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甘い秘密

2006年12月28日(木) 埋めてください

両手でベッドを握り締め
尻を高く突き出した私のふくらはぎを
A氏の両足が踏みつける

もっと足を開けと平手が飛んでくる

会えなかった時間に何を考え思い出し
何処でいつ何度自分を慰めたのか
事細かに告白させられる

それはとても惨めで恥かしく
『していません』は通用しない

執拗に続く問いに答える度に濡れてゆく
愛液が太腿に伝わった頃耳元で囁かれた

『欲しいのか?』

A氏の言葉に過剰に反応する
『欲しいです、欲しいです、とっても』

自制が効かずに連呼する
『入れてください、お願いします』

衣服を脱いでもいない彼に懇願する
繰り返し繰り返しお願いする

まだ一度も見たことのない
A氏のペニスを想像して悶える
尻を振っては下半身を濡らす

これほど熱烈に女に欲された経験はあるのだろうか
私ほど強烈に欲しいと繰り返した女はいたのだろうか

この晩私が得たものは
彼のペニスでも指でもなく
シリコン製の冷たいバイブレーターだけだった






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2006年12月24日(日) マッチの香りに包まれて

低温蝋燭を使うはずだと思っていたのに
目の前のそれは市販の赤い蝋燭だった
いつかは体験するだろうと覚悟するつもりだったが
四度目の逢瀬で登場するとは予想外で息を呑んだ

『どうするんですか?』
恐る恐る聞いてみる

『決まってるだろう』
素気なく答えられる

『でも・・・』
伝えたい事は沢山あるはずなのに絶句する

今日は妙な縛り方をするなと感じたが
これが目的だったのかと納得した

ユラユラ揺れる炎に怯えてしまう

広げたシートにうつ伏せに寝かされ
手首と足首を宙で繋がれ目を閉じる

不安から石の塊と化した私に
A氏の一言が突き刺さる

『熱いぞ』

ポタリと垂れた一滴の蝋に
海老反りになって悲鳴をあげる
熱いと言葉にする余裕も無く叫ぶ

ゆっくりと落ちてくる熱い液に
いつまで続くか分からない折檻に
『ひぃぃん』『ひひん』
馬のように鳴くだけで精一杯


・・・嫌だ・・・

・・・辛い・・・

・・・苦しい・・・

・・・もうダメ・・・

・・・堪忍して・・・


でも彼がとても嬉しそう
今までで一番楽しそう
だから心の中で葛藤する


・・・楽しんで欲しい・・・

・・・でも辛い・・・

・・・満足してもらいたい・・・

・・・けどもう無理・・・

・・・あぁ・・・


『今日はこのくらいにしてやる』

一気に脱力しフロアに倒れこむ
本当はA氏の胸に飛び込んで抱きついて
声を上げてわんわん泣きじゃくりたい
けど甘えるのは恥ずかしい

『嫌いです!蝋燭は嫌い!』

シャワールームに駆け込み
貼りついた蝋を指で剥がしながら

不愉快にさせたのではないだろうか
怒らせてしまっただろうか
どんな顔して出て行けば良いのか

ぬるいシャワーの下で途方にくれた






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2006年12月18日(月) 闇を切る音

逢瀬を重ねるたび
縄の結びが複雑になる

一時間もすれば白い肌には赤い線が浮く

後にA氏の指でなぞられると
とても満たされた気分になる

『怖がりだから目隠ししてやる』

アイマスクがかけられた
何をされるか心配で尋ねても
ウルサイと叱られるだけ

体を包んだ縄が早々と外され
少しがっかりした気分になる

背後からA氏の接吻を感じ
私がこれで安心するのを
彼は既に知っているのだと嬉しくなる

背中からお尻へと唇が移動し
いつの間にか四つん這いにされていた

ピシッ!!

背中一面に痛みが走り
仰け反りながら叫び上げ
それが鞭だと気付く前には
皮膚が裂けたのではないかと思った

浮かせた背を突き飛ばし
『じっとしてろ』と声がする

決して心地良くはない痛みが連続して私を襲う
今までに経験したことのない激しい痛みに身が縮む

吹出した汗が髪を濡らし
不定期に飛んでくる痛みを恐れる

アイマスクから解放されると
彼の手にする長くて黒い革鞭が
頬の辺りをヒタヒタとからかう

犬のような格好のまま叩かれ
ベッドを這いずり回り逃れようとする
捕まって激しく何度も打たれ
犬のような声でうなる

A氏の指が股間に触れた

『叩かれるのが好きなんだな』と言われ
この時初めてどうしようもなく口惜しいと感じた







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2006年12月14日(木) 痛くて痛くて辛いもの

A氏の手にしたクリップは
業務用かと思うほど頑丈そうに見えた

『嫌です・・・』
『それはイヤ・・・』

懸命に首を振り目で訴え
縛られて不自由な体で逃げようとする

指で乳首をつねられ身をよじりながら
どうしてそれが嫌なのか
散々に説明させられているうち
彼は今日小道具を見せ
私の様子を伺っているだけだと気付き安堵する

『そんな泣きそうな顔するなよ』

クスリと笑って私を抱き寄せ
首筋に素敵なキスをくれる
ゆっくりとまとわりつく唇の柔らかさに
うっとりとA氏を振り返る

背中で縛られた両手がドアノブに繋がれ
眺められてモジモジしてしまう
A氏の煙草が早く燃え尽きれば良いのにと願う

『どうした?恥ずかしいのか?』
『・・・うん・・』

『返事はハイだ』
『・・・ハイ・・・』

『俺がSだって忘れたか?』
『・・・いいえ・・・』

『逃げるんじゃないぞ』

そう言って乱暴に乳房を握り
敏感な突起にクリップを挟む

『いやあぁぁぁぁああ』

あまりの痛みに涙が滲む
自分で取り外せない2つのそれを
爪先でパチンと弾かれる度
水から上げられた魚のように飛び跳ねる

苦しいのか辛いのか恥ずかしいのか
泣きたいのか嬉しいのかも判らず

許して 許して 許して
許して 許して 許して
許して 許して 許して

うわごとのように繰り返し
つぶやき叫んでいるうちに
頭の中がぐちゃぐちゃになる

バイブが挿入される頃には
『ちゃんと濡れてるじゃないか』と笑われて

私はまだ頭が体についていけてないだけだと知った






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2006年12月05日(火) 縛られた夜

SM行為を行うため部屋に入る
スイートルームは高級感が漂い
窓一面に広がる夜景も素晴らしい

間髪入れずシャワーを浴びるよう促され
真白なバスローブを着てソファーに腰掛ける
無造作に置かれた縄が目に入り
A氏の顔が見慣れぬS男のそれになっていた

・・・どうしよう・・・
きっと私は怯えた表情をしたはず

・・・怖い・・・
物凄く居心地が悪い

A氏が手を取り私を立たせ
静かにバスローブを剥ぎ取る
シュルシュルと音を立てながら
無言で私に縄をかける

『あの・・・っ・・・』
手を止める事なく縛り続ける

『すいません・・あの・・・』
無表情のまま私を無視する

『私、初めてなんです!』
私を見据えてニタリと笑った

『知ってるよ』
そう言って私を締め上げる

縄に縛られ迫り出した乳房は滑稽で
体中巻かれた自分はさぞかし不恰好だろう

満足そうに私を見下ろすA氏の視線を感じ
緊張が高まり過ぎて興奮に繋がらず焦る
SMなんかに飛び込むんじゃなかったと後悔する

『うん、綺麗だ』

明かりのついたままの部屋の中
どうして良いか分からず立ち尽くす
呼吸する度に縄が食い込む

『乗れよ』

少し離れた位置にあるガラステーブルを指す
その上で四つん這いになれと言う
手足を自由にしたのはそのためだと

キスさえ交わしていない相手の前で
性器を剥き出しにすることに限りなく躊躇する

テーブルの前に位置するソファーにどしりと座り
『どうする?』
厳かにA氏が私に問いかける

NGを出して帰るのは簡単
勇気を出して進むのは自分次第

震える素足にガラステーブルの冷たさを感じ
膝を折って両手をつく
乾いた性器を彼に向け
キツク目を閉じカラカラの喉を鳴らした

これが私とSMの出会い






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