(SleepWalking)



夕立
 
今よりも更に世間知らずだった時のことを
雨に思い出す
冷たく揺れた髪は今でも
風にそよぐだろうか
世界にはわたししかいない
車のライトに照らされて
浮き彫りになったのはただ
傘も差さずにぽつりぽつりと
歩き続ける哀しいこども
その姿
きっと今夕立が来ても
わたしは許すことが出来ないから
蝉が焼け死んで落ちるほどの
強い日差しが欲しい
湿った世界ではおそらく
悲しみをぬぐえないから

2005年08月10日(水)


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うしろゆび
 
笑い声を背中で受け止めることが
実はどんなに気持ちいいかということを
知らないのを愚民という

愚かな虫は考えた
例え如何程に蔑まれようとも
この快感には変えられぬ
ささと動くその足に
いつか恐怖するのはお前らだ
笑い声が降りかかる
冷たい殻で身を守る
いつかこの身はこんなにも
硬い艶を持っていた
笑い声は怖くない
恐れているのは
ただ存在するだけの存在になること
笑われもしないことなのだから

2005年08月03日(水)


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せみ
 
あまりの暑さに耐えかねて

あのひとに会いに行くことすら

億劫になって

仕方が無いので暇つぶしに

髪を切ることにした

油蝉が鳴いている

重たい雲の合間に向けて

ぎりぎりの強さで走り抜けた

飛行機雲に向けて

風が吹かない昼下がり

夕立をまとうか

雨宿りを求めて

2005年08月02日(火)


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