昼間。
携帯に着信。
相手は、元だんなの彼女(私の同級生でもある)
彼女から電話があるなんて珍しい。
てか、何の用事?
「はい」
「りりかちゃん?○○だけど」
「うん」
「あのね、いきなりで悪いんだけど今から言う番号メモってくれない?」
「は?」
「いい?090-.....」
「あ、うん・・・」
慌てて言われた番号をメモる私。
何この携帯の番号?
「で?」
「この番号に心当たりとかない?」
「・・・私電話番号とか記憶出来ないからなぁ・・・」
「携帯のメモリーに入ってない?」
「え?あー、ちょっと見てみるから電話切るね」
電話切った後、メモリーに登録してある番号と照合してみた。
照合しつつ。
何か意味分からないけど、何で私使われてるんだ?
って気がして来た。
結局、該当番号無し。
再度彼女に電話する。
「なかったけど」
「そう。ならいいや」
「ちょっと待ってよ、この番号が何なの?」
「うんー・・・」
何でも。
元だんなの車の中にあったゆうゆうコール(指定した5件の番号は割引されるDOCOMOのサービス)の登録確認の紙?を見た時に見付けたらしい。
5件中1件は私、1件は彼女。
残りの3件中の1件らしい。
残りの3件を全部電話してみたんだって。
男・男・女、の順で出たらしく。
その女が出る携帯の番号に心当たりがないか、と。
もしかしたら、私の妹とか、母親とかかな?と思ったらしい。
「何て電話したの?」
「間違えましたって言って切っちゃった」
「そうなんだー」
「ねぇ、ゆうゆうコールに入れるくらいだもん。普通より電話するって事だよねぇ?」
「まぁ・・・そうだね。でも、仕事の何かかもしれないし」
「だって、Kちゃん(元旦那)の仕事は女なんか接触ないじゃん」
「そうだけど、分からないじゃん。女社長とかさ」
「そう言う人いるなら、私に話してくれると思うもん」
「なら、聞いたら?本人に直接。この番号誰の?って」
「りりかちゃん、そうして来た?」
「うん」
「強いよねぇ・・・勇気あるなぁ・・・喧嘩になったら嫌だから・・・言えないよ」
「じゃ、気にしなきゃいいんじゃないの?」
「・・・気になるもん」
「・・・とにかく、私は役に立てそうにないわ」
「うん、ありがとね」
なんか凹んでいたし。
可哀想だな、と思って。
ちょっと、元旦那に聞いてみるか?と思ったけど。
何でそんな事知ってるってなったら、彼女がそう言う紙見た事ばれちゃうしねぇ。
で、その番号に非通知で電話してみた。
出ました、静かな声の女性。
私も何て言っていいか分からず。
たまたま、その時テレビで山口(県)がどうの、と言っていたから。
「山口さんですか?」
って、言ってみた。
「違います」
だよね(笑)
年齢的には私くらいか、もうちょっと上か。
声だけじゃ分からないけど。
落ち着いた感じだったなぁ。
とりあえず、その番号を「山口さん」でメモリー登録。
・・・登録する意味が分からないけど。
あいつに話したら。
「うーん・・・飲み屋のホステスとかじゃない?」
「そんな人をゆうゆうコールに入れるー?」
「・・・親しくなれば」
「だから、親しくなったらまずいんだってばー」
「あー、そうだよねー」
「浮気とかなのかなぁ?」
「同じ男として、多分そうじゃないかなとは思うけどね」
「ねー、Hは、ゆうゆうコール誰入れてるの?」
「りりかとおやじとねえちゃんと事務所(職場)とひなちゃん(私の妹)」
「・・・そっか。全部私が知っているところか」
「うん」
こんな事言える立場では決してないけど。
彼女、ちょっと可哀想だったよ・・・不安になりすぎちゃって。
先日、次女のピアノの発表会があった。
子供たちからの手紙と一緒に添えられた、ピンクのプログラム。
休みも取って、朝から行った。
次女は、冷静沈着な性格で。
そう言う人前で何かする、と言う場面でも、かなり落ち着いている。
だから、課題曲もduoも難無くこなすだろう。
私も安心して聞いていられる。
次女が冷静な性格なのは、多分元旦那譲り。
私も今では「冷静」と言われるけど(あ、最近はあまり言われないか・・・・)。
実際はかなり落ち着きもない。
その証拠(?)に、私の母や妹や弟は、冷静と言う言葉が全く似合わない人たちだ。
その遺伝子を持っている私も、やっぱり冷静じゃない。
冷静だと言われるようになったのは、子供を産んでからだと思う。
ただそれは、子供を産んだから、ではなく。
元旦那がかなり年齢の割りに大人で、冷静な人だったので。
私もそれを強いられるようになったから。
でも、それが苦痛だと思ったりはしなかった。
むしろ、そう言う風に17,8だった私を大人扱いしてくれる元旦那と、それに応える自分がカッコいいと思ったりもした。
どこでどう狂ったのか。
私は次第に疲れて来ていた。
年齢よりしっかりしているよね、といわれる事に。
言われるたびに、もっとしっかりしなきゃ、と思ってしまったんだろう。
どんどん、どんどんどんどん、背伸びをしてしまった。
「りりかは、泣かない強い女だよ」
元旦那は、よくこう言った。
そう言われた二十歳にも満たない私は。
やっぱりカッコいいと思い込み。
泣かない、強い女を目指す。
気付いたときには、泣かないだけじゃなく。
大きな声で笑ったりすることさえ恥じていた。
あいつに出会って。
「仕事場で無表情で淡々と仕事をこなすりりかさんはカッコいいけど、感情をむき出しにして、怒ったり泣いたり笑ったりすると楽ですよ」
なんて言われて。
怒り狂ったり、泣き叫んだり、大笑いしたりする事は。
カッコよくないかもしれないけど。
すごく楽だと言う事を知った。
あいつは、感情に任せて、怒ったり泣いたり笑ったり、ホント忙しい人だけど。
見ているだけで、面白い。
「あ、今日は機嫌がいいんだな」
なんて事が、電話の最初の「もしもし」で分かったりするのも、楽しい。
私が泣いたり、大笑いする事を、(泣かれるのは困るらしいけど)満足そうに見ていてくれるのも、私的には凄く楽だったりする。
離婚する前は。
冷静でいなきゃならない。
感情を殺さなきゃならない。
っていう生活が苦痛で苦痛で仕方なかった。
もっと人間らしくありたい!
なんて、凄い大袈裟に考えてしまったり。
今はそう言うの、なんだか懐かしく感じる。
悪い事ばかりではなかったな、って当たり前だけど思う。
次女の演奏が終わって。
「上手だったじゃんー」
って私が言ったら。
「でも、リハーサルの方がもっとうまく出来たのに」
なんて次女が言って。
「やっぱり緊張する?」
「うん、緊張する」
「そかー。緊張してたのかー。でもやっぱり上手だったよ」
「うん」
照れながら、笑ってた次女。
ライラは「飽きた飽きた」ってホールを走り回って。
そんなライラを一番上のお姉ちゃんは、止めさせようと必死で追いかけていて。
なんだか、懐かしいような暖かさの午後の日だった。
毎日の日課の電話。
今日も、さっきまで話してた。
今まで一人だったから、どんな話題でも話せたけど。
やっぱり、誰かいると恥ずかしくて言えないこととかある。
たとえば。
「早く会いたいねー」
ってあいつが言い。
今までだったら。
「うん、会いたいね」
って言えたんだけど。
なんだか、親兄弟の手前、恥ずかしい。
だから。
「会いたいね」
「うん」
「会いたいって言ってよ」
「うんー(笑)」
「笑ってごまかさないでさー」
「・・・会いたいね(小声)」
だんだん小さい声になって行く私に。
「どうしたのー?(笑)」
って、何で声が小さくなっているのか分かっているくせに聞くあいつ。
この間の電話の時に。
「ねぇ、手紙ついた?」
ってあいつ。
「え?手紙??ついてない」
聞いてみたら、どうやら私が郵便物転送届けを出す直前に出したらしい。
それで、前の家のポストを見に行ってみた。
でも、来ていない。
実家にも来ていないし。
「やだー、残念ー。迷子になっちゃったんだね・・・」
って話してた。
「内容はどんな感じだったの?」
って聞いたけど。
「ううーん・・・口で言うのは恥ずかしい内容だから、言えない」
なんて言われて。
ますます気になるってば!
今日、実家に届いた。
郵便局に一度戻って、それからまた転送されてきたらしい。
1週間かかったかな。
でも、凄くホッとした。
郵便屋さん、ありがとう!
気になっていた内容だけど。
今している仕事内容(色々な事をするらしい。将来経営していかなきゃいけないから、本当に大変みたい)がどう言うのかとか。
気が早いけど、クリスマスの事と年末の事と。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
毎日の電話も、翌日の頑張れる糧になるんだよ。
りりかも、疲れているのにね。本当に、ありがとう。
でも、電話越しじゃなくて、一日でも早く顔見ながら笑っているりりかの声を聞いていたい。
休みが出来たら、色々行きたいところはあるけどさ。
夜景の見えるあの公園で、昼間から行って、バトミントンした後に、芝生の上に寝転がってゆっくりしたい。
喘息、辛かったらちゃんと休む事。
悪化する前に病院に行く事。
そうしなきゃ、公園もバトミントンも無しになって、家で寝てなきゃだめだから会えないね、何て事になっちゃうからね!
ずっとりりかの事だけを考えています。
愛してるよ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
多分、恥ずかしいっていう内容はこれかな(笑)
恥ずかしいって思うのは、あなただけであって。
私は充分過ぎる位に幸せな気持ちになれたんだから。
すごく、嬉しかったんだから。
何度も何度も読み返した。
芝生の上で寝転がって。
一緒に夜が来る前の空を見ていたい。
早く、休みが取れますように。
先日実家へ帰って来ました。
職場へは遠くなったし。
犬はうるさいし。
弟もうるさいし(笑)
でも、毎日明るい暖かい部屋に帰って来るのは、嬉しい。
誰かがいる空間に帰ってくるって、当たり前のことなのに、凄く幸せなことだったんだなぁ。
妹もちょくちょく顔を出しに来るから。
なんだか、毎日夜がこんなに賑やかでいいのかな?と思うくらい。
あいつも、かなり忙しいようで。
電話だけの毎日(メールは画面が壊れていて見えないため、ホント少しになった)。
昨日は、お互いに眠くて。
ホント「お休み」を言うだけに電話をくれた。
通話時間40秒くらいだった(笑)
今夜の電話は多分これから。
来月の半ばには休みが一日もらえる予定らしい。
実に2ヶ月ぶりの休み。
まだ予定、の段階なんだけどね。
休みになったら携帯を直しに行って、あとはブラブラお出かけかな?
今までみたいに、泊まる場所があるわけじゃなくなってしまったから。
不便と言えば、不便だけど。
その分、あちこち出かけられるから、ちょっと嬉しいかも。
あと、デジカメを買ったんだった。
色々撮りまくっている所。
あいつには、パソコンのメールに送っている。
早く一緒に写真を撮りたいなぁって思う。
ヤプースもずっと更新していないし、撮った写真を載せようかなぁって思うけど。
やっぱり、自分の写真を載せるのはなんだか怖いって気持ちもあったりする(へタレなんで)。
とりあえず、今度実家の愛犬を載せようかなー。
今日は仕事がいつもより早く(と言っても1時間だけ)終わったから。
帰ってきて一人分のパスタを茹でて、たらこのソースかけて夕飯にし。
こんな事でも、ものすごい珍しく自炊をしたって事で。
すっかり気分がよくなって。
ついでに少し飲んだから、今いい気分♪
あいつの携帯の液晶が壊れていて。
この間会った時に見せてもらったんだけど。
凄い状態で(笑)
右半分が黒くなっていて、左側の文字しか読めない。
メールも左半分に打ったら改行して・・・ってやらなきゃ、読めない。
だから、最近はメールするのがちょっとだけ億劫だ。
なーんて言ったら、怒られちゃうんだけども(笑)
あいつは見えない右側にも文字を大体の感覚で打って来て。
たまに変換ミスとか誤字・脱字もあるんだけど。
一生懸命打ってるんだなぁって思えるから、微笑ましい。
だから、面倒なんて言ったらだめだね、うん。
飲みながら、あいつに手紙を書いた。
携帯メールで長文は送れないので。
パソコンでもいいんだけど、最近忙しいから立ちあげてくれないんだよね。
パソコンにメールしたよって言えば、立ちあげてくれるのかもしれないけど。
なんとなく、手紙にしてみた。
書き終わったら、めちゃくちゃ長文になっていて(笑)
自分でもびっくりした。
さっき、電話の時に。
「あのさ、手紙書いたよ。嫌がらせかと思うくらいの長文のやつ」
「えぇ!?長文の嫌がらせの手紙!?」
「・・・違う、全然意味が違うから。嫌がらせかと思うくらいの長文!内容は嫌がらせじゃないよ・・・多分ね」
「マジでー?すげ楽しみー」
「80円じゃ送れないかな・・・90円かな」
「そんな凄いんだ・・・」
「うん、そんな凄い。大作」
「楽しみだよ、うん・・・」
内容は、この間会った時答えなかった事。
今現在の気持ち。
これからの事。
そうだ、昨日メールをもらって。
これ読んで下さっている方から。
そのメールにね。
「りりかさんも好きだけど、あなたの彼氏はもっと好きです」
って書いてあって。
凄く嬉しかったなぁ。
きっと、この日記の中で書いているあいつは。
私の中でのあいつだから。
全部じゃないし、もっともっと色々な面もあるけど。
私から見ると、この日記のまんまの人で。
だから、私はあいつの事が大好きなんだけど。
私が好きって言う部分と、同じ部分を見てくれて、大好きって言われると、嬉しいなぁ。
って、メール読みながら、ちょっとにやけちゃった(笑)
この間。
彼の短所・長所を、職場のMさんに聞いてみた。
なんとなく、飲んだ席で、そう言う会話になって。
Mさんはあいつの長所を「りりかに対して誠実な所。真っ直ぐなところ」って言ったんだ。
短所は「真っ直ぐすぎちゃって、ちょっと自己中だけどね」って。
私が好きな所も、あいつのまっすぐな所。
やっぱりこの時も、嬉しかったなぁ。
同じ部分を見てくれていて。
そうそう、同じような質問が何通か来ていたので。
今ここですいませんが答えさせてください。
ランキングに復活したのは。
別に意味はないんだけど。
ジャンルを変えたついでにやってみただけです。
ジャンル変更した時に、題名を変えようと思ったんだけど。
なかなか思い浮かばなかったので、いつかいいのが思い浮かんだら。
あと、一人称が「私」になったのは。
この間、この日記を通じて知り合った方と初めて会ったんですけど。
「一人称があたしだとヤンキーを想像しちゃう」
と言われたからです。
ちょっとだけ、凹みました(笑)
その方に「日記内容のりりかと実物のりりかは、かけ離れている」なんて言われてしまいました。
何でも、見た目背も高いし、バスケとかやっているスポーツマンっぽいらしいです。
この日記上でも背が高いのはコンプレックスだと何度も書いたはずなんですが・・・そうですか、読んでいませんよね、そんな細かい部分・・・
日記のりりかは、小さくて清純な少女っぽいらしいです、彼女の中では。
実物の私は、不純なんでしょうか・・・確かに少女じゃないですね。
年齢も年齢ですし。
そして口も悪いですし、さばさばしていて、細かい事を気にしないし、清純っぽくもないですが。
凹みながらも楽しいひと時でした。
こんな日記を通して、メールをやり取りして、実際に会うくらいの仲になってしまうなんて・・・凄いなぁ、ネットって。
何だか、最後は私信っぽくなってしまいましたが。
いつもこんな日記読んで下さっている方、本当にありがとうございます。
仕事が終わると同時に、あいつから着信。
だめかな、だめかな?って思いながら電話に出た。
私の悪い癖。
いい事を考えるより、悪い事を考える。
悪い事を考えておいた方が、いい結果だった場合嬉しさが大きい。
逆だと・・・ものすごく凹むから。
「はい?」
「今終わったー。これから家に帰るから、つくのは七時半くらいかな。そっちは?」
「私も今終わった所。これから着替えて出るね」
何か、ドキドキする。
久しぶりすぎちゃって、ドキドキする。
会ったらこうしよう、ああしよう、この話をしよう、そして、話を聞かせてもらおう。
そんな風に、思いながら運転する。
3連休初日で道は混んでいたけど。
考えながら運転していたせいか。
あっという間に高速に乗って、あっという間についた気がする。
あいつの家まで迎えに行って、運転を替わってもらって、出かける。
「久しぶり」
頭を撫でられる。
久しぶりに酔うまでお酒を飲んだ。
咳が出ているから、あんまり飲んだらだめだよ、って言われてたのに。
安心しきって、どんどん飲んじゃった。
「今度会えるのはいつ?」
下が回らない状態で、私は聞いた。
「いつ、ってはっきり約束は出来ない・・・ごめんね」
「嫌!分からないの、いやだよ。寂しいのも嫌なの」
「ごめんって・・・」
「あなたの事が、こんなに好きじゃなかったら、こんなに寂しくならないのに・・・。どうやったら嫌いになれるんだろう。どうやったら、寂しくならないんだろう?」
「そんな風に言うなよ」
私は、泣いて抱きついた。
お酒の勢いもあって、ものすごく声をあげて泣いた。
強い振りするの、疲れたよ。
そう言って、泣いた。
あいつは、謝る変わりに。
「愛してる。りりか、愛してる」
って何度も言った。
私は、そう言われるたびに、強く抱きついて泣いた。
妹に。
「一緒に暮らしちゃえばいいのに」
って、よく言われる。
言うのは簡単だ。
実際、一緒に暮らそうと思えば、出来ない事もない。
こんな風に寂しくて泣いて、困らせて泣いて。
そう言うのなくなるんだから、一緒に暮らすのっていい点ばかりが見える。
なのに。
私に出来ないのは、何でだろう?
何で、一緒にいたいと思えているのに。
飛び込んで行けないんだろう?
何が引っかかるんだろう?
泣き止んでからも、しゃくりあげている私をソファーに座らせて。
自分は下に座って、私の腰の当たりに抱きついて来た。
ぎゅって私のお腹に顔をうずめて。
しゃくりあげながら、私が頭を撫でていたら。
お腹の所が暖かくなって。
あいつも泣いているんだって、気付いた。
寂しい思いしていたのは、りりかだけじゃない。
そう、言われている気がした。
だから、頭をぎゅって抱きしめた。
上から抱えるような感じで。
あいつは、おなかに顔をうずめたまま。
「忙しいのはずっと続くわけじゃない。こうして遠距離で我慢していられるのも、ずっとは続かないよ。早く、俺との生活の中に入って来てください」
うん、って言いたかったのに。
言葉が出なかった。
答えられなかった。
よく分からないんだけど。
私はこう言うとき、返事を出来なかった事の反省なのか、罪悪感なのか。
セックスをする方向へ持って行く。
私もソファーから降りて、下に座り。
自分からキスをする。
あいつとのセックスは。
ここを、こうして欲しい、ああして欲しい。
そんな事言わないでも、あいつは私がどうしたら感じるのか分かっていて。
感じすぎる怖さに、私が体を硬くしていても。
「大丈夫?力抜いてみて」
とか耳元で声をかけてくる。
私は、我慢している事が、気持ちいいのか苦痛なのか、分からなくなる。
頭の中がどんどん真っ白になって行って。
「もうだめだってば。お願いだから・・・おかしくなっちゃうから・・・」
「どんどんおかしくなっていいよ」
って、あいつのちょっと微笑を含んだ声を聞くと、意識が遠のいて行く。
こうしているときだけ。
私は、現実のいろいろな事とか、どうでもよくなる。
それが例え、「逃げ」と言うものだとしても。
ぱちんって。
何かが切れたように。
私は、泣きだした。
いつもの、夜の電話。
会わなくなってもうすぐ3週間。
平気だって言い聞かせてきた。
私は、大丈夫。
毎日電話もしているから。
寂しくなる暇がないんだ。
実際、仕事も忙しいし。
全然、大丈夫。
そう自然に思っていたはずだったのに。
気付いたら、泣きだしていた。
「明日、仕事残業にならないように、頑張るから。早く終われたら会おう。日曜はお互いに仕事だから朝までしかいられないけど」
あいつが、そう言った。
私は。
「無理しないでいいって」
と、言う。
この数日で何回、この言葉言っただろう。
無理しなくても平気、私なら寂しくないから。
そう思っていた。
「無理しないで、無理しないでって。無理でもしなきゃ会えないんだよ。会いたくて仕方ないって思っているのは、俺だけなわけ?」
すごく、キツイ声で言われた。
怒っているような。・・・ような、じゃなく、怒っている声で。
胸が、縮んだみたいに、痛くなる。
きゅって、痛い。
「無理しないでって言いたいのは、俺だよ。平気平気、寂しくない、って無理して気を紛らわせているのは、りりかじゃないの?」
少しずつ、優しくなって、いつもの声になって来る。
「ぎゅーってね。抱きしめたいの。寝ているとき、りりかが一緒に寝ていたら、こんな風に後ろから抱きしめているんだよな、とか。勝手に妄想しちゃって」
「明日、会いに行くから。でも約束は出来ないんだけどね・・・。残業になったら、OUTだから」
「無理させちゃって、ごめんね。りりかが仕事に逃げなきゃいけないくらいに、会えなくてごめん。会えたら、たくさん、甘えていいから」
それで私は、気付いたら泣いてた。
今まで強がっていたのが。
一気に決壊した感じ。
寂しいって言う気持ちを止めておいた壁が。
一気に外れたと言うか。
会えないことに対する寂しさから逃げ出したくて。
ずっと仕事三昧だった。
仕事が夕方や夜早い時間に終わる日は。
その後に予定を入れたりして、考えないようにしてた。
おかげで風邪までひいて、大変な思いもしたけれど。
それでも、私は休んで家にいるって言う事が嫌で。
辛くても何でも仕事に出ていた、今週。
そう言えば何度も何度もあいつに怒られたっけ。
「代わりならいるだろ?休めってば!」
職場の人や、友達や。
みんな「会わなくても平気そうだね」って言ってた。
「うん、毎日電話してるしね」って、平気だと自分でも思ってた。
平気じゃ、なかったんだなぁ。
泣きながら、そう思った。
寂しくて死んじゃうんじゃないかと思うくらいに。
胸が痛くて。
結局。
私から会いに行くことにした。
あいつが仕事終わるより、私の方が早く終わるから。
残業がなかったら、電話して。と、私は言った。
電話を切る前。
「もし、残業になっちゃったら、本当にごめん!!」
って謝られた。
「絶対に嫌。嫌だから」
なんて、珍しくわがままも言ってみた。
明日、会えますように。
そう願いながら、眠りについた。
夕方から夜になる時が嫌い。
明るかった昼間から、だんだん空が赤みを帯びて。
夕方になってくるにしたがって、悲しくなる。
でも、夕方は嫌いじゃない。
子供の頃。
夕立が降ると、雷を怖がる私に。
祖母は「寝なさい。起きたら止んでいるから」と優しい声で言った。
私はいつもその通りにして。
目が覚めると、雷も雨もおさまっていたけど。
変わりに、暗い夜が来ている事があって。
それが、物凄く怖くて仕方なかった。
違う世界に来てしまったような。
凄く怖い世界に来てしまったような。
そんな感覚になるから。
あいつに、付き合ったばかりの頃。
・・・もしかしたら、付き合う前だったかもしれない。
「私、お昼寝していて、起きた時に夜だったりするのが嫌いなの」
と、メールした事があった。
「なんだか、怖くなって。子供みたいでしょ」
「そんな事ないですよ。なら、夜になる前に起こしますよ」
「じゃ、頼んだよ(笑)」
そんなやり取りを、いつまでもいつまでも、覚えているあいつ。
「起きてください、そろそろ暗くなって来ました」
そんなメールが来たりするようになった。
「何で寝ていたって分かったの?」
「3時くらいからぱったりメールの返事が来なくなったから(笑)」
「そぉか。ありがとね」
最近は、私もお昼寝できる身分じゃなくなり。
昼間は働いているか、用事があって出かけているか、資格の学校に行っているか。
だから、そんな事もホントなくて。
この間。
喘息が辛くて、用事をキャンセルして家にいたとき。
喘息が辛いから、用事をキャンセルしたと言う事だけは伝えてあったんだけど。
昼間メールのやり取り何か、今じゃあいつも働いているから出来ない。
なのに。
夕方、電話が来て。
「寝てたでしょ。もう5時だよ」
「寝てた・・・けど、今電話して平気なの?」
「今、運転中だったから。たぶん家にいるし寝ているんだろうなぁって思って。暗くなる前に起こさなきゃって思ったんだ」
「そか。何か凄く懐かしい」
「何が?」
「こうやって、メールや電話で、暗くなる前によく起こしてくれたなぁって」
「そうだねー」
私は何度も「懐かしい」を連発した。
あの頃は、よかった、というニュアンスを含んでいたのかもしれない。
すごく、真剣に、本気に、何もかも見えない位に、彼だけの事を考え。
今だって真剣だし本気だけど。
見えない位に、ではなくて。
ちゃんと、周りも見えていて。
余裕も、ちょっとはあると思う。
冷静に、色々な事を考えられて。
感情的になって、物事を決めるわけではなくて。
いい事なのに。
いい事なんだけど。
あの頃の方が、よかったと思えてしまうのは、何でだろう。
今だって、一番好きなのは、あいつだし。
あいつだって、そう思ってくれているって分かっているのに。
私は何が不満なんだろう。
何に対して、何と比べてあの時はよかったと思ってしまうんだろう。
咳が止まらないし、体もだるいから。
仕事の帰りに病院(救急外来の時間だったけど)へ行った。
風邪薬をもらって来て。
夕飯(と呼べる物じゃないかもしれないけど)を食べたあと。
薬を飲んで、お風呂に入ったら、急に眠気が襲ってきた。
髪も乾かさないで、そのまま寝てしまい。
あいつからの着信でさっき目が覚めた。
「寝てた?」
「んー・・・あぁ、髪の毛ぐちゃぐちゃだー・・・」
「風邪平気?」
「うん、明日もう一度、朝一で行く」
「そか、起こしちゃって悪かったね」
「いいよ、声聞きたかったし」
寝起きの私は素直だ、とあいつはよく言う。
だから、起こすのが苦じゃないんだと。
逆に素直な私の気持ちを聞けるチャンスなんだって。
少し話してから「じゃ、ゆっくり寝てね」って言われて電話を切った。
一度冴えてしまった目は、なかなか閉じなくて。
仕方ないから、起きてみた。
レースのカーテンしか閉めてなかったから。
夜の外がよく見える。
考えてみたら。
一人が嫌いだったくせに、今じゃ何だか平気だし。
昔より、暗いのが怖くない。
こう言うのも、慣れるもんなんだ。
もうすぐ、ここに来て一年になる。
2003年10月05日(日) |
強がってなんかないのに |
会いたい。
夜の電話で、何度も何度もそう言われる。
私だって、会いたいけど。
お互いに忙しくちゃ、仕方ない。
「りりかは、寂しくないの?」
なんて聞かれる。
愚問。
「寂しいに決まってるじゃない。でも、忙しいのは仕方ないからって思うようにしてるんだよ」
仕事と私と、どっちが大事なの?
そんなような事を、昔元旦那に聞いた事があった。
分かってなかったんだ、あの時の私は。
忙しく働くのって、結局誰のため?って事。
今、毎日忙しくて。
あいつも早出と残業の繰り返しで。
明日も4時に起きて仕事に行き、帰りは夜8時を過ぎるかな、なんて言ってた。
私は素直に「頑張れ」を言える。
「20日までには(私の引越しとかあるため)、会いに行くって約束する」
「あと、いつまでって約束は出来ないけど、手紙を書く!」
こんな申し出に、私は笑って。
「無理しないでいいからね」
って答える。
「強がってるでしょー」
って逆に笑われる。
強がってなんかないのに。
そんな風に言われると、ますます強がりたくなっちゃう。
「全然平気だもん」
かわいくない事も言っちゃう。
でもホントに。
自分でも不思議な位に、安定した気持ちでいられるの。
こんな長期間会ってなかった事なんかなかったのに。
なのに、安定していられる。
私自身も忙しいってこともあるけど。
やっぱり。
毎日の電話と。
毎日のメールと。
たまに見る、あなたの夢と。
なにより。
私をいつも一番に考えてくれているあなたの気持ちで。
私は強がっているんじゃなくて。
本当に安定した落ち着いた気持ちでいられる。
今日はライラの運動会で。
朝早起きして、行って来た。
元だんなのご両親も来ていたので。
少し居辛かったけど。
子供たちが喜んで迎えてくれたので、よかった。
ライラは来年一年生。
年長さんって事で、最後のクラス遊戯はどんなに練習したんだろう?と思うほど素晴らしい物で。
もう、涙腺がよわよわになった。
昼過ぎには帰り支度を始めて。
私は家に帰って来たけど。
帰りの運転の時から、何だか体がだるく。
家について熱を計ったら37.6度。
喉も朝から痛かったけど、これは昨日飲んだせいかな?って思ってた。
でも、風邪だったらしい。
とりあえず、あいつには「熱が出た」とだけ報告しておいた。
夜8時位に電話が来て。
その頃、私はものすごい具合悪くて。
私の声を聞いて焦っていたあいつ。
「行こうか???」
「平気」
「だって、薬とか飲んだの?」
「うんー、飲んだから大丈夫だよ」
とにかく、早く電話を切りたい、と思ってしまう。
話すのが辛い。
しばらく寝ていたら、ちょっとよくなってきたらしい。
また11時位に電話が来た。
「さっきより楽になったよ」
「ホント?無理してない?」
「うん、ホント楽なの」
熱も下がっていたし。
よかったぁと一安心。
明日はいつもより少し遅い8時からの出勤。
ちょっとだけ寝坊ができる。
今日は帰宅後寝てばかりいたんだけど。
寝るたびに夢を見た。
全部あいつが出てくる夢で。
普通に食事している夢とか。
一緒に公園で寝転がっている夢。
だから、会えなくて寂しいって言う思いは少ないかな。
夢のおかげで会っているつもりになっているし。
「俺は普段夢見ないから、羨ましいよー。会ってるつもりでも夢でも何でもいいから、会いたいなぁって思う」
なんて言ってたけど。
今、あいつは休みがない位に忙しい毎日だから。
それは仕方ないよね。
私に休みがあれば会いに行けるんだけど。
私も休みは今日使ったから当分ないし。
今日はゆっくり寝よう。
また、会ってるつもりになれるかな。
久しぶりに新宿に出て飲んできたー。
女友達と2人で。
凄く楽しくて、今も思い出して楽しい気持ちになれてる。
そう言えば、明日会わなかったら、あいつとの会わない記録更新だ。
飲んでる最中からメールは何度も来ていたけど。
あたしは遊びに出かけている時は余り携帯をいじりたくないので。
そのまま放置しておいた。
23時半に友達と別れて。
電車乗って帰って。
駅から歩いて家まで帰るとき。
電話してみた。
もう12時も過ぎちゃっているから、寝てるかな?って思いつつ。
3コールくらいですぐ出た。
「起きてたー?」
「メールも電話もないから、心配してたよー・・・」
最近喘息がよく出るので、飲むことを凄く心配してた彼。
「大丈夫なの?」
「うん、平気」
言ってる傍から咳き込んでしまう。
体温が上がっているとき(飲酒のときとか、寝入り端)喘息はよく出る。
「ほらー。早く家に帰って暖かくして寝なさいー」
「んー。分かったよ」
「楽しかった?」
「うん、すっごく楽しかったの」
歩きながら電話して。
「もうローソン見えてきた?」(うちがローソンの近くなので)
「見えてきた・・・今通り越したよ」
「じゃ、あとすぐだね」
「もう平気だから、寝てね。明日も早いんでしょ?」
「うん、でも痴漢とかって電話している女には何もして来ないらしいから」
「(笑)大丈夫だってばー」
「なんかあってからじゃ遅いの!」
本気で心配しているんだもん。
来年三十路だよ?
心配しなくても大丈夫だよー。
そう思って吹き出しちゃった。
でも。
少し、酔っていい気分だから。
いつもより少しだけ素直になろう。
「ありがとね。あのね、今日会った友達に、10年後何してると思う?って聞かれたの。あたし、あなたと一緒にいると思うって答えたんだー」
「そりゃ、そうだろ(笑)一緒にいないなんて考えられないし。10年以上先もずっとずっとだよ」
「だよね?ずっと一緒にいるよね?いてくれなきゃ困るし」
「当たり前だってば」
外は寒かったけど。
なんだか心の中は満たされて、暖かくなってた。
会わない記録は更新しちゃうけど。
でもね。
今、あたし、何だか幸せだよ。
自分をずっと見てくれる人と、自分がずっと見て行きたい人と、一緒にいれるって事って。
10年後と言わず、ずっとね。
ずっと、一緒にいたいと思う。
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