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華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2002年08月09日(金)

ある日曜日の若妻。 『宵闇』


<前号より続く>




 「・・・私も割り切ってますから。お小遣い下さいね」
「・・・いくら?」

 「1万円で」
「ここの店の女の子はみんな1万円だって言うね(笑)」

 「そうなんですか?だってタダでしちゃいけないって店から言われました」
「店から?」

 「そういう時はタダですると勿体無いからって」


大体の予想はついていたが、やはり追加料金を請求された。
それもマニュアル通りの1万円。
慣れていないとはいえ、口がすべり少々余計な事を喋ったのはご愛嬌だ。


 「エイコさんは、構わないんだ?」
「私も生活が掛かってますから、その分お金が頂けるのなら・・・」


エイコはそう言うと、俺から身を離す。
そしてバックの体制になると、恥ずかしそうに顔を背けた。
俺に尻を突き出し、彼女自身の三つの穴を見せる。
あまりにはしたなく、女性として最も屈辱的な格好であろう。


 「大丈夫ですよ、私、割り切ってますから・・・」


俺はその言葉に真意が存在する事を悟りつつ、エイコの内腿に舌を這わせる。
エイコは尻を上下左右に疼かせ、枕に顔を押し付けて声を殺す。

その行為と裏腹に、エイコの下の唇からは愛液が垂れてきた。


「いいの?」
 「・・・はい、割り切ってます・・・」


俺はゴムを付け、バックからエイコに挿入した。


シーツを手型の皺がつくほどギュッと掴み、何かに耐えるエイコ。

俺はエイコと逆に、割り切れない気持ちのままで客としての役割に徹する。
風俗嬢として客の性欲を満たす役割を演じるエイコと、俺。


これだけ辛い『割り切り』も無かろう。

旦那と風呂にも入れないような純朴な若い嫁が、
生活のためとはいえ、自分自身を剥き出しにして晒す。


割り切っています・・・なんて台詞は、
本当に割り切っている女なら、いちいち何度も口に出さない。

一番割り切れていないのがエイコ本人。
そう言い続けることで、自分が割り切ろうとしているのだ。


必死になって割り切る姿を見せられた俺は、
客として何とか割り切った態度で接する。

俺とエイコは、何をこんなに下手な芝居をし合っているのだろう。
おかしなイタチゴッコだ。



エイコ自身の締まりは随分良かった。


女性の締まりが良い時というのは、
実は本当に感じていないときだ、と聞いたことがある。


女性自身の締まりとは、いわば男性への「抵抗」であり、
本当に性感に酔っている時ほど、力が入らずに「緩んでいる」状態なのだという。


分かっている。
エイコが喜んで俺を迎え入れている訳ではないことを。
今日逢ったばかりの、それも金で買った男に心など開く訳が無い。

様々な意味の『割り切り』。

皮肉な事に・・・
エイコの女としての本能からの抵抗が、俺自身の性欲を満たそうとしている。


エイコは先程より強く顔を枕に押し付けて、艶かしい声を殺す。

快楽なのか、抵抗なのか。
彼女は何かに必死に我慢している。


俺はそんな姿を見て、心は痛みつつも絶頂に向かう。


 『 男は、抵抗し嫌がっているよその奥さんをバックで犯している・・・
   尻を突き出すその女は、犯されつつも秘蜜を垂れ流して悦ぶ。
   旦那よりも強烈な、痺れに似た快楽に酔いしれ、
   ついに今までの男には見せた事の無い痴態を露にした・・・ 』


いつかどこかで読んだ三流官能小説のような情景が、今、俺の前で行われていた。
おかしな背徳感が俺の性欲を最後に掻き立てる。

そして絶頂。


ベッドの上で猛ダッシュを繰り広げた俺は汗まみれでベッドの脇に倒れ込む。
エイコはバックの体制のまま下に潰れ、ぼんやりとしている。


子供の遊ぶ声もしない夕暮れ過ぎの住宅街。

俺とエイコは、互いに複雑な感情を持ったまま黙っている。


 「・・・満足でしたか?」
「・・・ありがとう。我が侭聞いてくれて」

 「こちらこそ、ありがとうございます・・・割り切ってますから」
「・・・嘘付け(笑)」

 「・・・」

この時のエイコの表情が印象的だった。



時間が押し迫っているので、慌ててシャワーを浴びる。
そして清算を済ませた。
なぜかプレイ料金のみだった。

「これでいいの?」
 「・・・割り切れてない事、ばれちゃいましたから」


エイコはホッとしたような、落胆したような複雑な笑みを浮かべる。

このお金を貰うと、自分が本当に汚れた女になってしまうような気がします・・・
エイコは俯いて漏らした。


我ながら、余計な事を言ったかな・・・と落ち込む。

これも生活費になる貴重なお金。
しかし彼女は追加料金を切り捨てたことで、最低限の貞操を守ったのだろう。


 「私、このお仕事は最初で最後かもしれません」
「・・・そうなんだ」

 「楽しかったです。いい勉強になりました」
「何が?」

 「私が上になってする方法・・・」

頬だけでなく、真っ赤になった顔でそう答えたエイコ。


「旦那さんに試してみる?」
 「そうですね・・・あの人も次に向けて頑張っているから・・・」

「エイコさん、旦那さんの事が好きなんだね」
 「・・・ええ・・・私にも子供にも、たった一人のパパですから」

「もう逢うことも無いかな」
 「△△(スーパーの名前)でなら、お会いするかもしれませんね」

「俺、よく行くんだ・・・逢った時には安くしてね。特に刺身(笑)」
 「はい(笑)」


エイコは最後に笑って、俺の部屋から出て行った。
垂れた目が無くなるほどの、いい笑顔だった。


真面目な人ほど損をする、この世知辛い時代。
そんな中でも家族に黙りつつも、必死に支えようとする彼女。


明け方の浅い眠りの中で見る夢のように、短く儚い出逢いだった。
  







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後日、エイコの事を店に問い合わせた。
やはり彼女はあの日一日、俺一人で辞めたという。

「何か問題ありましたか?」と店は原因を追求しようと、
俺に何やら質問してくるが、聞こえない振りをして電話を置いた。


エイコの最初で最後の客は俺だった。




☆ 毎度「華のエレヂィ。」をごひいきにして戴き、ありがとうございます。

  長引く不況と先行き不安の生活から、悲しい犯罪や他人を思いやらない行動など、
  人々の心が荒んできています。
  そして社会全体が大きく歪んでいます。  

  そんな中でも必死になって生活を成り立たせようと頑張る人たちもいます。
  その方法のひとつとして「風俗」の道を選ぶ女性も。
  
  「客」として彼女達の姿を見て、自分もまた出来る事を頑張ろうと思うのです。

  投票&My登録を宜しくお願いします。

2002年08月08日(木)

ある日曜日の若妻。 『紅潮』

<前号より続く>




「色っぽいよね・・・とても23歳には見えない」
 「うふふ・・・私、23に見えます?」

「見えるけど・・・違うんだ」
 「本当は26です。オバサンですよ」

「子供は?」
 「一人。保育園なの・・・産んでから身体の線が崩れちゃった」

「そんなこと無いよ、綺麗な身体だ」


甘いピロートークが続く。

その後、会話が途切れる。
風俗嬢としてどうして良いのか勝手の分からないエイコを、俺がリードしていく。


全裸のまま抱き締め、背中を指の爪先でごく軽くなぞる。
乳房を大きく揉み、固くなる乳首を掌で転がす。

エイコは微かに身体をよじる。

まだ開発されていない女の肉体、というべきか。
または極度の緊張から、触感が快感にまで達しないのか。


「こういうお仕事の時はね、あなたからリードするんだよ」
 「はい、でも出来ません・・・」

「大丈夫、じゃあ・・・まずエイコさんが上になって・・・」
 「こう?ですか・・・?」


俺はエイコを上にする逆正常位に誘い、
俺の経験上からの風俗嬢のマニュアルを教えた。

まず軽く俺に口付けをさせ、男の乳首を転がすように舐めさせる。


「乳首は、君が自分がされて気持ち良いようにやってごらん」
 「そんな、恥ずかしいです・・・」

「でも、こういうお仕事するんだったら、頑張ってやらないと」
 「そうですね・・・こうですか?」


乳首は男も女も構造は同じ。
ならばそこに集中する末端神経も同じ。
繊細な舌の動きに反応するのも同じだ。
その触感に慣れているかどうかが問題になる。


割り切れない様子のエイコは、戸惑いつつも俺の乳首を転がし始めた。
舌先を左の乳首の奥にぐっと押し付け、右手は俺の乳房を揉む。

自分がされたら気持ち良い事といって、
まさか男の胸を揉んでくるとは思わなかった。


「だからって、男の胸を揉む事はないよ」
 「ごめんなさい・・・本当に分からないの・・・痛かった?」

「痛いんじゃないけど、変な感じ(笑)」


照れた顔がまた可愛く感じる。
エイコは言葉通りに動こうとする、とても従順な女性だった。

そして俺自身に顔を降ろし、まず手で根元を持ち、
歯を立てないように、舌先で裏筋から亀頭を舐めるよう指示する。
時々奥まで咥えたりするといいよ、と教えるとその通りにしてくれる。


不慣れだが、誠意のこもる一生懸命なフェラだった。
性感よりも、彼女へ対する可愛さに感じる。
俺の呼吸も深くなり、足腰に力が入る。


 「気持ち良いですか?」
「うん、丁寧にしてくれて、凄く気持ちいいよ」

 「旦那にもしたこと無いのに・・・」
「今度して上げなよ、きっと喜ぶよ」


恥ずかしそうな照れ笑いをこぼすエイコ。
自分の行為で男が感じる、という喜びも分かってきたのだろう。


「じゃ、シックスナインになってみようか」
 「・・・何ですか、それは?」

「男の人と女の人が、互い違いになって、お互いを舐め合うことだよ」
 「・・・えーーっ?」

部屋の中は少し暗くなり、顔色まで見えない。
きっとエイコはこの瞬間に顔面が一気に紅潮したに違いない。


「お尻をこっちに向けて、俺の顔を跨いでみて」
 「・・・いいんですか?綺麗じゃないですよ」

「いいよ、俺もあなたも気持ち良くなろうよ」
 「・・・はい」


エイコは小声で返事した。
丸く、大きい骨盤を抱くエイコの股間が俺の顔面に跨る。

薄めのヘアの奥にある女の深奥を指で割ると、微かに湿っていた。
薄いパールピンク色のエイコ自身は、彼女の性格と同様にこじんまりとしていた。


 「恥ずかしいです・・・」
「大丈夫だよ、綺麗だよ」

 「そんなぁ・・・女のアソコは汚いって・・・」
「そんなこと無いよ、エイコさんと同じで可愛いよ」


これだけ綺麗な身体をしていて、なぜ旦那とも風呂に入らないのだろうか。
何にそんなに引け目を感じているのだろう。
余計な詮索をしてしまう。
幼少の頃に「女は汚い」といった擦り込みでも受けたのだろうか。


プレイが進むに連れて、エイコも感じてきた様子だ。
突起を舌先で細かく舐めると声も漏れだし、エイコ自身もしっとり潤ってきた。 


「ねぇ、俺・・・」
 「何ですか?」

「本当にエイコさんとHしたくなっちゃった」
 「えぇっ?本当ですかぁ?」

「でも、ダメだよね・・・」
 「・・・いいですよぉ」


あっさりと交渉成立。
その後に、しっかりと付け足しがあった。


<以下次号>






↑エンピツ投票ボタンです。次回が最終回です。



2002年08月07日(水)

ある日曜日の若妻。 『夕暮れ』


日本人の『初物好き』はあまりに有名だ。

初日の出、初荷、初詣、初かつお・・・何でも『初』を付けて尊ぶ風習がある。


そして『処女』という女性も、何故か日本人男性だけは喜ぶそうだ。

西洋の男性は相手が処女だというと、みんなガッカリするという。
口説いて、ベッドへ誘うのが面倒臭いからだと言う。


実は俺も初物が好きだ。

会社の新人研修でも、風俗やテレコミの女性でも。

一から教えて「自分の色に染める」ことが好きなのだろう。
そして『教え子』が結果を出すことが、俺にとっても最大の喜びでもある。

それは部下でも、風俗嬢でも変わらない。





「素人の新人さんが入りましたよ」
俺の一番ときめく言葉を、デリヘルの受付が俺に吐いてくる。

今日入店したばかりの23歳の人妻だという。
完全な素人なので「最初は慣れた常連さんに付けて勉強させたい」と言われた。


俺も何度もこの店を利用しており、もはや常連と呼ばれる立場。

早速この女性を予約し、部屋を掃除しながら到着を待った。



日曜日の夕方。
近所ではまだ子供が屋外で遊ぶ声が聞こえる時間帯である。

部屋のドアベルが鳴った。


来た!
そう勇んで玄関のドアを開ける。
そこには童顔で頬が赤く、分厚いコートを羽織った一人の女性が突っ立っていた。

俺は違う人かと思い、気が抜けた。
回覧盤なら置いてもらおう、セールスならとっとと返そう・・・と思った。


 「こんにちは、○○(デリヘル店)から来ました・・・よろしかったですか?」
「あ、あなたですかぁ・・・どうぞどうぞ!」

そう言われないと、近所の専業主婦かと思うくらい地味な佇まいの女性だった。


彼女は部屋に上がる際、玄関の靴を俺の分まで並べてくれた。
なかなか気が利く女性である。
男はそれだけで好感度が上がるのだ。

  
 「今日は呼んで戴いてありがとうございます。はじめまして、エイコです」

居間に呼び入れると、深々と土下座のように頭を垂れて挨拶される。
俺も思わず畏まってしまい、同じように頭を下げた。
こんな丁寧な女性も珍しい。


小柄であったが、メリハリある肉体と一重の垂れ目が可愛い女性だった。

時間を60分で取り、早速居間で話を聞いた。

パート勤めのエイコは、市内のスーパーで働くのだという。
そのパートでは生活が追いつかなくなって、この仕事に手を染めた。


「今日が初めてって聞いたけど、今まで仕事したこと無いんですか?」
 「本当に初めてなんですよ・・・で、凄く緊張しています」

「大丈夫?」
 「・・・判りません、本当に初めてなんで・・・でも頑張ります」


真摯な態度は可愛いものだが、あまりに馴れていないというのも不安だ。
料金に似合うサービスができるだろうか、と。
だったら、俺が教えていけば良いのだけれど。


「どうしてこういう仕事を選んだの?」
 「旦那がリストラに遭っちゃって・・・借金もあるし・・・」

「旦那さんは今、どうしているの?」
 「就職活動中。今日は・・・パチンコ、かな」

「旦那にばれないの?」
 「大丈夫だと思います・・・これは長く続ける気は無いし(笑)」


身体を売って家計を助ける妻。
俺にとっては聞き慣れた理由でも、やはりどこか本心が痛むものだ。


しかし、俺も客。
その辺は割り切って料金に対等なサービスを求める事にしていた。


そんな俺の意気込みを初っ端からへし折る言葉を、エイコは発した。

それは一緒に風呂へ入ろうと誘った時だ。

 「ごめんなさい・・・先に入ってください・・・」

今までこんな発言をしたデリヘル嬢はいなかった。


「え?なんで?」

 「本当にごめんなさい・・・でもダメなんです・・・」
「どうして?一緒に入ろうよ」

 「旦那とも一緒に入ったこと無いんです・・・」
「でも、後で裸になるんだし(笑)」

 「そうだけど・・・お風呂だけはごめんなさい」
「俺、一緒に入って洗い合いっこしたいんだけどなー」

 「どうぞ先に入っていてください、どうしてもダメならお金返して帰ります」


あまりな拒絶ぶりに、さすがの俺も折れるしかなかった。
独り寂しくさっさとシャワーを浴び、エイコに譲る。


エイコも短い時間で浴び終わり、ベッドへと入ってきた。
日曜日の夕暮れ時。

西向きの窓からは、日没直後の濃いオレンジ色の光が差し込む。
昼と夜との絶妙のコントラストが見える。

その宵闇の中で、エイコの色白の身体が夕焼け色に浮かび上がる。

誰に見せても恥ずかしくない、綺麗な肌と肉体の曲線。
俺も息を飲むほどだ。


 「明るくて、見えちゃう・・・恥ずかしい」
「大丈夫、俺も目が悪いから・・・」

だからコンタクトレンズをしている、という事は内緒にしておいた。
実は小皺から毛穴まで、エイコの身体の隅々まで見えるのだ。








↑エンピツ投票ボタンです。今回は初心に返って(?)3部構成です。




抱き合い、顔を寄せ合う。

照れ隠しなのか、互いににやけつつ囁くような会話を交わし合った。



<以下次号>

2002年08月05日(月)

サユリと早智子の狭間で。 『天使』
<前号より続く>



サユリは旦那ではなく、規則違反していることで、店に負い目を感じているようだ。


「何故?きちんと働いているじゃん」
 「でも、約束破ってるんだよね・・・本番は」

「そうだけど・・・」
 「平良さん、私ね・・・平良さんだけでないの。身体を許したの」


サユリは他の客とも『自由恋愛』をしている、という。
そのきっかけは、先日の俺との行為だった。

本番はあくまで店の勧めではなく、自分の意志で始めた。


俺との本番で一線を突破してしまい、どこかに張っていた糸が切れた。
 

 「やっぱり、売れないとお金にならないじゃない・・・」
サユリは寂しそうに、半ば嘲笑しながら話してくれた。

俺との行為以後、開き直って本番に及ぶ事で、
彼女は予約の必要な程の売れっ子になっていった。
それ以来、彼女の指名は増え、売り上げも格段に伸びた。

しかし客はみんな『本番』が目当てだ。


彼女がどれだけそれに代わるテクニックを身に付けようとも、
一度行為に及んだ客には、その努力に見向きもされない。

年齢的にも若い娘にはかなわない。
実力があっても、若さや初々しさの方が勝る、特殊な世界。

若さがなければ、『賢い方法』で客を引くしかこの業界では生き残れない。


俺もこういう遊びでは経験を重ねた。
そんな事・・・俺以外の客との本番行為・・・で気分を悪くするほど、
俺はもう子供(ガキ)ではない。



「サユリさん、今はサユリじゃないね」
 「え?」

「今は完全に早智子だよね」
 「・・・」

「本当の姿を見せてくれて、俺、嬉しいよ・・・」


俺が好きなのは、建前や役割ではなく、
本当の『人間』として俺に接してくれる事だ。

特にこういう仕事の女性に本当の女性としての一面を見せてくれるのが、
何よりも嬉しい。

サユリ・・・いや、一人の女性としての早智子は俺を驚きの表情で見つめてくる。


「早智子さん、ありがとう」
 「・・・・・・何でよ、もっと怒ってよ・・・」


すでに早智子となっている彼女は、俺の首に腕を廻し、力強く抱きついてくる。
さすがに看護婦。
見た目より強力な腕力で、俺も苦しいほどだ。

俺の胸の中で、じっとしている早智子は時折鼻をすすっている。
俺はショートカットの髪を何度も撫でた。


「これも看護婦もさ、人と接する仕事って疲れるよな」
 「でもお店には感謝しているよ・・・こんなオバサンを雇ってくれたんだから」

「感謝ねぇ」
 「私ね、実はずっと考えてたの・・・私、何やってんだろうって」

「この仕事のこと?」
 「ううん。でね、何であの人は何も気付いてくれないんだろうって」

「あの人・・・旦那さん?」
 「だって、自分の奥さんがこんなことやってんだよ?」

「・・・うん」
 「何で叱ってくれないの、何で力づくでも連れて帰ってくれないのって」

「旦那さんはこの仕事は?」
 「知らないと思う・・・でも勘ぐって、心配して欲しかったの・・・」

「気付いて欲しかったんだね・・・」
 「でもすごく不安・・・ばれるのも、嫌われるのも」


本当はローンや小金を稼ぐのが彼女がデリヘルを始めた理由ではないという。

彼の妻として、家族として心配して欲しかったのだ。
そして女として、気に掛けて欲しかったのだ。

でも彼女の本音とは裏腹に、表立って何も訴えられない自己嫌悪に揺れていた。


彼女が訴えるために起こした行動は、風俗デビュー。
誉められた行動ではない。


女性の最も大事な部分を賭けてまで訴えたい事とは何だったのか。



彼女の旦那は医療現場とは関係ない仕事をしている。
看護婦である早智子の仕事にはあまり深い関心がないらしい。

旦那との夫婦関係は子供が生まれた後から冷えており、Sexはほとんど無い。

なので、病院のシフトだといえば簡単に外出も外泊も出来る。
その態度に不安を覚えた早智子は、このデリヘルのバイトを始めた。

最初は反抗と小遣い稼ぎ程度の軽い気持ちだったが、
彼女の人柄と真剣な仕事振りに、少しずつ店でも人気が上がる。


他の客たちはサユリの肉体を求めてくる。

店との約束で最初は本番を受け付けなかったのだが、それを打ち破ったのは俺だった。

それからは何人もの店の客と本番行為を行った。

生身の女の欲望を、ようやく分かりかけた女の悦びを晴らす相手は、
旦那ではなく、自分の存在を金で買った愚客たち。

それも決して愛情のこもった態度で接してくれるわけではない。
辛い事も、苦痛な事も多いだろう。

小金を儲ける『サユリ』の陰で、
徐々に自身の存在に疑問を持ち始める『早智子』。


夕方、すました顔をしてバイトから帰る。
旦那は何も気付いていない。

ほっと胸を撫で下ろす『サユリ』の陰で、
彼の妻としての価値に悩む『早智子』。


デリヘルの客からは身体を求められ、一方で旦那からは一向に女扱いされない。

そのサユリと早智子との狭間の見えない溝が、
彼女自身の努力では埋められないほど広がっていく。

そして自分自身は何なのか・・・
本名と源氏名の間で揺れ動く女の心境。


「そうか、その狭間で苦しんでたんだね・・・」
彼女の話を聞き、俺はその不安を悟った。

早智子は強く抱きついたまま、俺の顔の後ろで首を僅かに振った。
それが縦なのか、横だったのかは分からなかった。


 「この前、早智子って呼んでくれたでしょ?」
「ああ、ホテルで・・・」

 「・・・怒っちゃった事もあったけど、本当は嬉しかった」
「本当?」

 「だって本当の私を抱いてくれたんだ、って思えて」
「恥ずかしかった?」

 「恥ずかしかったけど・・・すごく感じたの」
「・・・うん」

 「私・・・早智子のことを求めて、抱いてくれる男の人がいるって」
「・・・」

 「あの人、私をもう名前で呼んでくれないし・・・」


暗い寝室には、静かに俺と早智子の声だけが響く。


「俺から見れば、早智子さんはよく出来た女性だと思う」
 「どこが?」

「仕事も、家庭もしっかりこなしているし、バイトだって・・・」
 「身体を売ってるような女なのに?」

「いい事ではないだろうけど、でも本当はお金じゃないんでしょ?」
 「・・・」

「本当にお金が欲しい人は、もっとその役になりきるよ」
 「・・・役?」

「淫乱な女を演じて、客を満足させて指名を勝ち取るよ」
 「・・・」

「早智子さんはそんな器用な女性じゃないよ・・・分かるよ」
 「・・・」


早智子を抱き締めながら、髪を撫でながら、
俺の気持ちをまとまらない言葉で一生懸命伝えた。


「俺、早智子さんの事が好きだから・・・あの時も求めちゃったかも」
 「私も好きだからね、優しい平良さんが・・・」


早智子が乱れた髪のまま、顔を上げる。
どちらからともなく、俺と早智子はkissをし始める。

唇からより深く、舌を絡ませる。
早智子のkissは、軽い涙の塩味だった。

しかし電子音のタイマーが鳴る。
終了10分前だ。


「もう時間がないよ・・・」
 「平良さん、勃ってるよ・・・いいから入れて」


俺は先程の濃厚なkissで、しっかり勃っている。

「サユリ?早智子?どっちが俺を求めてるんだ?」
 「・・・早智子ぉ!」

「じゃ、早智子の中に入れるよ」
 「来てっ、お願い・・・抱いて」


まだ少し濡れ方の足りない様子の早智子自身に、俺自身を割り入れる。
奥まで突くと、早智子は声を上げてしがみ付いて来た。

早智子自身はすぐに潤いを増し、充分過ぎるほど濡れる。


「凄くいい、早智子・・・」
 「私も・・・凄くいいの・・・信じて、本当に、好き・・・よ!」

「俺も・・・俺の目を見て、思い切り感じて!」
 「いやぁ、い、イッくぅ・・・・ううう〜〜〜」


程なく、俺達はイッた。
またしても早智子の腹の上に出す。
勢いの良い精子が顎のあたりまで飛び、引っかかった。


俺と早智子はそのまま強く抱き合い、密着感を楽しむ。
このまま眠れたら最高の一時だが、とっくに終了時間を迎えている。

早智子は時間的に俺がラスト。
腹の精子をそのまま拭き取り、服を着替えた。


「この仕事、続けるの?」
 「本当は病院だけで何とかやっていける。寂しかっただけかも知れない」

「辞めちゃうんだ?」
 「でも、もうしばらく続けてみるわ・・・」


早智子はサユリに戻り、そういい残して俺の部屋の玄関を出た。

 「すみません、遅くなっちゃって・・・」
下でそう運転手に言いながら、迎えのワゴンに飛び乗る。
エンジンを吹かしながら、勢い良く発進して行った。


その後、俺の仕事の配置が変わり多忙になった。
サユリの出勤に合わせた時間も取れなくなる。

俺とサユリのすれ違いは致命的だった。

店に問い合わせると、サユリは完全予約制になったそうだ。
しかしその後しばらくして、店から姿を消した。

無断で消えた風俗嬢に、店もつれない態度を取る。

「自然消滅ですねー。うちも出て来ない人をお勧め出来ませんから」


消息不明となったサユリとは、もう逢う事は無かった。




   愛を与える立場の人が 実は愛に飢えている
   他人の世話をもこなす人が 自分の寂しさにつぶれている

   あまりにも理不尽
   
   報われない時に 自棄をおこしてしまう人がいる
   叱咤激励できるほど 俺はそんなに強くない

   
   甘えたい時に甘えられることが
   そういうパートナーに恵まれることが
   一番幸せなのだと 数々の失敗から学んだ

   いま あなたに そんな人がいますか?
   その大切な人を 大事にしていますか?

   恵まれた時ほど ありがたみを忘れてしまう
   去られた後に 痛烈に存在の大きさに気付く

   なぜもっと大事にしてやれなかったのか
   いままでの 取り返しのつかない過去を悔やむ
   いつまでも 取り返しのつかない過去を悔やむ

      


    平 良
   


   





↑エンピツ投票ボタンです。宜しくお願いします。




そういえば、早智子は市内の大きな病院で勤めているといっていた。
どこの病院の何科かは聞いていないが。

時折、風邪などで病院の診察を受けることがある。


そのときに、実は今でも『早智子さん』と呼ばれる看護婦をつい探してしまう。


市内の大きな病院での診察を受ける時に、
殺風景な病院の待合室で。
機能的過ぎる診察室で。
注射をする台の周辺や、レントゲン室で。
病棟を結ぶ廊下やエレベーター前で。

ついつい余計に見回してしまう。
白衣の天使として活躍している、早智子を探すために。


幸か不幸か、未だに熟女の天使は俺の目の前に現れない。




☆ 毎度「華のエレヂィ。」をご高覧下さいまして、ありがとうございます。
  8月4日深夜に、通算10000hitを突破いたしました。
  この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
  今後とも、「華のエレヂィ。」を宜しくご贔屓ください。

  投票&My登録を宜しくお願いします。
  次回も、どうぞお楽しみに。 

2002年08月03日(土)

サユリと早智子の狭間で。 『罪悪感』


<前号より続く>



空調の利いた部屋。
俺は冷えたベッドでサユリの肌に、改めて舌を這わす。

 「馬鹿ぁ、入れてよぉ」


明らかな焦らしに怒る。
俺は笑みを浮かべ、サユリの股を広げ、早速入れた。

浴室よりもベッドの方が動きやすい。
サユリも余分な力を入れずに済むからなのか、リラックスしているようだ。


「早智子、凄く気持ちいいよ・・・最高だよ」
 「名前呼ばないでぇ、感じておかしくなっちゃうからぁ・・・」

「だって、早智子だろ?」
 「だめ、だめなの・・・」

「早智子のアソコ、いつもよりずっといっぱい濡れてるし」
 「平良、ダメ、平良・・・・っくぅ」


彼女だけでなく、俺もそろそろ臨界点だ。
余計な愛撫やおしゃべりを止めて、律動に集中する。


 「イク、イク、イッちゃうよ・・・・あああ〜〜〜・・・・」
「早智子・・・」


俺はとっさに抜き、早智子の腹の上に出した。
流れの中でスキンをする手間を取らなかったのだ。



全てが終わり、ベッドでまどろんでいる。


「サユリ、Hも凄いんだね・・・」
 「言っておくけど、こんなの初めてなんだからね・・・」

「俺、本気でサユリ・・・いや、早智子に惚れちゃいそう!」
 「馬鹿、でも、絶対言わないでね・・・店に」

「大丈夫だよ・・・俺達だけの秘密だからね」
 「・・・うん」


それからの俺とサユリは、プレイを超えた
『自由恋愛』を楽しむ関係になっていった。


サユリも抱くたびに艶やかになっていく。
頻度はともかく、俺もサユリとの時間は何よりも楽しみにしていた。




ある夜。
俺は珍しく夜に出勤しているサユリを自宅に呼んだ。
彼女も主婦なので、非番の昼が主な出勤時間だった。

登場した彼女は疲れているのか、どことなく暗い面影だった。


「こんばんは」 
 「珍しいよね、夜にいるなんて」

旦那は出張で今夜は帰らない、子供は祖父宅に預けている・・・
そう彼女はたどたどしい口調で説明する。

いつもの笑顔も固い。


俺は気付かない振りをして世間話で風呂の湯を入れる時間潰しをし、入浴。
そして寝室へ誘う。


「サユリさん、なんだか今日は変だね・・・疲れてるの?」
 「そんなこと無いよ・・・でも、平良さんには分かっちゃうかな」

「分かっちゃった(笑)。疲れてるね?」
 「・・・気にしないで」

ベッドの中でサユリを抱きすくめる。
心なしか、腕の中で小さく感じた。


いろいろ攻めてみるものの、反応はいまいち鈍い。


 「平良さん・・・もう抱いて」
「でも、まだサユリさん・・・濡れてないよ?」

 「そんなこと無いよ・・・いいから」


何かひっかかる。
サユリ自身はまだあまり濡れていない。
右手中指を舐め、奥へゆっくり入れてみる。

入り口に軽い抵抗があるものの、痛む様子ではない。

吐息を漏らして軽く仰け反る。
若干潤いはあるものの、前回までの反応ではない。

俺はサユリの両腿を開き、深く顔を埋め、彼女自身を舐める。
舌先で突起を転がし、陰唇に沿って這わせる。

両手はサユリの掌を掴む。
逃げられないよ、という意思表示だ。
サユリは腰を不定期に波打たせ、鳴く子犬のような喘ぎ声を上げる。

ようやく唾液と愛液で濡れてきた。


「濡れてきたね・・・」
 「ねぇ、入れてっ」

今までとは違い、どこかぶっきらぼうな言い方をする。
俺の経験上、あまり好ましい状況じゃない。

俺はサユリに圧し掛かり、正常位になる。
入れようとすると、サユリは大きく顔を逸らす。

「どうかしたの?」
 「悪いなぁ、って思って・・・」


いくら仕事とはいえ、他の男に身体を弄ばれるのだ。
やはり気が引けるのだろう。
それで当たり前だと思う。


「悪いなぁって、旦那に?」
 「ううん、お店に悪いなぁって」


引け目を感じているのは、旦那ではなかった。


<以下次号>






↑エンピツ投票ボタンです。次号が最終話です。

2002年08月02日(金)

サユリと早智子の狭間で。 『本名』

<前号より続く>


明らかに戸惑う素振りのサユリは、石鹸の付いた手で俺自身を擦る。
その刺激に余計固くなり、そそり勃つ。
気持ち良さに、俺も腰の力が抜けそうになる。


「ダメだって、そんなに挑発しちゃ・・・」
 「だって・・・」

「だって、何?」


サユリは困ったような表情で、俺に言う。

 「いけないんだよ、本当は・・・」


デリヘルでは本番は御法度となる。
尊守するのが当然だが、そこから先に男の欲望がある。

ここから先は、仕事ではない。
俺とサユリの自由恋愛だ。


「俺なら黙ってるから・・・サユリはいらないんだ?」
 「違うの・・・」

「いいの?いらない?」
 「・・・ベッドへ行く?」

「いや、まず前戯でしょう」


俺は背後からサユリの尻の割れ目に俺自身を押し付け、上下に擦り付ける。
両方の掌で、サユリの胸を触る。

ホテルの浴室のマジックミラー風の窓からは、
下界の様子が手に取るように見える。

サユリはその窓の両脇に手を付き、本能と理性の葛藤を見せる。
そのせめぎ合いは、時間が経つほどに激しさを増す。

俺は前に右手を廻し、サユリ自身を触れてみた。
先ほどの石鹸液よりも滑りの良い粘液が溢れていた。

俺はサユリ自身と両腿付け根の隙間に俺自身を押し込み、
前後にピストンをしてみせる。


「音、聞こえるね」
 「・・・・うっ・・・ふっ」


俺が動くたびに漏れるサユリの粘液の音と細切れの声が、
バスルームのエコーによって、さらに艶やかな響きに磨き上げる。
サユリに抵抗する様子は無い。


「欲しいよね?」

俺の問いかけに、サユリは意思を持って頷いた。
本能が理性を制した瞬間だ。

俺自身に手を添えて、先端をサユリ自身の穴に入れる。
亀頭のあたりが、サユリの中に埋まる。

サユリは高い声を上げた。

やはり成熟した女だ。
外側の愛撫よりも、挿入の方が反応が良い。


俺はそのままもったいぶりつつ、奥までゆっくり突き入れていく。
サユリの深奥は充分すぎる熱と愛液を帯びていた。

俺自身が根元まで入る。
密着し、埋まる。

俺は数回力強くピストンした後、今度は奥に突き入れてサユリと密着する。
サユリの弱い場所を探るように押し付け、首筋やうなじにkiss。


「窓の外、見てよ・・・俺達のこと、向こうから見えるかな?」
下界では、行き交う車や人々の姿。
もうすでにサユリは窓の外を見る余裕もない様子だった。


彼女の下半身は力が入らないのか、膝が曲がり、内股になる。
腰砕けになった尻は俺に突き出し、さらに俺を奥まで求める様子だ。

サユリは今まで本番をしない嬢だとばかり思っていた。

今までは強く求めた事は無かったが、この反応は予想以上だ。
やはり生身の熟女である。


「本当は、して欲しかった?」
 「でも誰とでもいいって思ってない・・・」

「誰だったら良かったんだ?」
 「あ、あなたよ・・・だから・・・だから・・・」

無意識なのか、芝居なのか、嬉しい事を言ってくれる。
俺の鼓動が高鳴る。


「俺の事、受け入れてくれるんだ」
 「うん・・・」

「ありがとう・・・早智子」


入れたまま、後ろから抱き締めた。
乳房が強く歪む。
胸が感じるサユリは上半身を仰け反らせて声を挙げた。

 「だめぇ・・・その名前呼んじゃ、おかしくなっちゃうぅぅ・・・」


・・・・・


 「・・・だからね、私、うちの患者さんにも早智子さんって呼ばれてるのよ」
「え?サチコ?」

 「・・・あ」


サユリは以前、盛り上がる会話の中で口を滑らせて、
彼女の本名を俺にばらしたことがあった。
彼女の勤める病院の病棟には、同じ苗字の看護婦が3人いるそうだ。


「早智子が本名なんだ」
 「・・・うん」

「いいよ、気にしないで。ちゃんとサユリで呼ぶから(笑)」
 「絶対に言わないでね、お店には・・・」
 

それかプレイの最中でも、時々意地悪で耳元で本名を呼んでみたりした。

彼女は『サユリ』として、デリヘルに勤める風俗嬢に成りきるのだが、
本名を呼ばれるとどうしても素の自分に戻ってしまう。


仕事が出来なくなるからやめて!と叱られたこともあったが、
やはり素に戻る仕草が可愛くて、意地悪をやめられない。


・・・・・


本名を呼ばれる事態に、サユリは一段と艶やかな声を張り上げた。
いや、今はサユリではなく『早智子』として感じてしまっている。

俺は徐に自身を抜いた。

冷めた湯や石鹸で濡れたタイルの上に、一気に崩れてしゃがみ込むサユリ。
俺自身は湯気が立つほどサユリの愛液で熱く濡れていた。


「ここから先はベッドで、いい?」

余裕のないサユリは壁伝いに手を付き、おぼつかない足取りで浴室をでる。


<以下次号>






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  ☆ お勧め ☆


  「華のエレヂィ。」をご高覧下さる読者の方に、平良のお勧めする日記を紹介します。
  今回は紫(ゆかり)さんの恋愛日記『不倫じゃいけませんか?』です。

  恋愛を題材にした日記は数え切れないほどあります。
  その中でもこの日記は、「教師と生徒との愛」がテーマになっています。


  生徒会長をも務める高校3年生、紫さんが思いを寄せていたのは、社会科の先生。
  その先生には妻も子どももいます。

  先生に彼女の思いが通じ、結ばれ、次第に立場を超えた関係になっていきます。


  初日の最初の言葉だけで、俺は彼女の世界に引き込まれてしまいました。


  しかし内容は決して不潔で禁忌的なものではなく、
  時には実録風に記述され、時には詩歌的に思いを詠い、
  一人の男性としての先生に、純粋な愛情を抱く少女の心の動きが痛いほど伝わります。


  妻帯者である先生を愛した事で生まれる辛さ、苦しさだけでなく、
  先生もまた教師として、紫さんへの気持ちに迷い、愛に悩む姿も読み取れます。
  楽しいひとときも、苦しい時間も新鮮な文体で素直に綴られています。


  確かに不倫は誉められたものではなく、家族や配偶者への裏切りでもありましょう。
  でもそこから生まれる、誰にも汚せない『純粋な愛情』も少なからず存在します。


  紫さんの日記は、まず最初から通読される事をお勧めします。
  日々変わりゆく一人の少女の心を、言の葉を通じてじっくりと味わってください。
  そして紫さんの世界に浸ってください。


  紫さんへ・・・
  紹介を承諾して戴いて、ありがとうございました。
  あまりに色合いの違う分野ですが、今後とも互いに精進しましょうね。




2002年08月01日(木)

サユリと早智子の狭間で。 『熟女』
デリバリーへルス(派遣型ヘルス)という風俗店は、他の店に無い特徴がある。
それは客もヘルス嬢も『店舗に出掛ける』手間がかからない、ということ。

客はホテルや自宅で出前を呼ぶ感覚で電話し、
ヘルス嬢は事務所の車や自家用車にて現場へ出勤する。

その中には事務所で待機する女性と、自宅待機の女性がいる。

自宅待機だと指名されれば、自宅まで迎えが来て出勤となるだけに機動性に欠けるが、
その分生活にゆとりが出来、自由な時間が取れる。


その特権を生かしているのは、指名の多い嬢。
そして、ほかに仕事を持つアルバイト的な嬢だ。
お茶を挽いているような女には、そんな特権は無いようである。

この厳しいご時世。
どこの世界も、実力主義のようだ。




その当時、俺のお気に入りの女性がいた。


源氏名はサユリ。
営業年齢28歳、
おそらく実年齢4〜5歳は上の人妻だ。

素人の彼女は、常連客からの人気者になる。

しかし出勤日がバラバラで連日の出勤とはならないようだ。
なので売り出しの利かない新人なのだという。


 「あたしね、他に仕事してるんですよ」
「何の?」

 「看護婦です」
「うわぁ、大変な仕事だあ!」


サユリは市内の某大病院の看護婦をしている。
そして非番の日、主に昼間にデリヘル嬢としてバイトをする。
主婦で、看護婦で、デリヘル嬢。
一人三役だ。


「どうして看護婦とデリヘルを?」
 「う〜ん・・・まあ、趣味と実益を兼ねてってとこね」


本当は払いたいローンもあるんだけどね、と悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「今まで元患者がお客に入ったこと、ある?」
 「さすがにまだないなぁ・・・でも恐いよね(笑)」



初めてサユリと逢った日。
それは市内のブティックホテルだった。

「お客さん!滅多に出てこない娘なんですが、お勧めですよ」


電話でそんな売り文句を言われて、ときめきを抑えきれずに指名した。
滅多に出てこない・・・言わば「期間限定」と同意の殺し文句。
今を逃せば、何時来るかわかりませんよ・・・という意味だ。


20分ほどで現れた。

小柄で程よい肉付き、丸いお尻が印象的な、大人しめの女性。
店のシステムや時間交渉など、しっかりと自分の言葉で話が出来る。


ソファに座って世間話をすると、俺の目を見つめて話す。
そして俺も目をじっと見つめると、今度は恥ずかしげに逸らす。
どことなく、初々しい。


シャワーを浴びるべく、洗面台の前で服を脱ぐ。

子ども産んでるから崩れてるの・・・と、
恥ずかしがるサユリの肉体が大きな鏡面に映る。

決して弛んだ贅肉ではない、弾力のある触感の、安産型の大き目の尻。
しっとりとした肌の質感。
丁度いい感じのCカップの乳房。



シャワーの水滴を弾く若い肌も良いのだが、
すっと吸い込むしっとりさも捨てがたい。
これも大人の女の魅力だ。



三十路を過ぎるくらいの熟女には若い娘には無い、肉体的な魅力がある。

肉体の『感度が良い事』だ。

女性の肉体とは不思議なもので、
経験を積む事で感度が際限なくよくなるという。

そして子供を産んだり、年齢を重ねるとより鋭くなるという。
一定の性感で射精し、全てが終ってしまう男からみると、何とも羨ましい。
大きな喘ぎ声を出したり、感じすぎて我を失ったりするのも、芝居ばかりでない。


サユリも随分と感じやすい体質で、
指や舌で性感帯を攻めるごとに艶やかな声を張り上げる。
そして熟した果実のように瑞々しい愛液が溢れる。

まだ若く青い果実には無い、芳醇な風味とでも例えようか。
珍しく売り文句に違わない、濃厚な時間を過ごすことができた。



一度の出逢いで気に入ったサユリを、俺はその後、出勤日を確認して指名した。
逢う度に笑顔の数も増えた。


「看護婦って、結構ストレス溜まるんじゃない?」

そんな質問を浴びせた。
俺も過去に看護婦と付き合ったことがある。
その時に、草臥れた姿で俺に甘えてくる彼女の印象が強かった。

 「・・・そんなことも分かるんだ」

「俺が付き合ってた時はいつもイライラしててね。逢う度に拗ねられてたよ」
 「平良さん、優しい彼だったんだね」

「そうかなぁ?」
 「分かるよ、うちの旦那と大違いだなぁ。そういうこと分かってくれないの」


看護の現場は厳しい。

様々な患者からの要求や緊急事態にも対応しなければならない。
緊急時などは戦場並みに慌しくなる。
器具や薬剤で怪我をする事も多い。
また時に患者や家族との汚い人間関係にも直面する。
そして一日三交代では、まともな休息さえ取れないこともある。

でも俺が入院した時に関わった看護婦は、
そんな厳しい現実を臆面にも出さずに優しく接してくれた。

俺は看護師という仕事を本当に尊敬している。



「そういうことがあってね。看護婦さん好きなんだ」
 「ふぅん、面倒見の良い看護婦さんに当たったんだね(笑)」

「そういう現場は、一度入院しないと分からないんじゃない?」
 「そっか。じゃ一度入院させるかな。・・・私の病棟以外で(笑)」

俺とサユリはそ、んなとぼけた話をする仲になっていた。


サユリを部屋に呼び、世間話をし、風呂に入って身体を洗い合い、
ベッドでプレイ。
それで時間が終わり、名残を惜しみ別れる。

何度かサユリと遊ぶうち、こういった一連の流れにも飽きてきた。
次回、少し冒険でもしてみるか・・・



ある日、いつも通りサユリをブティックホテルに呼んだ。
世間話や互いの仕事などの話をした後、シャワーを浴びる。

二人全裸での洗い合い。
サユリが俺の身体をタップリと泡立てたスポンジで流してくれる。
看護婦らしく、手際も良い。

次は俺の番。
掌にボディシャンプーを付け、サユリの身体を撫でるように洗う。


何度かのサユリとの時間で、彼女のどこが弱いかを学習していた。

背後から、サユリの脇下から両手を差し入れ、
掌で胸の柔らかい塊を撫でる。

指先ですでに凝り固まる突起を摘み、転がす。
石鹸液で濡れた指先がサユリの神経の末端を縦横に滑る。

スタッカートな喘ぎを漏らし、背後の俺に力の抜けつつある身体を預けてきた。
勃つ俺自身の反発力を楽しむように尻を押し付けてくる。

サユリの耳たぶに、軽く歯を立てる。


「逢いたかったよ・・・」
吐息交じりで囁き、スパイスを利かせる。

 「平良さん・・・私も、今日・・・逢える気がしてたの・・・んっ」
嬉しくなる言葉を返してくれる。

サユリは俺の愛撫のひとつひとつに反応する。
乳房に、乳首に、耳に、脇に、背中に、尻にと触れるか触れないかの
微妙な愛撫を時間を掛けて続ける。



「俺さ、一つ夢があったんだ」
 「何?」

「サユリが、欲しい」


俺は短い言葉に、サユリへの本音を詰め込めた。



<以下次号>






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