総天然色色眼鏡

2005年09月11日(日) ハロープリンス

今日は東京に行った.
実は昨日からいろいろと当てが外れることばかりで,今日も閉館時間に間に合わなくて展覧会を見逃したりして落ち込みモードだった.
せめて東京タワーでも見て帰ろうか・・・と思ったものの,田舎者の哀しさよ.
どこに行けば見られるのかもよく判らない.
あ〜あ,大人しく帰るか・・・とやさぐれて東京駅は八重洲口をウロウロしていたら,なんだかものものしい雰囲気.
片耳にイヤホン,襟元には桜のバッヂ,そして眼光鋭い男たちがたくさんいる.
んん?なんか事件と思っていたら,公衆電話に「調整中」の張り紙が貼られたり,
新幹線改札から「銀の鈴」方面の階段付近の一角を徐々に人払いを始めた.
それが終わると,青いロープと「指示に従って下さい」と書いたテープで広い通路が作られた.
よほど急ぐ人以外は皆,誰が通るのかとワクワクしつつ携帯を構える.
やがて姿を見せたのは・・・・

なんと皇太子殿下.

お一人であった.
う〜む・・・テレビで観る以上に地味.
小柄なせいか目立たないお方.
周りのSPやお付きの人たちの緊張してギラギラした空気に,プリンスのオーラは掻き消されていた・・・.
でも品は確かに感じられる.
目立つ人間になるよりも,ひっそりと品格を滲ませる方が難しいのかもしれない.

騒ぎの理由が分かって納得したので,すぐに新幹線改札を通り乗場に急ぐと,結構混む時間帯なのにすんなり自由席に座れた.
騒ぎの余韻に浸っていた人,完全にお姿が見えなくなるまで深追いした人は結構多かったようなので,そのおかげである.
週末最後にイイモノを拝めたことでも気分は高揚.
(正直なところ,あまりに喜んでいる自分に驚いた)
サンキュープリンス.


今回の上京の目的は東京都写真美術館.
戦前〜戦中〜戦後を生きた日本の写真家の写真の展示をしていた.
戦中に写真家たちが如何に政治に利用されたか,あるいは抵抗したのか,そして戦前と戦後を如何に生きたか,を12人の写真家の作品によって浮き彫りにしようという展覧会である.
今日は偶然『報道危機』という本を読みながらの道行きだったのだけど,何気なくタイムリー.
切り張りして戦車の数を増やした雑誌の見開き,玉音放送を聞きながら涙を流す(ように見える偽造を施された)少女の写真を見つつ,本の内容を思い出しながら,真実を見抜く目を養わなければ,私たちは日々の舵取りを間違ってしまう・・・と思った.
さて,本日の総選挙の結果は,私たちをどこに連れて行くのだろうか(私は期日前投票済み).

11日が最終日のためオススメはできないものの,展示作品をほぼ全て収録した本が出ている.
テキストが多く,それぞれの写真家のバックグラウンドを詳しく書いているのだが,報道写真家やジャーナリストを目指す人なら買って損は無いのかも.
とりあえず今月の『芸術新潮』を見てみるべし.
この日までの展示は,黎明期から現代までの写真作品を時代とテーマ別に4部に分けて展示するうちの3部目にあたる.
4部目はアート写真が中心になるらしい.

他には損保ジャパン東郷青児美術館ブリヂストン美術館に行った.
どちらも建物の雰囲気がイイ.

損保ジャパンの方は,受け付けから美術館入り口までが展望フロアになっていて,オノボリさんにはなんとも楽しい.
晴れた冬の日にまた行きたいなぁ.
恥ずかしながら,つい写真を撮ってきてしまった.
(防衛庁って案外建造物の密集地にあるのね・・・.)
展示の方もなかなか良かった.
「マリアの聖帯伝説」という独自の信仰を持つイタリアのプラートという街から招いた作品を展示している.
構図の意味や,聖人のプロフィール(笑),人物が持つ小道具の意味なども判りやすく説明してくれていて,仏教徒にも優しい.
宗教画初心者にはウレシイ.
カタログのテキストも豊富で,学芸員の熱意がひしひしと伝わってくる.

ブリヂストンは,実は私は展示を間違えて行ってしまったのである.
青木繁展が見たかったのだが,今週末からであった・・・.
ああ・・・.
しかしせっかく来たのだから,という日本人根性丸出しで寄っていくことにした.
私としては,企画展より常設展の方が興味深かった.
想像以上に良かった.
何が良いって雰囲気が良い.
エレベーター(あるいは階段)で上ってすぐの部屋は彫刻の部屋なのだが,ひたすら真っ白い部屋の中に,硬質の物体だけを置いた空間は静謐でとても落ち着く.
(この部屋の隅にトイレがあるのだが,その部屋の一部だと思うと御不浄すらもリラックス空間に様変わりである)
その先の部屋は絵画メイン.
ルノワール,モネ,マネなどと,ピカソの非キュビスム的な作品が目に付く.
ブリヂストン美術館の収蔵品は,戦前に日本の財界人などが買い集めたものが戦後の混乱期に散逸の危機に遭い,それを防ぐためにブリヂストンの創業者が買い取った品々だという.
日本人は昔からピカソと印象派が好きなんだな.
館内は10畳ほどの部屋がいくつも連なっているのだが,どの部屋も作品のテイストが統一されていて落ち着く.
どこかに似てるなー・・・と思ったら原美術館に空気が似ているのである.
施設というよりブルジョアの個人邸宅に来たような気分になれる.
ちょっとびっくりしたのは,エジプト考古物が少しながらあること.
戦前の日本人が手に入れるには莫大な費用がかかったのではなかろうか.
しかも絵画に比べたら,それらを見て感心してくれるような理解者は少なかっただろう.
大した数寄者がいたものだ.



2005年09月10日(土) 大佐に敬礼







衛兵に守られて堂々と歩くこのお方はノルウェー陸軍のNils Olav大佐殿であります.
昇進記念の行進だそうです.
1972年に入隊したとのことで,いまが一番男っぷりの上がるお年頃ですね.

2枚目を見ると,衛兵さんたちは皆かなり背が高いらしい.
しかも全員ほぼ同身長.
壮観だなー.




2005年09月09日(金) DVD『コンスタンティン』を観た件

プレミアム版が先週末に届いたので,ワクワクしながら観た.
観たのだが・・・

未公開映像が含まれているはずなのに,劇場公開のときにはあった部分が削られてるっぽい・・・?

とりあえず気付いたのは,ジョンがアンジェラの部屋で
「地獄に行くには大きい鍋が要る」
と言ってアンジェラが「はぁ?ナニ言ってんの?」な顔をしている部分が無い.
鍋はいきなり登場.
(この時,キアヌ・リーヴスは膝に猫を抱き,足は水を張った鍋の中.
その格好で素晴らしくピンと伸びた背で椅子に座る姿はなんとも不思議である.)

で,その地獄行きから戻って,腹拵えに屋台に行ってパンケーキをぐちゃぐちゃに引っ掻き回すところも時間が短くなった気がする.

イザベラが飛び降り自殺をする直前にも,もう少し色々あった気がするんだけどなー.

それにガブリエルは,映画では丁寧語じゃなかったと思う.

なんだか腑に落ちないYo・・・.

でも,特典は満足できる.
特に面白いのは監督や脚本家などの製作者たちの解説.
通常の本編とは別に,始めから終わりまで製作裏話などのナレーションを聞きながら観る別バージョンが入っている.
皆で楽しそうにキャッキャ言いながら作ってたみたいです.
DVDを買っちゃうほど入れ込んでる身としては,なかなか嬉しい特典.

おまけのプチ単行本(A FEAST OF ERIENDS)も良い.
これを読むと,原作のエピソードを巧く映画に取り込んでいることがよく判る.
(ジョンが寂しがり屋さんだということも判る)
おまけ本のストーリーは,強烈な飢餓感をもたらす悪魔がジョンの友人に取り付くというもの.
食べても食べても飢餓感が収まらず,やがて食べたものを詰まらせて人々が死ぬというエピソードは,映画ではジョンの友人であるへネシー神父が飲んでも飲んでも乾きが満たされず,やがて飲み物で溺死するという描写に受け継がれている.
また,このおまけ本にはパパ・ミッドナイトも出てくるのだが,映画とは微妙に差異がある.
映画ではダンディな服装のステキな黒人だが,コミックではダンディなのは上半身だけで,白いパリっとしたジャケットの下はエスニックな腰蓑.
変態だ.

ちなみに,高慢な天使(五條瑛の鉱石シリーズに登場するあの嫌味な上司を思い出させる),煙草の吸いすぎで余命わずか,電気椅子,なんだかホモっぽい描写(サタンとジョンの遣り取り)等も単行本のエピソードから取ったものだと思われる.

DVDを観ると,パート2が作られそうな雰囲気が改めて感じられる.



2005年09月08日(木) 『容疑者室井慎次』を観た件

先週末に観てきた.

予想通りというか期待通りというか.
カッコイイだけではない室井さんは魅力的です.
(スリーアミーゴスと向かい合った時の,あの情けない顔が良い)
彼が眼鏡っ子だったなら女性ファン1.2割増しだったでしょう.
室井さんは結婚しないという固い意志があることが語られますが,それもまたツボな人もいるはず.
その辺の描写はちょっとメロドラマ過ぎて,私はあまり好きじゃないんですが.

冷静に振り返るとカッコイイ場面と面白い場面の切り張りに過ぎないという印象は否めないながら,座ってスクリーンを観ている間は四の五の言う暇も無く楽しめる.
所々光る言葉も.
特に柄本明の台詞.
勇気,私も欲しい.

実は私は踊る2と交渉人は観ていないのですが,それらを観た人にはもっと楽しめるのかも.



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