にっき日和
おしながき前よむ次よむ


2004年09月26日(日) あるスーパーの撤退

ココアがめっきり美味しくなった今日この頃・・・

こんな情報が、わたしの耳に飛び込んできました。


それは、町内唯一のスーパー「Mスーパー」が、

今年いっぱいで撤退を決めたとのことです。

Mスーパーは、地元資本のチェーン店なのですが、

親会社のMデパートが倒産してからは、経営が芳しくないと聞いておりました。

はっきり言って、値段も安くなかったし、品質・品揃え共に今ひとつ・・・

地元の評判はイマイチなのに、

近隣に競合店がなかったことに、長年あぐらをかいていたというかんじでした。


思い返せば、30年前。

Mスーパーの町内進出は、画期的なものでした。

町民の、それまでの買い物パターンを、

根こそぎくつ返してしまったからです。

それまでのわたしたちは、

野菜なら八百屋、お肉なら肉屋、豆腐だったら豆腐屋というように、

町内の個人商店で、それぞれ用を済ませておりました。

どの商店主も、昔からの顔なじみで、

日々必要な分だけを買い足していたのです。


30年前、Mスーパーが開店した日のことは、いまだ鮮明に記憶しています。

広い店内に豊富な商品、ズラリと並ぶレジ台・・・・

それはそれは魅力的に映りました。

大人も子供も、誰もがMスーパーの進出を歓迎しているかのようでした。

そして今では当たり前になっている発砲スチロールのトレイや、

ビニール袋(その頃はコンビニ袋と呼ばなかった)も、

その日初めて目にしたのです。

どうして、にんじん1本しか必要ないのに、

3本まとめてじゃないと売ってくれないんだろう?

なぜ、野菜がいちいち発砲スチロールに乗っているんだろう?

この容器は、その都度捨ててしまうんだろうか??・・・・などと、

子供心に疑問が残ったものでした。

目新しさが手伝って、町民の足は自然にMスーパーに向いてしまい、

個人経営の小さな商店は、次々と閉店に追い込まれました。

そして、主婦必携だった買い物カゴも、同じように姿を消していったのです。


あれから30年。

周辺の町には東京資本の大手スーパーが次々進出し、

Mスーパーは、値段も品揃えも完全に時代遅れとなってしまいました。

それなのに車を運転できないお年寄りたちは、

いまだMスーパーでの買い物を余儀なくされています。

だって、この30年で、

徒歩範囲の個人商店は皆、廃業してしまったんですから。

「もういいんじゃない?30年も稼がせてやったんだから」

近隣の住民はさめた目で、この撤退話を噂しています。


さて我が家の食料品はというと、

週一回程度、車で10分足らずの某スーパーまで買出しに行きます。

さほど大きな店舗ではないのですが、夕方となれば大賑わい。

値段の安さはもちろんですが、

にんじん一個、じゃがいも一個単位から購入できる無駄のなさが、

人気の秘密のようです。

昔ながらの購入形態が、今また見直されているのでしょうか。

そういう時代だから・・・などと、

一言で括ってしまえばそれまでなのですけどね。


この30年、Mスーパーは地元に何を残してくれたんだろうかと考えます。

わたしたち住民は、何を捨て、何を得たのでしょう。

切り捨てていったものの中に、

何かとても大切なものが紛れていなければよいけれど。


・・・・よけいな危惧でしょうか。


ぴょん

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