FILL-MIND [フィルマインド]心情記 

   
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2003年11月25日(火)  ■信念の強さ■

数カ月以上前になるが、ニュースのコラムで元ヤマト運輸社長の社会福祉事業のリポートを見て、走り書きしていたものがある。その時は言葉がうまく煮詰まらなかったのだけど、今なら、少しその感動の意味が伝えられる気がする。

出掛け間際、平日の忙しい朝の一コマにあったその5分間に私は思わず泣けてしまった。

主な取材内容は、障害者が働く事業所に、経営力をつける目的を掲げて全国をまわっている実態だった。

彼が現役を引退し、七十歳を超えても活動を続ける動機は、障害者の賃金が未だこの日本においても月収平均一万円である事実に憤慨しているからだそうだ。
個人でもパン屋を数店経営され、障害者従業員に月七万円を支払えるだけの利益を捻出させているとのこと。
泣かせた一言は、この仕事で一番に嬉しかったことは何かという問いかけだった。

給料日のある日、とうに成人を過ぎている従業員の一人がいつも迎えにきている母親と食事にいくと言い、はじめて自分の稼ぎからおそばをごちそうすると喜んで歩く姿に、涙がこぼれたと彼は答えた。この仕事を続けてよかったと思ったそうだ。

それは、全国区のニュースでとりあげるような厳選されたいい話しなわけで、そんな演出を考えると、どんな感想もしたり顔して同情するようで上手い表現はみつからない。けれど、胸打たれた思いは正直な気持ちだ。

ひとつは、元会社社長というその人に。
会社を作り上げてきた人こそが持ち得る、強い意志と情熱の深さを持って成し遂げて行く凄さが伝わってきた感動。

ひとつは、内容そのものに。大多数の人が当たり前に感じていることさえ、その当たり前が許されない環境下で生きている人たちを支えていこうというたくましい力に。

このコラムは、私がいつも言いたかったことが凝縮されて詰まっている内容だったゆえに、今も心にひっかかっていたのだと思う。
そのひも解きを、続けて書こうと思ったのだけど、今夜はそこにあった事実だけを書くに留めることにした。

そのわけも、いつか書けるだけの形になったら良いのだけど。




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2003年11月24日(月)  ■ヒロインでいよう■

ちっぽけな幸せを思う時、私には仕事に関わっている事をなくしては語れない事実を思う。

他の誰にも表現できない自分がそこには確かにあって、それはとても些細なものなのだけど、出し尽くせた時、達成感の高揚に胸がむせぶ。それは麻薬のように体に浸透して想いを尽きさせない。どんなに抵抗しても、またもう一度味わいたくて、いばらだと知っても幾度も突き進んでしまうのだろう。

ほくほくと幸せにくるまれて帰路につく。足跡のない雪道を歩くようにしゃきしゃきと満足の音が弾む。

偶像にはしゃいでいた若い頃はそれは雲の上でしかなかったのだけど、ほんの少しの覚悟とほんの少しの許容を吸収できた時にだけ、感じ得られる瞬間なのかもしれない。投げ出せなかった意地の在り処でもある。

繰り返し繰り返し、幸せと不幸せを融合させて人は生き延びていける。

きっと誰もが、どうにか伝えようと、歌を歌い、音を奏でて、思いを描くのだろう。たとえ直接には結びつかないのだとしても。想いを紡ぐという言葉が心に響くように。

感じ得たひとつひとつを、花びらを散らすように降り注ぎたい。それが表現の源なんだと私は思う。

物語りのエピローグのように、結末はいつも、今ここにいる自分が、自分を生きる主人公であるという現実を思い出させる。



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2003年11月23日(日)  ■幸せの申し子■

何をやっても、何を書いても嘘っぱちに思えてしまう。そんな時間をどれくらい過したのだろうか。
虚構に取り囲まれた世界で薄い空気にあえいで。どんどん置き去りにされていった気分だった。

人はなぜ生きるのか。答えのない問いかけに立ち尽くして先には何もない。

まわりの何もかもがそこで止まってしまったみたいに、あたりが遠のいてしまう戸惑いは異次元のような感覚で。孤独を愛することとは、孤独であることの恐れから逃れたいからなのかもしれない。

でも、私は、今間違いなく時の動きの中にいる。

人の心は幸せをみつけると、いつの間にか不幸せの残像など消し去ってしまうし、不幸せに取り付かれてしまうと、幸せの断片などきれいにどこかにいってしまう。

時々、それは厄介事のように悩ませて困るけれど、元来、心は強くできているものだ。生命力の尊さは、くり返される明と暗を上手に繋げながら、そこに灯った炎を絶やさずにいられる。

人は誰もが幸せの申し子だと思う。
素直な実感が、今、こだましている。

空を見上げて、胸に浸透して行く風がしみる。
虚しさの色は溶けていく。


 
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