにショックを受けた。
あのアゲハチョウの羽根は僕がもいでしまったのだ。 僕はその罰を今受けているのではないか、いまでも時々思う。
当然眠れるわけもないわけで。 君はログを見て驚くだろう。 そういうのを少し期待して。
今日やることだけは、しっかり考えた。 車で出掛けるのは危ないので電車でいこう。
年賀状も書かずに年を越すわけにも行かず、プリンターを買ってきたのが 大晦日の18時。それから紅白と格闘技を交互に切り替え、プリンターの設定を 始めたところで年が明けた。
あけましておめでとうございます。
年明け一分後に「年明けタイミングで勉強してやる」と 受験生みたいなことを考えていたことを思い出し、おもむろに本を読んだり。
年明け早々言い合いをする。 ずっと思っていたことだったが言わなかったことを口にした。 それで、一日は無駄になった。
結局自分に言い訳をして、こちらが折れる格好になる。 そんなのは優しさじゃないことも知っている。 でも、結論を出すには早すぎるのも判っている。
年賀状とは別に、友達から手紙が届いた。 年末に遊びに行ったときに撮った、彼らの子供を抱く自分の写真が同封されていた。 何がどうあれ、日々は続き、季節は巡る。
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