大切なひとのためにも
ボクはつぶれるわけにはいかない

嘘はいけない
正直に生きようと　でも
いつのまにか
嘘をうまくつくようになってる

幸せな嘘　必要な嘘
これは言い訳なのか

だまってひとり
心にしまうのも嘘か

過去を否定することで
今を肯定しようとする姿勢は
かなしくてさみしい

いつかこのさきには
過去となった今を否定しているのだとおもうと

何だかやるせなくなる

梶井が坂口とすり替わり
樹の下が森の満開の下にすり替わり
いつの間にか混同していた

六年の歳月に憶いを馳せてみたいま
ボクのなかにひとつの世界が創られていた　と実感



記憶は曖昧

いつのまにか都合のいいようにすり替えられ 捏造され
美化されてしまう

せめて記憶のなかだけでも逢いたくて
そして記憶のなかでしか逢えないから
ボクはいつまでも囚われていて足取りが重い

そういうひとや
そういう物事が
意外とあるものなんだと

漠然とおもってみる

雨宿りする場所ならば
ときどき掃除したり屋根を直したり

ふかふかの布団ならば
ときどき干してお日さまをすいこもう

直したり干したりはひとりでできないから
大切なひとたちのところにいって
直したり干したりしてこよう

きっと雨宿りも楽しくなる
きっとやさしい居心地の布団になる

朝靄のなか自転車
濡れるシャツ
こんなにも晴れてるこころ