2003年07月31日(木)  浮き輪。
浮気はしてよいか悪いことか。そんなの聞くまでもないし答えるまでもない。野暮な質問だね。答えはしてよい。いや、浮気という動物的な衝動を肯定しているのではなくて僕はただ当然のことを言っているだけなんだよ。本当はこんなこと書かなくてもいいくらいなんだけどね、浮気に対して間違った認識をしている人が多いから今夜は言わせて下さいもう少し。今夜は帰りたい帰りたくない。

浮かれた気持ちと書いて浮気。誰だって浮かれるときはある。そうキミだって僕だって美容室で順番を待ちながらこれを読んでいるアナタだって鏡を凝視しながら髪を切られているあの人だって、誰だって浮かれるときはある。

髪を切るという行為は人からよく見られたいという願望。浮気だって同じ。一人でも多くの人に愛されたいという願望。行為自体は異なっていても根底に流れているものは同じなんです。今ポテトチップスをかじりながら読んでいるアナタ。それも同じ。言ってみれば髪を切るということ浮気しているということ。根底に流れるものは皆同じ。同じ川には魚も泳いでいればザリガニだっているし空き缶だって流れている。そういうことなんです。

浮気はされて当然という大前提のもと人は恋愛に取り組まなければいけない。いかに相手に浮気をされないか。これが重要になるんですね。いかに自分だけに目を向かせていられるか。その為には常に自分を磨かなければいけない。具体的に言うと髪を切って自らを美しく表現し、彼氏の前では飲食を控え自分の部屋で一人になってからポテトチップスをかじる。持続する愛には努力が必要だということを忘れてはいけない。しかし髪を切ることもポテトチップスをかじることも根底に流れるものは浮気のそれと同じ。その矛盾を抱えながら生きていくことが恋愛の悦びであると同時に苦悩でもあるわけです。

僕の言っていることがわからない人はおそらく正常な恋愛をしている人です。
2003年07月30日(水)  営業。
今日は営業7課始まって以来の快挙を成し遂げた。1日で契約成立8本。所属長は前代未聞だと僕を褒め称え、周囲の人達は如何にして契約を立て続けに成立させたか聞いてくる。誠意と真心。武富士のCMでも言ってるでしょ。誠意と真心。なんて綺麗事は言わない。今日は運が良かっただけ。動悸が激しくなる。営業7課のホワイトボードに大きく僕の名前と契約本数が記される。
 
はっきり言えることは、この仕事は僕には合っていない。契約が1日に1本も取れない日は電車の中で激しい動悸に見舞われ、部屋に戻ってもそれが続き布団に入って夢の中で契約を取る夢を見る。今日のように嘘のように弁が立ち、ずば抜けた契約本数を獲得すると、やはり動悸が激しくなり、周囲の声が鬱陶しくなり、やはり電車の中で動悸が激しくなる。どう転んでも駄目だ。諸手を挙げて喜ぶことができない。
 
臨時ボーナスが出た。社員の前で現金が入った封筒を貰う。引き攣った笑顔。心にもない謙虚な言葉。屈託した思考。鬱々とした気分。
 
「キミには適わないよ」
 
駅に向かう途中、僕を追い掛けるように走ってきた男が肩で息をしながら話し掛けてくる。僕を何かとライバル視する男。僕より契約を取った日はすごく喜んで聞いてもいないのに僕に契約が取れるコツなどを伝授しようとする。僕はもう仕事のことなど忘れたくて、早く部屋に帰りたくて風呂に入って眠りたかった。明日目覚めれば嫌でもまた仕事のことを考えなければいけない。今日はもう終わり。今日取った契約本数も明日にはリセットされてまたゼロからスタートしなければいけない。永遠に続く焦燥感。落ち着くことを許されない心拍数。
 
臨時ボーナスの封筒を取り出し、新しい小説を1冊買って、弁当屋で550円のスタミナ弁当を買った。これが今の精神状態で行うことができる精一杯の贅沢。部屋に戻り、日記を書く。動悸は止まらない。今日が終わる。明日が始まる。
2003年07月29日(火)  花火。
遠くで花火の音がする。僕はこの辺りの土地感に疎いので、どの辺りで花火大会が開催されているかわからない。散歩がてら花火が見えるところまで歩いてみようと8時頃外に出て1人で歩いてみたけれど、尺玉が破裂する音ばかりして一向に夏の大輪を拝むことができない。15分ほど歩いて来た道を引き返し、酒屋でビールを買って部屋に帰る。
 
もう何年も花火大会に行ってないなぁ。
 
「花火見にいこうよ」
「僕はいいよ。明日仕事だしね」
 
彼女がいる時は首を縦に振らないくせに1人になるとこうやって夜の道をとぼとぼと花火を求めて歩き続ける。歩きながら夏に付き合っていた女性を思い出す。皆、今は何をして何処にいるのかわからない。元彼女という概念が僕にはない。別れると、ただの他人になる。ただこうやって1人で歩いているときに時々思い出すくらいの存在になる。
 
部屋に戻ってからも絶えず花火の音が聞こえる。ベランダに出ると隣の部屋の女性もベランダに立っていた。
 
「花火やってますね」
「うん。どこでやってるんだろうね」
「私まだ日本の花火見たことないんです」
「僕も3年くらい日本の花火を見ていない」
「わ、すごい音」
「今の花火は大きかっただろうね」
 
涼しい夜の風を全身に受けて、耳を澄まし、夏の風物詩の音だけを2人で聴いていた。部屋に戻りビールを飲んだ。昔の彼女に電話をした。寂しいからじゃなくて、あの日に花火大会に連れて行かなかったことを謝ろうと思っただけで。
2003年07月28日(月)  吊り橋。
いつも久米宏はニュースステーション終了前に「できるだけニュース」と言って本日のニュースのダイジェストのようなものを流すが、僕はそれが気に入らない。「できるだけニュース」の「できるだけ」という投げ遣りな、とりあえず聞いとけみたいな横暴な態度が許せない。「できるだけ=時間が許すだけ」という切迫した雰囲気も許せない。以上。
 
セ・リーグは月曜日は試合をしないので、必然的に「マンデー パ・リーグ」となる。ニュースキャスターが「今日はマンデーパリーグ」と言うと、あぁ今日は月曜日なんだと思って少しがっかりする。がっかりの詳細はまた新しい1週間が始まったということとセ・リーグの試合が休みだということ。以上。
 
最近、家に帰ると動悸が止まらなくなる。とても芳しくない状況だと思う。何年も営業の仕事をしている人を心から尊敬する。生来僕は気が小さいので、やはりこういう仕事は向いていないのかもしれない。向いていないからこそ挑戦することに意義があるのだから、契約が切れるまでクビにならないよう頑張ります。家に帰ってからベッドに横になるまで常にドキドキしている。
 
と、吊り橋の法則。吊り橋の上で異性に出会うと、揺れによるドキドキを恋のドキドキと自分で勘違いして恋に落ちやすい、というもの。心理学の有名な法則です。僕は今吊り橋の上に立っているわけじゃないけど、この通り常にドキドキしているので、誰かが僕の部屋にやってきたらそれがNHKの受信料請求のオバさんだろうと、大家の娘だろうと、怪しげなパンフレットを配布する某宗教団体の勧誘員だろうと確実に恋に落ちます。誰か来ないかしらん。
2003年07月27日(日)  いつも外が暗闇だったら。
都内のフリーライターの集会があって、それに出席した。貸し切られたドトールコーヒーの2階には、いかにも文章を生業にしていますというような人たちがたむろしていた。知っている顔も2・3ある。先日の、誰の何の出版記念パーティか忘れてしまったが、そのパーティに出席したときに名刺を使い果たしてしまい、また作らないといけないなぁと思っていたことを昨日の夜に思い出し、深夜2時くらいから急いで新しい名刺を作った。右端に古風な兎のデザインを添えてみたが、朝起きて今一度名刺を眺めてみると、どうして右端に兎のイラストなど印刷したのか自分でも理解できなかった。
 
小学生の図工の時間に作ったような稚拙な名刺を渡す。綺麗な女性だ。着こなしから身のこなしまで全てが洗練されているような感じを醸し出している。このような女性は一体どのような文章を書いているのだろう。
 
「主にマーケティング関係です」
 
主にマーケティングという意味がわからなかったので、隣のテーブルに座られでもしたら訳のわからないことばかり話し掛けてこられそうなので、綺麗なんだけど、僕の専門外。悔しいけれどテーブル4つ分くらい離れて座る。
 
今日は意見交換会のような感じで、右から左から上から下から様々な意見や質問が飛び交う。やはり皆プロのライターなので、会話自体が理路整然としていて文章になっている。やはりライターはこうでなければいけない。僕のように何を話し掛けられても、しどろもどろになったりうやむやに答えたりしてはいけない。
 
書いてみようと思った仕事が4つほど見つかったので、今からクライアントに宛てるメールを書く。明日からまた仕事が始まるんだけど、文章の仕事となると、どうも頭が冴えて眠れなくなる。あと僕の悪い癖は日が暮れないと文章が1文字も書けないということ。毎日外が真っ暗だったらいいのにと考える。しかしそう考えているうちは、子供がグレた理由を育て方ではなくて環境の所為にしているようなもので、これはいけない兆候。自分で生んだ責任は全て自分に返ってくる。当然のこと。30日締め切りの原稿をまだ1文字も書いていない。わかってる。明日書くから。
2003年07月26日(土)  醍醐味。
勤務終了前、僕の前に座っていた男性2人が主任に呼ばれたきり10分程姿を消した。肩を落として帰ってきた。僕の隣に座っていた女性が仕事を中断し好奇心に溢れた口調で話し掛ける。「どうしたの?」
 
「戦力外通告だよ」
 
「え?」女性が素っ頓狂な声を挙げる。周囲のデスクの人たちが訝しそうに彼女を見る。オフィスには絶え間なく電話が鳴り続け、具体的に何の仕事をしているのかわからない人たちが右往左往している。勤務終了前、僕は今夜の晩飯と今後の人生の方向性について考えていた。
 
「来月から来なくていいってさ」
 
僕はお得意様への宛名書きをしていたペンを止めてようやく彼等の方へ顔を上げる。悲しいような呆れたような怒っているような顔をしていた。1人は既にネクタイを弛め、放課後の補習が終わった中学生のように静かにバッグに書類を入れて帰る準備をしていた。
 
「どういうこと?」
 
彼女はどういうことか理解しているくせに確定的な予想を確信に変えようとしている。女性の怖さはこういうところに隠れている。美味しいものは骨の髄まで味わおうとする。彼等は何も言わずただ弱々しく笑っただけでオフィスを後にした。彼等が消えてから彼女は椅子に座ったままキャスターを転がしながら僕の方へ寄ってきて「クビだってさ!」と小声とも大声とも取れない声で話し掛けてきた。
 
「次は僕の番かもしれないね」
 
と僕はおどけてみせた。「そうかもしれないわね」なんて彼女も笑っているけど、次は多分キミの番だよ。キミは無駄が多すぎる。そのリストの整理、一体何時間掛けて作業しているんだ。
 
この会社に戦力外通告という制度があることは知っていた。給料を日給に換算して、自分の粗利が日給に満たない日が数日続くと突然上司に呼ばれるのだ。そして殺風景な物置のような部屋で来月から来なくていいと宣告される。今のところ、僕は大丈夫だ。勤務当初に上げた脅威的な契約量の貯金がまだ残っている。今はそれを浪費し続ける毎日。今日も契約が1件しか取れなかった。まだ、大丈夫。大きな契約を1つ取れば3日は生き延びていける。
 
彼等は帰りのエレベーターの中で何を考えるのだろうか。いつまで経ってもすっきりしない空を見上げながら何を想うのだろうか。
 
僕のこの会社の契約は3ヶ月。畑違いのこの職場で、いつまで生き残れるか、自分がどこまで通用するか。人生の醍醐味はまだまだ続く。
2003年07月25日(金)  洒落にならない本当の話。
昨日職場に傘を忘れたので今日は忘れないように帰ろうと思い、カサカサカサカサと繰り返し念じながらタイムカードを押して傘置き場に行くと傘がない。昨日出勤途中に池袋駅のキヨスクで買ったばかりの傘がない。ビニール傘がない。一度しか差していない傘がない。五百円の傘がない。馬鹿。誰だ取った奴は。馬鹿。
 
エレベーター越しに外を眺める。すごい雨。しかしビニール傘なんてものは誰かに窃取される為に存在するようなものだからね。傘置き場には似たようなビニール傘がいっぱいあったわけだし取ろうと思ったらいつでも取れる。取られた本人も自ら所有していた傘の形が思い出せないほど普遍的な形状をしているわけだからね。しょうがないよ。だけど僕のビニール傘は柄の部分が黒くコーティングされていた。多分。あんまり自信ないけど。
 
ビニール傘は安くて経済的だなんて言う奴は馬鹿だ。都市伝説だよそんなの。全然経済的じゃないじゃないか。もう三度目だよ傘買うのは。五月に引越してきて、約三ヶ月の間に傘を三度も購入する。二十七年生きてきて三ヶ月の間に傘を三度購入するなんてことは初めてだよ。ビニール傘三本で千五百円。この三ヶ月の間傘を差した回数六回だとすると、雨一回当たり二百五十円支払っていたことになる。馬鹿々々しい。これからは一本の傘を大切にしよう。
 
思い立ったら吉日。吉日というか外は雨だからしょうがないんだけど仕事帰りに池袋パルコに寄って一生物の傘を詮索。一生物なんだから少々値が張っても仕方ないよね六千円。……。無理! いくら値が張るといっても僕の一生物は、えっと、だいたい三千円くらいでいいから! おっ、二千円。手頃な値段だね。手頃に一生使えそうだね。つーか無理。柄の先端がカエルの形をしていてとってもファンタジー。僕は先日二十七歳になってしまったので、こんな御茶目な傘なんて持てない。
 
結局、無印良品の三千円の傘を購入。帰りの電車の中で爆睡。最寄駅近くで目覚めるとどうやら搾取された模様。洒落にならない本当の話。
2003年07月24日(木)  削られる部分。
「どう?」
「いや、全然、そっちは?」
「まったく」
「ダメっすね」
「ダメだねぇ」
 
職場の喫煙所。ビルの薄暗い一角で同僚と顔を合わせる。僕と同じ日に出社し、お互い最初の3日間で脅威の契約数を叩き出し、社員から怪物などと言われて、それぞれの名誉と誇りを背負って別々の部署へ配属され、それぞれの部署でそれぞれの天狗の鼻をへし折られた。
 
「世間は甘くないっすね」
「うん。最初がうまく行き過ぎたんだ」
 
今日は2人とも1件も契約が取れなかった。彼は僕の最寄駅の2つ先の駅のところに住んでいるため、帰りの電車の中で今日の反省会。「営業は自分の人間的な感情を切り離し、如何に冷酷になれるかが重要な鍵である」という結論に納まる。彼と僕はお互い似ているところがある。どこか、何かに、怯えているような感じがする。時々実力以上の成果を上げるときもあれば、自力ほども自分の力が出せないときがある。非常に、その、なんていうか、人生的にムラがある。
 
「オレ、すでに精神的にボロボロなんすけど」
「僕もそうだよ。昨日なんて夢の中で契約2本取ったんだよ」
「夢の中はまずいでしょ」
「しかもたった2件だもんなぁ」
「あぁ、海行きたいなぁ」
「せめて夢の中だけでもね」
 
沖縄出身の彼と鹿児島出身の僕は東京の荒波に揉まれながら日を追うごとに何かが削られていくような感覚に陥っている。
 
「合わないなぁ。ここは」
「合わないっすねぇ。ここは」
「まぁ生きていくために」
「何かを削らないといけないわけですからね」
「お互い1日5件契約取れたときは」
「酒飲みに行きましょうよ」
「1ヵ月後に千円」
「半年後に一万円」
 
それぞれ悲しく笑いながら、それぞれの部署に戻っていく。
2003年07月23日(水)  誕生日。
バスは午前6時に東京駅に到着して、アパートに戻ったときは午前7時を過ぎていた。僕が不在の間、この部屋は彼女が過ごしていた。「おかえり。名古屋お疲れ様でした。そして誕生日おめでとう。27歳だね」テーブルの上に手紙と小さなプレゼント。短い文章を3回程繰り返して読み、静かにテーブルの上に戻す。
 
おそらく、別れる直前に書いた手紙だろう。
僕たちは、それから別れてしまったのだ。
 
短い恋愛だった。喧嘩ばかりしていた。僕は責められてばかりで、僕も彼女を遠回りに責めてばかりいた。全然素直になれなかった。好きだという言葉さえ、最近はもう言えなくなっていた。素直になりたいと願うほど、僕の思いは見当違いの場所に着地し、その種子が根を張り、意味のわからない草木へと変貌した。枝は枯れ、葉は垂れ下がっていた。
 
彼女に謝りたいけれど、何を謝ればいいのかわからない。彼女は僕を責めた倍の量で自分自身を責めていた。謝りたいけれど、何を謝ればいい。
 
午後から、仕事に行った。3日振りの仕事。午前から勤務している同僚が僕の元に寄ってきて「今日1つも契約取れなくって主任と顔を合わせられない」と嘆いていた。「そんな日もあるよ」営業は運にも大きく左右されるから、1件も取れない日もあれば10件取れる日もある。そんな日もあるよ。気にすることはない。午後9時。タイムカードを押して退社する。僕も1件も契約が取れなかった。こんな日もある。
 
同じ日に入社した女性の傘に入りながら池袋駅近くの喫茶店に寄る。「どうやったらあんなに契約取れるのか教えて下さい」という彼女の瞳は真剣そのものだった。僕は今日1件も契約が取れなかったけれど、まだ営業7課の成績トップを維持している。今日のような調子では、明日にでも抜かれてしまうだろう。
 
「何が何でも契約取ってやるって思ってはいけないんだ。僕はこの商品がとても魅力的だと思うから、あなたに勧めているんです。別に興味なかったらそれでいいんです。契約が取れたら給料もアップするけど、取れなかったら給料が下がるってわけじゃないからね。僕は興味あるお客様だけに勧めてるんですっていう姿勢で臨むんでいるんだ。7課の山口みたいに攻撃的な営業は僕にはできない。まず自分を見極めることが大切だと思う。柔軟な姿勢で臨むか、攻撃的な営業をするか」
 
外は雨が降っている。彼女は真剣に頷いている。弱い者が弱い者を契約させる気弱な営業。僕はもう僕自身のやり方を見つけた。これからも僕はそうやって仕事を続けていく。自分のペースで、時々周囲を気にしながら。
 
駅の近くのケーキ屋で小さなケーキを1つ買って、彼女がいなくなった部屋で深夜番組を見ながら食べる。前の職場の後輩が誕生日を覚えていて、電話をくれた。僕は元気でやっています。自分のペースで、時々周囲を気にしながら。
2003年07月22日(火)  名古屋スタイル。
名古屋に来た理由は大学のスクーリングの為ではないのです。大学のスクーリングってのは寝てたら勝手に終わってるので、そういうのはどうでもいいんです。手羽先がね、あの手羽先が食べたいのです。名古屋の手羽先は食に執着がない僕が唯一執着している食べ物なんです。
 
はーびす、かおちゃん、ぷりちゃん、ねいぶちゃん。前回名古屋に来たときに追い出された居酒屋「山ちゃん」で乾杯。今回ははーびすが予約していたらしい。用意周到な男は格好良い。「歪さん今日泊まるとこ決めてんの?」「いや、これから決める」行き当たりばったりの男は格好悪い。
 
手羽先2人前注文するとクジが引けるらしい! えっと5人前頼んだからクジは2枚。僕たちがいかに強運かってことを見せてやるぜ! と腕まくりの男性陣。
 
「ハズレっす」
「何にも書いてないっす」
 
2人ともハズレ。居酒屋「山ちゃん」特性うちわ2つ。「わぁ嬉しい」と棒読み。残念賞は手羽先1人前無料券と書いてあるから、僕たちは残念以下ということになる。埼玉から着たのに残念以下とは。手羽先2人前追加する。
 
「私クジ引きまーす」
 
とねいぶさん。あれだよ。こういうクジってのはハズレしか入ってないんだよ。僕は騙されないよ。こういう三角クジで1等とか書いてんの見たことないよ。
 
「わぁ1等」
 
えーーーーー! はーびすと顔を見合わせる。男の面目丸潰れ。1等は山ちゃん特性Tシャツ。バックプリントに手羽先を持った店長らしき人物がプリントされている。これは、ちょっと、欲しい。
 
「はい、あげます」
 
優しーーーい! 着て帰ろう。着て帰ろう。ある意味お洒落だ。このTシャツを身にまとい、歩く宣伝塔となろう。池袋の喧騒に紛れたサンドイッチマンになろう。名古屋に来た本来の意味などすっかり忘れて、久々の手羽先な夜はあっという間に更けていくのであった。
2003年07月21日(月)  酢酸ポリフェノール。
夜行バスっていうのは初めてなんです。青春ドリーム名古屋1号。もう青春もドリームも語れない年頃なんだけどね。青春且つドリームな若者に紛れて東京駅を午後10時出発。
 
「はい電気消しまーす」
 
早や。バスに動いてまだ数十分しか経っていないのに車内の灯りが全て消える。強制的に眠って夢の世界へ行くしかない。成る程。ドリームってこういうことね。
 
巨漢。僕の隣。ただでさえ狭い座席に巨漢が座っております。スーツを着て馬鹿でかいトランクを持っております。「携帯電話はマナーモードにしてください」とアナウンスがあったにも関わらずコンスタントに明らかにアニメ系の着信音が鳴り響き、場をわきまえない大声で話し出す。
 
「なんかさー。プレステ2の調子が悪いみたいなんだよー。うーん。結構。結構。いやー。ルパン買ったんだけどさー動かなくってー。うーん。結構。結構。いや、うん。失礼。これまた失礼」
 
と全然青春でドリームじゃない話をしている。オタクが。結構って何だよ。失礼て何だよ。あー。狭い。座席すごい狭い。2人並んで座るんだけど、その座席を4等分するとしたらその4分の3は巨漢のオタクが占拠してるんですね。で、窓際の4分の1のスペースに窓にへばりつくように僕が座っている。
 
しかもカセットテープのウォークマンでアニメの曲を聴いている。音洩れが酷い。酷いうえに臭い。汗が臭い。酢酸の匂いがする。絶えられない。青春を象徴するものが汗だとしたら青春ドリームって言葉は納得できるけど、多分、他の座席に座っている人たちはこんなに甘酸っぱい匂いは発していないはずだ。運転手さーん。すごい不公平なんですけどー。
 
午後1時。浜名湖サービスエリアで休憩。僕は浜名湖は神奈川県にあると思っていて、どうして神奈川でバスが停まるんだよ! 運行ルートとかどうなってんだよ! とひどく憤慨し、彼女に電話すると浜名湖は静岡県ということが判明。気を取り直し、悪臭防止の為にクールミントガムを購入する。
 
そしてバスの中でガムなんて無意味だということが判明。あれは口の中で楽しむものだからね、鼻腔に与える影響なんてこれっぽっちもないんだからね。口は爽快クールミントでも鼻は相変わらず酢酸アニメソングです。
 
で、眠れない。臭くて眠れない。頭がクラクラする。本当にこれは一大事だ。どうにかしなければいけない。と、名案。トラベル用の歯磨きセットがバックの中に。バッグの中に手を入れて、手探りで歯磨き個を指につけ、それをこすり合わせ、鼻腔の内壁に塗布。クールミントの香りが鼻腔に広がる。わぁいい匂い! 草原とか、河原とか、そんな匂い! 大丈夫! もう酢酸大丈夫!
 
眠れない。
2003年07月20日(日)  行ってきます。
今から名古屋に行くんだけどね、何も準備していない。午後7時帰宅。あと1時間で準備をして出発しなくちゃいけないんだけど、疲れてるので、とりあえずビールを飲んで、ゆっくりと重い腰を上げ、準備をすると見せかけてこの日記を書いている。日記とか書いている場合ではない。だけどこの日記を仕上げなければ、次の行動に進めないので右の耳を蚊に刺されてすごく痒いけれど日記を書いている。
 
埼玉りそな銀行のキャッシュカードが届いたけれど、暗証番号を忘れてしまって、3回間違えたところで係員が出てきた。ビックリしたよ。何にもしてねぇよ。然るべき手続きの上、再発行の運びとなった。今度は忘れないように日記に記す。1072。みんなも覚えていて下さい。万が一の時に役立ちます僕が。キミが。
 
近所の八百屋でメロンを買ったがちっとも美味しくなかった。
 
今からシャワーを浴びて2日分の着替えを準備して、あとビジネスホテルの予約を取ろうと思ったけれどカプセルホテルでいいと思った。無職だしね。予約が面倒臭いだけなんだけどね。
 
職場の営業成績がホワイトボードに記されるのだが、現在ダントツのトップです。3連休しても誰も追いつかないと思う。比較的容易に契約が取れるコツがあるんだけど3連休のうちに追い抜かれたらたまらないので、3連休が終わってから誰かに教えます。頭が固い奴は駄目なんだよあれは。
 
今が楽しいか楽しくないかと問われれば、おそらく答えは前者になるだろう。しかしバナナ工場が僕の人生に大きな影を落とした。今からシャワーを浴びるので誰も覗かないで下さい。向かいのマンションの窓から赤ん坊の狂ったような泣き声が聞こえる。ベランダの洗濯物が揺れている。
2003年07月19日(土)  再会。
詳しい話を書くことが面倒臭くて、仕事に関して書くことをついつい敬遠していたけれど、実は僕はもう働いている池袋のビルの中で営業マンとして。昔から営業という仕事を一度経験してみたくて、通信大学の授業もそんな毎日あるわけではないし、失業保険の支給なんて待っていたら餓死してしまうので、スーツをまとい、とあるIT関連の企業の面接を受けたら4日後に1次試験合格の通知が届いて翌日の午前中に2次試験を受けたらその日の午後から働くこととなった。
 
毎朝9時から夜の9時まで、実に12時間僕は働いている。バナナ工場の苦労が身体に染み込んでいる僕は今のところ怖いものは何もない。
 
午後9時。池袋東口にそびえ立つビルの9階に僕は立っていた。僕が働く営業課は8階なのだが、わざわざ9階の商品管理課まで行ってタイムカードを押さなければならない。「お疲れ様でしたー」商品管理課の人たちは今夜も残業をするのだろう。整然と並んだパソコンにまばらに人が座っている。タイムカードを押して管理課を出てエレベーターを待つ。
 
「あっ」
 
管理課から出てきた女性が僕を見て小さな声を挙げる。驚いた表情をして左手を口に当てている。見たことのない女性だ。尤も、このビルには同じような格好をした同じような年代の女性が多すぎる。今朝声を交わした女性の顔さえも思い出せない。「あっ、どうも。お疲れ様でした」僕は当り障りのない挨拶を交わす。ビルの9階。いつも僕はこのエレベーターの中で(いったい僕は何がしたいんだろう)と考える。何の為に安定した職を捨て、ここまでやってきたのかわからなくなる。
 
「お菓子工場……」
 
エレベーターの中で彼女は僕に向かってそう呟く。仕事が終わった直後にお菓子工場と言われても全く意味がわからないので、中途半端な笑みを浮かべてエレベーターの階表示を見上げる。彼女はなおも僕に何か言いたそうな顔をしている。
 
「バナナの……」
 
僕はハッとして彼女の方へ振り向く。バナナ! 僕のここ数ヶ月のキーワードはバナナである。隣の部屋の女性はよく僕の部屋になぜかバナナを届け、バイトで工場へ出ると気を失うまでベルトコンベアで運ばれてくるスポンジケーキの上にバナナを乗せ、新しい職場のエレベーターで指をさされてバナナと言われる。
 
「えっ、あの時の?」
「やっぱりー!」
 
彼女は狭いエレベーターの中で歓喜の声を挙げる。彼女もあのバナナ工場にいたのだ。しかも僕の左隣に。夜11時から朝の8時までスポンジケーキに添えられたバナナの上に生クリームを塗っていたのだ。そして過酷な労働に心身共に真っ白になり、真っ当な職業に就こうと思い、この会社の面接を受けたのだ。僕と全く同じように。
 
「えっ、えっ、どこにいるんですか?」
「いや、えっと、下の営業課に」
 
珍しい再会だと思う。これだけ人で溢れかえっている東京のとあるビルの小さなエレベーターでバナナを乗せていた男と生クリームを塗っていた女性が作業服ではない小奇麗な洋服を着て再会する。「死にそう」「あと2時間よ」「駄目だ死ぬよ僕は」「あと1時間よ」と徹底した衛生管理の中、厳重なマスクと帽子を着用しながら会話を交わしていた女性と再び職場を共にして再会したのだ。
 
「あの工場に比べると今の仕事って天国だよね」
「そうよねー。なんかあの工場で目が覚めたような気がしたもん」
「世の中にでしょ」
「うーん上手く言えないけど、そんなやつに」
 
工場の話で盛り上がりながら池袋駅まで歩く。人生の意味とか、よくわからなくなっている。何の為に僕は駅に向かい、これから何処に行こうとしているのか。何の為に満員電車に揺られて、これから何処に行けばいいのか。
 
「私ね、明日から2連休なの」
「僕なんて3連休だよ」
 
どこか似ている2人は駅の改札で静かに手を振って別れた。
2003年07月18日(金)  彼女でない彼女。
午後から映画を観に行った。新しい靴と新しい小説と新しい指輪を買った。映画は内容が途中からグダグダになってきたので早く映画館から出たかった。映画を観る前に寄ったABCマートで見つけた靴が残り1つだったので売り切れていないかそればかりが気になった。靴を買ってから映画を観ようと思ったけど、映画館のあの狭い座席の足元に靴が入ったケースを置くことが嫌だった。
 
「鹿児島に行ってみたいの」
 
彼女ではない彼女に、そう言われた。彼女である彼女は今日は仕事帰りに飲みに行くと行っていた。今夜の帰宅も0時を過ぎるだろう。新しい靴と新しい小説と新しい指輪を買った。薬指はまだ、空いている。
 
「私まだこの東京から1歩も出たことがないの。京都と北海道は行ったことがあるわ。修学旅行で。だけどそれは東京から出たことにならないの。それは自分の意志じゃないの。制服着てバスに乗って飛行機に乗せられて勝手に連れて行かれちゃったの。だけど初めて自分の意志で遠くに行ってみたいって思ったの。あなたが育った街に行ってみたいって思ったの。だから鹿児島に行ってみたいの。自分の意志で」
 
彼女ではない彼女に、そう言われた。「今日は、遅くなります」彼女である彼女からメールが届いた。映画館を出ると雨が降っていた。映画の内容はすっかり忘れてしまった。
 
「いろんなことが全て落ち着いたら、鹿児島に連れて行って」
 
彼女ではない彼女に、そう言われた。週末の浮かれた表情の人波に揉まれながら、新しい靴と新しい小説と新しい指輪を買った。薬指はまだ、空いている。雨はやむ気配がない。夜が更けるに従い人波は増えていく。思い空を見上げながら故郷に帰ったときに横に誰が立っているか、考えていた。
2003年07月17日(木)  リアルタイム幸福論。
幸せな状況をリアルタイムで幸せと感じることができたらどんなに素晴らしいことだろうと思う。あの頃は良かったなぁ幸せだったなぁなんて昔を懐かしむけれど、その頃は良いとも幸せだとも思っていない。その時はそれなりに悩みがあって苦労があって、いつになったら幸せになれるのかなぁなんて思っているのだ。
 
幸せは過去の中だけに存在するんだと思う。「ワタシ今幸せよ」なんて言う女は高が知れてる。間に受けちゃいけない。ふん。6年前、彼女は車の助手席で「ワタシ今幸せよ」と言った。僕はその時は「幸せなことが、あるものか」と思いながらハンドルを握っていた。彼女の言葉は僕の記憶の奥底に沈み、5年後に再び顔を出して「あぁ、あの頃は幸せだったんだ」と思う。鈍いんだねえ僕は。
 
ここに2枚の写真がある。1枚はその昔の彼女と顔を寄り添って写っている。僕は坊主頭で彼女はその頭にキスをしている。彼女は幸福を自覚して僕は本当の幸福はまだ見えぬ将来にこそ眠っていると自覚していた頃。もう1枚は、別れて2年経った後、バーで偶然会ったときに写した写真。僕の髪の毛は長くドレッドパーマをかけていて、彼女はその髪の毛をかき上げて僕のこめかみにキスをしている。彼女は過ぎ去りし日の幸福を思い出し、僕の目はファインダー越しに将来の幸福を見据えている。
 
6年経った。あの頃は幸せだったなぁと思いながら毎朝満員電車に揺られている僕がいる。刹那の幸福を自覚できずにいつまでも見えない幻影を求めている僕がいる。明日、何があるというのか。来月、何が起こるというのか。来年、何処にいるというのか。全く見当がつかない僕がいる。
 
5年後にでも今の僕を思い出して、5年後の僕はそれでも「5年前のあの頃は幸せだったなぁ」と思うのだろうか。いつまでも過去の幸福を反復して想起するつまらない人間になっているのだろうか。
2003年07月16日(水)  譲らないよ。
午後9時半。池袋駅のホームに立っていた僕の疲労は頂点に達していた。黄色い線の内側に立ち、疲れた顔したサラリーマン達と同じように肩を落としている。どうしても今日は座りたい。吊り革を持ちながら我が家に帰りたくない。座席に座りたい疲れてるから。疲労困憊だから。構内に電車が入ってくる。絶対座る。座りながら寝る。寝てこましたる。寝るからには今頑張らなければいけない。座席を確保できるよう人波を押しのけて努力しなければいけない。
 
ドアが開いた瞬間、鬼気迫る表情で座席を目指す。はは。座れたよ。僕の前に並んでたサラリーマン馬鹿。立ってんの。座席確保できないでやんの。僕は座れたよ。ほら、すごい楽。普通に眠れる。うちの駅に到着するまでずっと眠れる。疲れてるからね。と、あっという間に満員電車。
 
僕の前には明らかにお年を召したお婆さん。むむ。お婆さんだ。お婆さんが僕の前に立っている。僕は座れたというのに、大正生まれなのに電車内で数十分間起立することを強制されたお婆さんが立っているよ。僕は戦争を知らない世代なのに座っているよ。団塊の世代の人たちも座っている。僕の隣の鼻にピアスをつけた少年犯罪の世代の奴も座っているよ。戦争もオイルショックも知らないというのに若さだけを凶器にして座席を確保しているよ。
 
今はこんなに落ちぶれてしまっているけれど、僕はほんの数ヶ月前までお爺さんお婆さんの傷を処置したりオムツを交換したり、晴れた日はグランドを散歩していた職に就いていた男。座席に座れずに骨粗鬆症の大腿骨を駆使して起立しているお婆さんが目の前に座っているという状況をほっとけるわけがない。隣の鼻ピアスの馬鹿が立って席を譲ればいいんだけど、いかんせんこいつは若いので社会に対する礼節というか倫理感というかそういうものを持ち合わせていないのでウォークマンを聴きながら少年マガジンを読んでいる。読んでいるよ。僕は仕事で疲れてるっていうのにね。
 
電車はまだ出発していない。僕は席を立ち、お婆さんに席を譲る。いや、あからさまに「お婆さんどうぞ」なんて言うと、ちょっと偽善者っぽく周囲に映ってしまうので、「あっ! そうだ! なんか思い出した! すげぇ大切なこと忘れてた電車が発車する前に!」という表情をして突然席を立ち上がり電車を出る。僕の大根芝居によって高齢者の座席は確保されたであろう。よかったよかった。僕は全然よくないけどね。俄然座席に座りたい気持ちで一杯なんだけどね。
 
と、再びホームの列に並び直し次の電車が来るのを待つ。次こそは絶対に自分の座席を確保する。天皇陛下とか金正日とか僕の席の前に立っていても絶対席は譲らない。絶対僕の方が疲れてるから具体的にいうと世の中に対して。
2003年07月15日(火)  新しい単位。
扶桑社より出版されている『[カラー版]新しい単位』に影響されて、日常の物事に単位をつける習慣がついてしまった。
 
『[カラー版]新しい単位』によると、面倒臭さの単位はYg(ユギリ)。インスタント焼きそばのお湯を捨てる面倒臭さで単位が1Yg(ユギリ)。蛍光灯の取り替えを頼まれた面倒臭さ5Ygになるらしい。
 
たくましさの単位はHt(ヒツーチ)。非通知着信に出るたくましさが1Ht。吊り革につかまらないたくましさが35Htで雨天決行のたくましさは128Htらしい。この本は馬鹿馬鹿しくて非常に面白い。皆さんも買ってみて下さい。立ち読みとかは駄目です。便所でウンコしながら読むと丁度良いです。僕もウンコの度に読んでます。現在『新しい単位』は2巻出ています。
 
で、最近僕の生きる原動力になっている単位がkj(コージョー)。あのたった2日間の深夜の工場でバナナオムレットを延々と作り続けるバイトで経験した辛さの単位です。あの工場での苦労を1kjとすると、可燃ゴミをゴミ捨て場まで持っていく辛さなんて0.08kjくらいです。トイレットペーパーを取り替える辛さなんて0.002kjです。1kjであってもそれは最大の単位なのです。
 
今後僕が生きていく上でおそらく1kjを上回るものはないと思います。結婚生活の辛さなんて0.5kj程度だと思います。みなさんも自分なりの単位がありましたら是非教えて下さい僕はもう寝ます。
2003年07月14日(月)  僕のグロリア。
明日は6時半起床なんだから早く寝るぞと思っているうちに午前1時半。5時間しか眠れない上にシャンプーが切れた。搾り出して使用した。昨日もシャンプーが切れたことに気付いて搾り出して使って、あぁ明日シャンプー買わなきゃいけないなぁと思って今日裸になってようやく思い出した。で、搾り出す。おそらく明日も搾り出す。3回くらい搾り出して漸くいよいよ今夜頭が洗えないぞという危機感を身体に染み込ませて街へ出てマツモトキヨシの前を通り過ぎたときに思い出せばいいんだけどな僕。
 
しかし今日は肌寒かった。東京の夏はこんなに涼しいのか。いや正確に言うと埼玉なんだけど。午後から池袋に行ったら結構暑かったから。埼玉の朝はすごく寒かったですよ。ゴミを出すのをまた忘れた!
 
うん。本当に音楽のことはあまり書いたことがないような気がします。これだけ毎日いろんな音楽聴いているというのに、これだけ毎日日記の内容に四苦八苦しているというのに音楽のことを書かないなんてなんたる盲点。よし音楽。
 
黒人グループのR&Bを好んで聴きます。「14 KARAT SOUL」とか「SOLO」「BOYS��MEN」などを一定のサイクルで聴いています。池袋は中古CDがすごい安いので無職でも大満足です。
 
洋楽なんて好んで聴いてるとか言うと何よ歌詞の意味わかんないくせにとか言われそうですが、好きな曲はしっかりと翻訳します。アー(アー)イェー(イェー)プープー(プープー)♪という曲が今コンポから流れています。訳します。あーいぇーぷーぷー。
 
「14 KARAT SOUL」で大好きな「GLORIA」という曲がありますのでそれを訳します。
 
―――

グロリア、マリーなんかじゃない
グロリア、シェリーなんかじゃない
グロリアは僕に恋していない

分からないのか、マリーじゃないんだ
グロリア、シェリーなんかじゃない
グロリアは僕に恋していない
 
―――
 
馬鹿でも訳せます。
2003年07月13日(日)  不器用な人間。
何も書くことが思い浮かばない時は携帯のメモ帳機能をチェックします。思いついた時に即座に記入した小ネタが満載です。
 
「こういう風にすればよいに従ってしまう」
「電車ハイジャック山手線乗り換え羽田行き」
「ペースメーカー高温で爆発」
「おやつの加減ができない」
「ブザー誰も押さないまま通り過ぎる」
「各駅から特急に乗る」
 
思いついた時に即座に記入するからいけない。然るべき時が経過すると、重要な意味が込められていた言葉は色褪せて意味を無くしていく。意味がわからない。自分で書いたのにね。各駅から特急に乗るなんて本当に意味がわからない。各駅から特急に乗ることに何か重大な意義でも発見したのだろうが思い出せない。
 
今日は「おやつの加減ができない」をピックアップします。
 
おやつの加減ができないということは読んで字の如く僕はおやつの加減ができないのです。例えば部屋でビデオを見ながらポテトチップスを食べるとき。頭が良い人は無意識の内にポテトチップスの内容量を分担し、映画の序盤、中盤、終盤と実にバランスよく食べることができるのです。序盤でポリポリしばし休憩。中盤になってあぁポテトチップス食べようかしらと思い立ちまたポリポリという具合に。僕はそれができない。
 
もうポテトチップスを開封したらなくなるまで連続して食べ続けてしまうのです。ちょっと食べてしばし休憩とかできない。食べることを休むと「ポテトチップスが残っている」という事実ばかりが気になって映画の内容が頭に入らないのです。だから早いうちにポテトを全て片付けてしまってゆっくり映画を見ようと多分僕の頭の中ではそう思ってるのです。
 
僕は小さい頃、ご飯ならご飯だけ、味噌汁なら味噌汁だけ一品ずつ食べてしまわないと気が済まない性格でしたので、おそらくその名残でございましょう。この件に関しては散々親に怒られてきました。ポテトならポテト、映画なら映画。1つづつ1つづつ。きっと僕は不器用な人間なんだ。
2003年07月12日(土)  フォー・キープス。
あぁ忘れていた。日記を忘れていた。土曜日の日記を日曜日の朝に書くという堕落振り。昨夜は彼女との電話中に眠ってしまうという堕落振り。申し訳ない気持ちでいっぱいで謝罪しようと思い電話をしたいけれど怖いので電話できない。ゴメンね。
 
彼女は今日は休日なのでまだ眠っているのだろうか。起きたら電話をするのであろうか。なんか怖いなぁ。昨日のこと怒られるんだろうなぁ。眠ろうと思って眠ったわけじゃないんだけどなぁ。なんて言い訳しようかなぁ。いいとも増刊号面白いなぁ。
 
今日は午後から新宿に行く予定です。久々の新宿。土曜日の日記なのに日曜日のこと書いてる。土曜日はもう終わってしまった。何も書くことがなかった。昨日何したっけ? そう、池袋行って急に雨が降ってきたから松屋で牛飯食ったんだった。あとAVの撮影してた。真っ赤なミニスカート履いた女の子がサンシャイン通りのど真ん中でカメラで舐めるように写されてた。今からホテル行ってセックスするんだろうなぁと思いながら眺めていた。
 
実際やることはいっぱいあるんだけど、どうも無職という体質が骨の髄まで浸透して何もする気になれない。最近スポーツクラブに行ってないなぁ。面倒臭いんだよなぁ隣駅まで行くのって。
 
今朝は「14KARATSOUL」を聴いてます。とても穏やかな朝です。名曲「キエラ・フォー・ユーや「レッツ・ビー・フレンズ」などを聴いていると無職でも結構楽しい毎日が送ることができるのです。そろそろ彼女が目覚める時間です。
2003年07月11日(金)  なんともいえない空気。
「ねぇ、これ幾らすると思う?」
 
でた。でたよイクラちゃん。幾らすると思う? いろいろ辛い事が多い人生の中で最も辛い質問。幾らすると思う?
 
まず、まず第一に、質問を投げ掛けた側。彼女は薬指のリングを僕に向かってかざしている。自分の給料で買ったのだろう。結構なことだ。さて、彼女はこのリングは幾らしたのかと僕に問い掛けている。野暮な質問です。知るか。しかし答えなければ「アナタってどうして周囲のことに無関心なのよ!」と罵倒されるのでここはどうしても答えなければいけない。妥当な値段を提示しなければいけない。
 
と、これが問題。まず、この指輪高かったのよ! と彼女が序言を付随した場合、高い指輪とは幾らから高いのであろうか彼女のリングに対する相場の物差しでは。5万円。5万円だね。高かったのね。5万円もしたのね。結構なことです。うん5万円!
 
「……3万円よ」
 
ほらね! ほーらねー! しくじった! 2万円とか提示しとけばよかった! だけど2万円のリングが高いと思う僕のクオリティとかマイノリティとかそういうものが卑下されそうで、高いんだったら5万円。ね、5万円高いでしょ。なかなか指輪如きに5万円なんて払えないでしょ。だから5万円って言ったのに3万円だってさ。せっかく貯金とかして買ったのに僕が5万円と言ったばかりに彼女の表情には差額2万円の無念感が漂う。
 
と、これが問題。まず、この指輪安かったのよ! と彼女が序言を付随した場合、安い指輪とは幾らから安いのであろうか彼女のリングに対する相場の物差しでは。2千円。2千円だね。安かったのね。2千円なんだー。へぇー。結構なことです。うん2千円!
 
「……3千円よ」
 
ほらね! ほーらねー! しくじった! 5千円とか提示しとけばよかった! だけど5千円のリングが安いと思う僕のクオリティとかマイノリティとかそういうものが卑下されそうで、安いんだったら2千円。ね、2千円安いでしょ。なかなか指輪って2千円じゃ売ってないでしょ池袋パルコで。だから2千円って言ったのに3千円だってさ。せっかく掘り出し物を発掘した感覚で意気揚揚と購入したのに僕が2千円と言ったばかりに彼女の表情には差額千円の無念感が漂う。
 
この類の質問は本当に人の気持ちを理解できる人は投げ掛けないと思う。思わぬ難題に頭を悩まし、相手を傷付けないように慎重に値段を提示したにも関わらず相手の意に沿わない結果になってしまった場合の何ともいえない空気。
 
お互い空気を読みながら生きていきましょうね。
2003年07月10日(木)  戦慄の灼熱ボーイ。
24時。今夜も宇宙服をまといエアシャワーを浴び、工場へ入る。工場に入った瞬間、カスタードクリームやスポンジケーキの甘い香りが広がる。「おえぇぇっ」僕の背後で今日製造工程を共にする20歳の青年が吐き気を催す。カフェやケーキ屋とは理由が違うのだ。1日8時間ぶっ通しでこの匂いを嗅いでいると誰だって吐きたくなる。
 
「よっ! バナナボーイ!」
 
昨日のオバサンが僕に声を掛ける。帽子を被りマスクをして目の部分しか露出していないのでさすがに1日経ったら僕のことはわかんないだろうなと思った矢先、バナナボーイと声を掛けられた。またバナナを8時間乗せ続けないといけないのか。戦慄がよぎる。
 
「バナナボーイって何スか?」
「気を失うまであのバナナを乗せ続ける男のこと」
「うひゃあ、それキツいっスねー」
 
20歳の青年とマスク越しに会話をする。同じバイトの人たちはもうとっくにベルトコンベアーの前に立ち、カスタードクリームを塗ったりスポンジケーキを並べたりしている。
 
「あなた達今日は窯の作業ね」
「カマ?」
「そうよ。窯行ってらっしゃい」
 
と僕たちは窯に連れて行かれる。窯。灼熱のベルトコンベアーに乗って鉄板に乗った焼きたてのスポンジケーキが12個ずつ運ばれてくる。僕はこの宇宙服の上から更にグローブのような手袋と分厚いエプロンをまとい、鉄板の上のスポンジケーキをプラスチックのケースに移すという作業を命じられた。20歳の青年は僕が写したケーキをそれぞれが重ならないように並び替えるという作業。
 
暑い。製造工程のところは生クリームやバナナを扱うのでエアコンが寒いくらいに効いていたが、ここは焼きたてのスポンジケーキが延々と運ばれてくるのでとにかく暑い。この宇宙服は汗を通さないので10分立っているだけで中に着ているTシャツがびしょ濡れになる。しかもこの窯は工場の職員でさえも嫌がる作業らしく、皆僕たち2人を見るたびに逃げるように去っていく。
 
「これ派遣のスタッフがやる仕事じゃねぇよ!」
 
3時間ほど経って突然青年が叫ぶ。初めの1時間くらいはお互い世間話などをしていたが、徐々に口数が少なくなって作業に没頭しはじめていた。ちょっとでも手を抜くと鉄板の列が滞り、押し出された鉄板が床に落ちてしまうのだ。だから僕たちは鉄板が床に落ちてしまう前にそれを取り、ケースへ移さないといけない。常に追われて作業をしている。今日は1万個作ると言っていた。そして鉄板は12個ずつスポンジケーキが入っている。1万割る12。833回。833回も取っては並べ取っては並べの作業を繰り返さないといけないのだ。
 
「すいません。休憩まだっスか……」
 
午前5時。僕たちは5時間もこの作業をしていた。午前3時頃小便に行きたくて仕方なかったが、多分それも汗となって蒸発してしまった。気温35℃前後の窯の中で僕たち2人は延々と焼きたてのスポンジケーキを並べている。意識が朦朧なんてものじゃない。すでに気を失っていて残りの気力だけで動いているという感じ。そしてこの窯には誰も来ない。ようやく誰か来た午前7時。僕はもう喉がカラカラで声さえ出せない。20歳の青年が気力を振り絞って社員の元へ駆け寄る。休憩まだっスか……。
 
「キミ達が休憩入ったら誰がここの替わりするんだよ」
 
て・め・ぇ・が・し・ろ・よ! 僕は心の中で涙を流しながら叫ぶ。もう頭の中で考えていることは奴隷奴隷奴隷奴隷。僕たちは奴隷。奴隷が作ったバナナオムレットを大衆がコンビニで購入して彼氏と美味いやら不味いやら言ってその後セックスでもしてセックスが上手いやら下手やら思いつつベッドで肩を並べて眠る。阿呆が。糞が。
 
午前7時。7時間ぶっ通しでサウナスーツのような服を着て作業をしたことがありますか? ありませんでしょ? 僕もありませんでした。ありませんというか、
 
「こんなんありえねーよ!」
 
と叫び続ける20歳の青年の気持ちがそれを物語っています。ありえない。休憩とか労働者として当然の行為でさえもこの窯の中でこんがり焼かれてしまっている。労働とはこういうものなのだ。僕は3ヶ月も働かないで廃人のような生活をしていたので罰が当たったんだ。攻撃性が常に内向的な僕は自分を責めてばかり。45分間の休憩が与えられたのは勤務終了の30分前だった。
2003年07月09日(水)  戦慄のバナナボーイ。
僕は労働を甘く見てました。今日は、地獄を見てきました。
 
派遣のバイトでとある工場へ。徹底した衛生管理の中、宇宙服のような格好をして工場内に入る。1日8千円かぁ。TシャツとCD買おうかしらー。なんてそもそも動機が不純だからいけない。生きる為に働くという前提の元、人は労働しなければいけない。こんな茶パツで愛想悪くて足が短いからいけない僕は。
 
とあるコンビニで販売されるバナナオムレット。この製造過程に参加することになりました。食品を扱う仕事は初めてなので何をすればいいのかわからない。
 
「じゃあ兄ちゃんバナナ乗っけて」
「はぁい」
 
とベルトコンベアーで運ばれてくるカスタードクリームが塗られた薄いスポンジケーキの上にバナナを乗せる。アルミ製のでっかいボールの中に山盛りにされた縦に8分の1に切断されたバナナを乗せる。
 
ベルトコンベアーに3個ずつスポンジケーキが運ばれてきてバナナを乗せる。バナナを乗せる。バナナを乗せる。2時間経過。僕はまだバナナを乗せている。3時間経過。既に慣れた手つきでやはりバナナを乗せている。
 
「すいません。これいくつくらい作るんですか?」
「そうねぇ。今日は8千個くらいかしら」
「……今どのくらい作ったんですか?」
「2千個くらいじゃないの」
 
絶句。足と腰が痛い。痛いというものではない。激痛を通り過ぎたある種の感覚鈍磨さえ引き起こされる種の痛み。バナナ8千個。1日1万円。うーん。8時間。痛い。本当に痛い。生まれて初めて何かから逃げたしたいという衝動に駆られる。だけど僕はご覧の通り変な宇宙服着てるし、僕が持ち場を離れるとバナナの入っていないバナナオムレットが完成することになるし、誰も変わってくれる人なんていないし、隣のオバチャンなど僕の慣れた手つきを見て「よっ! バナナボーイ!」なんてとても素では笑えないあだ名をつけるしで意識が朦朧。腰痛。次第に言葉が少なくなってくる。
 
延々とバナナを乗せる。バナナが少なくなってくる。「すいません! バナナ下さい!」バナナを延々と切断している係の人に大声で頼む。ボール山盛りのバナナが運ばれてくる。
 
8時間8千個8千円。
8時間8千個8千円。
2003年07月08日(火)  ノンバーバルチャネル。
今から千葉の方へ向かうのですが、16時起床、23時30分待ち合わせ。明日の朝、埼玉に戻ってきます。旅行でも遊びでもなく、ただ千葉に行くのです。誰かが待っている。その人と一緒に一夜を過ごして明日の朝ラッシュアワーに逆流するようにここに帰ってくる。
 
天気予報がまた嘘を吐いた。今日は時折陽が差すでしょうなんて言っていたがいつまで経っても差さないばかりか小雨が降っているではないか。寝る前に、寝る前と言っても午前8時頃だけど、寝る前に洗濯してベランダに干して夕方4時に起きたら雨が降っている。しとしと降っている。僕は寝る前にアイマスクを着けるんだけど、目覚めるといつもベッドの下に落ちている。寝る時も起きる時もまずアイマスクを探すことから始めなければいけない。
 
さて、千葉。ここを21時半に出ると23時には着くらしい。近いのか遠いのか。運賃は約千円。高いのか安いのか。
 
そういえば最近髭を剃りました。初心貫徹。ん? 髭がないと普通の無職の青年になる。髭があると指名手配の犯罪者みたいになる。どっちも駄目だ。隣の女性、僕の目覚めと同時に部屋に入ってきて「ノンバーバルチャネルの種類について教えて下さい」と言うので、ノンバーバルチャネルの種類について寝惚けた頭で教えました。要するに非言語的コミュニケーションってことです。
 
この日記だってノンバーバルチャネルなんです。
 
雨は降り続いているというのに洗濯物は干したまま。晴れた日に取り込もう。池袋で山手線に乗り換えて日暮里で降りて京成線に乗るのだったね。忘れずにメモをしよう。19時に出発コールというものを入れないといけないらしい。だから21時に出るって言ってるのに。もうすぐ19時。シャワーを浴びて、ノンバーバルチャネルに満ちた社会に飛び込んできます。
2003年07月07日(月)  七夕。
七夕だというのに朝から雨が降っている。しかも午後から激しい頭痛に見舞われ3時から昼寝をして8時に目覚めてHEY×3を見てたら隣の部屋の女性が遊びに来て依然頭が痛かったけど頭痛が酷いということを他人に訴えても治るわけではないので洗面所に行ってロキソニンを飲んでソファーに座って話をした。
 
「今日はね、七夕なんだよ」
「七夕? あぁ、昔の物語ですか」
「そう。中国にも七夕ってあるの?」
「はい、ありますよ。中国はね、この季節あまり雨が降らないの。だけどなぜか七月七日だけ雨の日が多いんです」
「天の川が見れないんだね」
「この日に降る雨は二人が再会したときに流してる涙なんです」
「へぇ」
「……」
「……」
 
とロマンティックな話をした所為か、ちょっと、ね。ほら、外は雨。七夕の夜。二人の涙。同じ部屋。日本と中国。ね、ほら、男と女。
 
「ュ| ュ| イo 、・ャP 。A イョ イョ ェe コ~ 、k 。Cナヨ ナヨ タツ ッタ 、・。A ・セ ・セ ァヒ」
「イラ 、・、」 ヲィ ウケ 。A ェ_ ョ・ケs ヲ」
「ェe コ~ イM ・B イL 。A ャロ ・h エ_ エX ウ\ 。H」
「ャユ ャユ 、@ 、・カ。 。A ッ゚ ッ゚ 、」 アo サy 。Cヲ� ウo ャq ーO ク・、、」
「ァケ ・� ィS ヲウ エ」 ィ・、C 、i 。C 、@ ェス 」
 
と、言葉を交わし、あれ? 文字化けしてますか? そうなんですよ。最近パソコンの調子がおかしくってお菓子食って一緒にテレビを見ました。
 
11時頃、彼女から電話がきました。
 
「もっとアナタを幸せにしたいの」
 
という言葉に心の底から涙が出ました。今夜の雨は、いろんな感情がこもってるんだなぁ。
2003年07月06日(日)  無意味ナ日常。
ここ数日、とうとう一日一食という荒廃した食生活を送るようになってしまい、その状況に危惧を抱いた彼女がメロンを1個宅急便で送ってくれました。メロンにはピンクのマジックで顔が書いてありました。夕食の前に4分の1個食べて、食後に4分の1個食べました。すごく美味い。これで
 
「ふぅんだ。ふぅぅんだ。んー」
「どうしたの」
「メロン美味しかった?」
「すごい美味しかった。食べ頃だったよ」
「そ」
「で、何?」
「何が? 何にもない。ん。何でもない。何でもないっス」
「何でもないッスか」
「へぇ。何にも用事ないッス」
「今からご飯食べるんだ。食べていい?」
「どうぞ」
「ねぇ、ご飯食べるね」
「どうぞ」
「電話切るよ」
「どうぞ」
「……」
「……」
「切るよ」
「ばいばーい」
 
日記の途中で彼女から電話がきたので、受話器を肩にはさみながら会話を書いてみました。読み返してみるとあまり会話らしい会話をしていない。テレビでは8回裏、ペタジーニがオープンスタンスで構えている。見逃し三振。これで五打数でヒットなし。さぁそして代打は元木! と巨人はもう優勝できないんだから、あとの試合全部休んだらいいのにね。中日も。阪神の試合をテレビ中継してほしい。ほんとに。今日も阪神勝ってるし。今岡なんて1番バッターなのにいっぱいホームラン打ってるしね。
 
鍋の沸騰したお湯の中にボンカレーが浮かんでいる。カレーの上に目玉焼きとハムを塩こしょうで炒めたやつを乗せて食べる。食べ終わったらメロンを食べる。代打元木はまだバッターボックスに立っている。ああっと空振り三振。ちょっと高めだったんですが元木のバットが空を切りました! 8回裏終了して依然同点です。
 
一昨日、不燃ゴミを出すのを忘れてしまったのでゴミが溜まっている。溜まったゴミを見ると気持ちが屈託する。あとペットボトルを出す日がわからない。夜中に腹が減ったら魚肉ソーセージを歯で剥いてマヨネーズをつけて食べる。
2003年07月05日(土)  駆け込み乗車。
だーい"ーぐーづー。と扇風機に向かって独り言。退屈です。もう失業保険とかいらないので真っ当に働きたいと思いました。今年の夏、東京は深刻な電力不足を迎えるらしく、冷房の設定を28℃にしましょうバカとしきりにCMしていて、真夏日に28℃の職場はちょっと辛いので電気を節約しなくてもよい埼玉で働こうと思います。だーい"ーぐーづー。
 
退屈なので1日1冊小説を読む。もう本棚がやばい。引越して新しく買った本棚が間もなく定員を越えようとしている。満員電車みたくなってる。駆け込み乗車はおやめ下さいといくら駅員が申したところで皆ラグビーの選手のようにタックルしてくるではないか! バカ! イタイ! 脇腹の柔らかいところに肩とか肘が当たった! イタイ! 見ろ! 電車の出入口を見ろ! 「駆け込み乗車禁止」って書いてあるでしょ。見た? 見ろよちゃんと。女だからって容赦しないぜ。キャミソールだろうが素足だろうが関係ないぜ。お色気なんて効果ないぜ。あーん香水のいい香りがするー。ガタンゴトンガタンゴトン。……。
 
さて、本棚の話をしていたのにいつの間にかメトロポリタンホテルの話になっていましたね。今日はメトロポリタンホテルで待ち合わせをしました。子供がね、噴水の縁のところに立ってはしゃいでいて、それを見かねたお母さんが「そんなことしてたら後ろにドボンって落ちるわよ」と言うか言わないかのときにドボンと落ちた。水しぶきが周囲の大衆に飛んで、皆子供の心配などしないで自分の服のことばかり。あぁズボンが濡れた! 私にも飛んできた! なんて声が随所から飛んでくる。こういう奴等が駆け込み乗車をするんだよ。冷房22℃に設定したりね。
 
そう本棚。セシールの通信販売で購入しました。『すてきな収納』って雑誌読んで。だけどあんまり素敵に収納できない。文学の混沌ですよ。小説の間にフィギアなどを置いてお洒落を演出しているからいけないと思い、上の段はフィギアの段と決めて並べ直したのだけどやはり素敵にならない。関根勤(3280円)と江頭2:50(1980円)のフィギアがどうも部屋の雰囲気を素敵にしてくれない。19歳の頃に彼女からもらった体長50センチ程のウルトラマンはあんなに素敵に佇んでいるっていうのにね。
 
「だんご3兄弟 あっという間劇場」果たしてこの絵本が今後の人生に必要なのか。こういう類の本を処分すればもっと素敵に収納できるのではないかと思い「だんご3兄弟 あっという間劇場 全5巻」「完全失踪マニュアル」「滑稽糞尿箪」「猫殺し」「狂いと信仰」「物語の体操〜みるみる小説が書ける6つのレッスン」など部屋の景観を損ねかねない書籍の処分を考えたら、まぁ、こういう書籍によって僕は構成されてきたのだから、捨てるのもあれだなぁと考えつつ駆け込み乗車。
2003年07月04日(金)  人生二千円。
朝6時に起きて糞満員電車に揺られて池袋へ。糞満員電車では身動きなどできず、部屋の鍵を落としてしまったが拾うこともできず靴でもって踏み続け、妙な体勢を保持せざるを得ない状況のなか糞女子高生の太腿が足に当たる。糞悶々。
 
所用と申してもたいしたことはなく午前9時半には再び池袋駅へ戻る。腹も減っていないし本屋も開いていない。糞のような顔をしたサラリーマンと学校をサボった女子高生。地下街をあてもなく無職の男。僕のことだよ。
 
財布には2千円。今朝、とある女性からもらいました2千円。さて何に使おう。と、コンビニへ。電気代を支払いました。「またヨロシクね」と言ってその女性は2千円の入った茶封筒を渡したが、6時に起床して7時に池袋に着いて9時半まで何もせず机に座り時々煙草を吸って、文庫本を読んで、2千円。これは得なのか損なのか。どっちでもいいよ無職だもの人間だもの。
 
彼女は昨夜も飲みに行って今夜も飲みに行ってるから多分電話は夜中にかかってくるかもしれない。「帰ってくるの遅いよ」と言ったら「そんなこと言うんだったら隣の部屋の子と飲みに行けばいいじゃない」と言うのでムッとして「それじゃあさようなら」と言うと「いやん待って」と言う。
 
一人で金曜ロードショーを見ていた。『メジャーリーグ』もう何度も見たはずなのに、最後の試合に勝つのか負けるのか忘れてしまって、負けてしまってちょっと後味の悪いエンディングを迎えたような気がするということに収まって、鬱々とした気分でラストシーンを見ていたらインディアンズ勝ったよ。はは。やった優勝だよ。前見たときは負けたような気がするけど勝ってしまったよ。やったやったよ。金曜ロードショーが終わり時計を見ると午前0時。まだ彼女は帰ってこない。あと30分で終電なのにね。
2003年07月03日(木)  ホームシック。
2日に1回ほど前の職場の同僚や後輩から電話がくる。
 
「この前送った米と食糧届きました? いや送ってないけど」
「今日の試合一本もヒット打ってなかった! ムカついたから電話した!」
「先輩、先月のあのデータ、どのフォルダに入ってますかね」
「いつ帰ってくるんスか!」
「あ、来週焼肉パーティするんで来て下さいね」
 
内容はどれも他愛のないもので、重要な用件なんて一つもないけれど、僕にとっては彼らの他愛のない用件が、その一つ一つが心を揺さ振る。職場を去って3ヶ月。実はもう戻りたくなっている。
 
「本当に戻ってきたいんだ。ここにいたって何も始まらない」
「マジっすか! 僕の仕事全部先輩に譲りますから戻ってきて下さいマジで!」
「ありがたいね。仕事は多い方がいい」
「じゃあ僕の夜勤も譲ります。譲りたくないけど仕事は多い方がいい!」
「じきに戻るよ」
「お願いしますよ。また飲みに行きましょうよ」
 
小さなワンルームマンションのベランダに佇み、僕は涙を流しそうになる。意味のない会話だということはわかっている。自分で選んだ道だということも重々承知している。ここにいて何も始まらないなんてことはない。確実にこれから何かが始まるのだ。今はただ、休息しているだけで。
 
「通信大学の方どうっスか?」
「うん。ちゃんとレポート提出してるし、今年中に卒業できるよ」
「卒業したら戻ってくるんスよね」
「ああ」
「仕事すごい増えると思いますよ。自分から仕事増やすような資格取ろうとする先輩の気が知れませんね僕は」
「僕だってそう思ってるよ。だけどね、自分で選んだ道だからね」
「また飲みに行きましょうよ」
「それさっき言ったじゃん」
「さっき言ったけど確認してるだけっスよ」
「うん行こう。またベロンベロンに酔ってフィリピン人の膝の上で寝よう」
「んが。フィリピンバーはもう結構っス」
 
たった3ヶ月前の出来事なのに、全てが、全ての思い出が激しく心を揺さ振る。人はホームシックだなんて馬鹿にするけど、馬鹿にするけどね。
2003年07月02日(水)  無言で過ごす親密な時間。
窓を開け、一人掛けのソファーを窓際へ移動させ、太陽の光を浴びながら小説を読む無職2ヶ月目の午後。
 
「できましたー」
 
隣のベランダから声が聞こえる。「今日はカタヤキソバです」彼女はベランダ越しに料理を渡す。「ありがとう。朝から、何も食べてないんだ」僕はいつもと同じ台詞を繰り返す。朝に起きれないので朝食は食べれない。必然的に昼食になる。小さなテーブルをソファーの横へ移動させカタヤキソバを食べる。
 
「美味しいよ」僕は目の前に広がる空間に向かって大きな声で言う。
「ありがとー」隣のベランダから彼女の声が聞こえる。彼女もベランダの傍に腰掛けて昼食を摂っているのだろう。
 
「今日は家にいますか?」
「うん。ずっと家にいる」
 
彼女は夜、僕の部屋にやって来る。パソコンの前に座り、大学のレポートの文献を探す。僕はずっと窓際のソファーに座っている。昼に読み始めた小説を読み終わろうとしている。
 
「私も今日小説読もうと思ってこれ持ってきました」
 
と手に持っている桃色のフロッピーディスク。
 
「中国の小説。このパソコンで見れますか?」
 
見れなかったので、中国語が表示される機能をダウンロードする。そして彼女は小説を読み始めて、僕は読み終えた小説を本棚に戻し野球を見る。8回裏広島リードの場面で野球放送が終わる。「ちょっと煙草買ってくるね」今日始めて外に出る。煙草と缶コーヒーと、オレンジジュース。僕は煙草を吸いながらぼんやりとテレビを眺める。彼女は気難しい顔でディスプレイを凝視している。
 
無言で過ごす親密な時間。
2003年07月01日(火)  立証実証。
僕の欠点は人との距離感が上手くとれないということ。なんていうか、適当というか最適というか妥当というか、そういう距離が上手くとれない。極端。付くか離れるか。往々にして僕は他人へ自ら歩み寄ろうとしないから、結局離れようとする選択肢を選んでしまう。だけど世の中に離れてしまいたい思う人はそんなにいないので、精一杯近付こうとする。だけど近付いて煙たがられるといやなので、結果的に離れてしまう。いっぱい話を聞いてもらいたいのに、同じ時間を一緒に過ごしたいのに、結局ね、気が付けばいつも独りで時を過ごす。
 
ワンルームのマンションで扇風機に当たり、何もしないで座っている。俯いて肩を落とし背中を湾曲させ、いつまでも考えている。何を? いや、何をって言われてもよくわかんないけど、とにかく何か思案に耽っている。
 
何もせずに過ごす一日がどんなに苦しいか。ただ抽象的なことばかり考えている時間がどれだけ心身を蝕んでいくか。あぁほんと人間は働かないと駄目になるということが立証されました。今まさに実証。
 
旅に出よう。

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