2004年03月31日(水)
うっちゃり - どびー



「何、食べる?」(どびー)
「今日は、どびーが食べたいのでいいよ」(グプタ君)
「アカン、アカン。せっかくだから何か言えよ」
「いや。今日はどびーの決定に全面的に従うよ」
「(全面的って...)じゃあ、何か嫌いなものとかある?」
「何でも大丈夫!」
「(ほんとかあ???)じゃあ、バターチキンにする?」
「うーん...。チキンって他に何かあったっけ?」
「(おいおい)それじゃあ、タンドゥーリチキン?」
「(沈黙)......マトンなんかどう?」

と、こんな感じで友人のグプタ君との夕食の注文のやり取りが続き、結局当初の予定とは全く違うものを注文することに...。
気が付くと、メニューは全てグプタ君の意向に沿ったものになっていた。

待てよ...そういえば、先週シャルマ君とランチに行った時も同じようなことが...

「どこで食べる?」(どびー)
「どこへでも、ついていくよ」(シャルマ君)
「(そうじゃなくて...)中華の気分とかイタリアンの気分とかさあ。なんかないの?」
「うーん、どびーはどんな気分?それにあわせるよ」
「そうだなあ、中華なんてどう?」
「中華ねえ......よし、そうしよう。じゃあ、どこに行く?」
「今度は決めてくれよ」
「いや、中華を提案してくれたどびーについて行くよ」
「(ほんとかあ???)じゃあ、頓珍漢にする?」
「頓珍漢かあ...他にあったっけ?」
「(おいおい)それじゃあ...北京飯店は?」
「(沈黙)......やっぱり、ナポリターノなんてどう?」

と、こんな感じであの時も結局相手の意のままにイタリア料理を食べた。

ひょっとして、「君達最初からそのつもり?」とか「最初から言えよ〜」なんて突っ込みたくなるくらいこんなことが私の友人にはよくある。

まるで、最初から結論ありきで、その過程をあたかも楽しんでいるようだ。

こんなケースに共通していることは、
まず、ソフトに相手の出方を伺う。
そして、さらりと相手のカード(持ち札)を出させる。
相手を丸裸にしておいて、相手にそれを気付かせない。
最後に土俵際まで追い込ませておいて、うっちゃりでソツなく片付ける。

ここで、「うっちゃり」をご存知ない方に、
うっちゃりとは、土俵際で自分の体を弓なりに反らせて相手を左右いずれかに振って土俵外に出す技で、因みに昔は未練がましい技であるとして禁技になっていたらしい。(変に潔すぎる)

大相撲を見ていると、うっちゃりで負けた力士の表情は一際悔しそうだが、友人にうっちゃりを決められると、そんな力士の気持ちがわかる(ような気になるだけだ)

“未練がましい”というのはネガティブな意見だが、「最後まで諦めない」「勝利への執念としたたかさ」が私はとても気に入っている。

と言っても、私の友人達にそこまでの強い意志があってこのうっちゃりを仕掛けてくるとは到底思えないが、彼らの華麗かつ強引なこの決め手は、交渉事が何かとタフなこの国で自然と身についた技なのかもしれない。

もちろん、最後のうっちゃり(申し出)を強引にかわして(断って)押し切る(自分の意志を通す)ことも出来るが、それをやっても何か大人気ない。いつかはもう一歩上をいって、うっちゃりを受けるとみせかけて、「うっちゃり返し」なんていうのもあればやってみたい。

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