先ほどまでそこにいたはずの姿がそこになかった。どこかに行ったのだろうか。「そこにいるじゃない」そう言われてもう一度目を向けると確かにそこにいる。目のまえで無声映画のように表情だけが見えるけれどあたしには何も聴こえない。あたしにはもうその存在すら認識できなくなりつつあるのだろうか。