un capodoglio d'avorio
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2002年01月30日(水) 青年団「冒険王」

公演期間中にアメリカ同時多発テロやアフガンへの「報復」などがありこの主宰平田の言葉、
「俄然、この芝居はタイムリーな公演になってしまった」。
ただ「さよならだけが人生か」でも同じようなコメントが出たように、
彼の戯曲は構造的に世相とリンクする宿命を負っている気がする。
それは彼自身も自覚的に目指している場所なのだろう。

ストーリー。
1980年のイスタンブールの安宿に逗留する日本人旅行者の「日常」の描写。
イランイスラム革命やソビエトのアフガン進行、韓国では光州事件。
そんな不穏な世情のなかにあって日本人バックパッカーの「ただ佇むこと」への意地と諦め。
それは平田自ら語る通り「現代日本の置かれた状況との相似形」である。

むー、さすがオリザ。
ごっつい面白いんよな。
彼はその「相似形」の若者たちに対して、最終的に批判もしないし賛同もしない。
彼は「カメラ」であってただ目の前に存在するものを映しとるレンズかのよう
(17世紀にフェルメールがカンバスに向った時みたく?)。
日常から飛び出した彼等の勇敢さを声高らかに讃える代わりに、
平田は彼等の「社会復帰することへの怯え」にそっとフォーカスする。
イランの国境封鎖やアフガンの紛争に対しても引かずに旅を続ける彼等なのに、
日本に帰国して職を探すことに関しては及び腰になってしまう。
80年代の一つのキーワード「モラトリアム」という言葉の意味を、
辞書よりも正確に記した良い戯曲だと思う。
そして誠実に正確さを追求した表現は決して古びること無く、
21世紀を迎えた今でも依然輝きを放っている。

ラスト、山内健司演じる小杉がソフィアに旅立つときに、
「寒さの夏はオロオロ歩き、だろ?」
さらっと宮沢賢治を引用して、友人に別れを告げる。
だめだあ・・・
ただカメラに徹しているだけの演出家に、感動させられてしまう、悔しい。
そう、青年団を観にいくと僕は決まってこの悔しさを噛み締める。
それは決して嫌な「悔しさ」では無いのだけれど。
「芝居はイデオロギー」。
僕のこのモットーを根本から揺るがし続ける青年団は、
やっぱり依然として僕の中ではベスト、大好きな劇団。
ただ「冒険王」が青年団のベストでは無いと僕は思うけれど。


2002年01月21日(月) 昨日のセットリスト

1.二十一世紀音頭
2.十四才
3.クリーミー
4.ニューヨーク
5.よろこびの歌 
6.迷路 
7.コスモス 
8.いかすぜOK 
9.ガタガタゴー
(バカがフラッシュ焚きそのあとヒロトの名MC)
10.日曜日よりの使者
11.青春
12.ハスキー
13.不死身のエレキマン
14.相談天国
(ヒロト脱ぐ)
15.千年メダル
16.真夜中レーザーガン
アンコール
17.アダムスキー
18.Happy Go Lucky
19.ミサイルマン  戻る 


2002年01月20日(日) THE HIGH-LOWS@八王子市民会館

「遠かった、八王子・・・」

八王子の駅降りたらなんだかとても空が広くて、気持ち良かった。
でも寒い。
風が吹く度に体温が0.5度ずつ奪われていくかのよう。
今回はぴあやFLIPSIDEの先行などがことごとくヒットし4枚のチケットをゲット。
当日までに何とか声をかけて余らさずに済んだ。
おおきに、ドラ・惣一郎・落武者くん!

席は二階席の一番前、調君側。
さすがに見やすいが思ってたほど近くない。
「これでハイロのライブ、10回くらい目かなあ」と一人ゴチてると客電が落ちてスタート!
そして・・・ヒロトが怒った!
ステージに向けてフラッシュを焚いたバカがいたらしい。

 「今写真撮った?死んで。冗談×2。
  何やってもいいけどでもさ、死ぬ時は何も持ってけないんだよ。
  だからライブでやった事とかを持ってかえるなよ!
  そのかわり全てを忘れるぐらい楽しんで帰ってくれ」

名言だ・・・
ヒロトはやはり私のカリスマ。
「肖像権」とかめんどうなことが問題なんかじゃなくて、
そのとき楽しいかどうかが問題なんだね、うんうん。
一瞬静まり返ったこの時を除けば、どかは結構ハイテンション。
昨年末の渋谷公会堂の時の悔しい鬱憤をはらすかの如く、飛んで飛んだ。
BLITZやAXほどの凝集力はないけれど、こんな会場でもヒロトやマーシーはちゃあんと、
時間が溶ける瞬間を繋げられる。
この日は「フルコート」が聞けなかったけれど、
「ハスキー」も「千年メダル」も「青春」も「迷路」も聞けたので大満足!
でもきょうの白眉は、それまでどかの最もお気に入りでは決してなかった曲、二番めの「14才」だった。

最初まだ会場があたたまりきらなかったが「14才」のサビに入った瞬間・・・

  「リーアル、よりリアリティ!」

この一言で会場の時間が溶けはじめた。
二階席から下を見ると本当に、何百人というオーディエンスが一斉に手をステージに向け叫んでいて。
気付くとどかもよく分からない白く光る方向にがむしゃらにジャンプしていた。

全ての憂鬱や鬱憤のネガティブスパイラルを断ち切る瞬間、
それは瞬間でしか無くつぎの時間の繋がりにはもとの絶望と再会するのだが、
全てを断ち切る瞬間が誰にでも等しく存在するという、信じられないくらい幸福な、
でもほんとうにあたりまえなこの事実が、
ヒロトのカリスマの根拠であり理由なのだ。


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