あいつの部屋の掃除をしに行った。
何もなくなった部屋。
ゴミが、ぽつぽつ落ちてただけ。
寂しさは・・・出てこなかった。
何だか。
知らない人の部屋に、来ちゃった感覚。
知らない人の部屋を掃除にしに来た、感覚。
ここで、あたしが、あたし自身が。
一年間いろいろな事をしてきたとか。
一年間いろいろな事を考えてきたとか。
そんな事は、まるきりなかったみたいに。
本当に、知らない部屋。
「ここは、あたしがあんなに通って、泣いて、笑った、あの部屋?」
思い出せない。
ここで、どんな風に泣いたのか。
どんな風に、あたしは、笑ったのか。
何もなくなった部屋で。
あたしは、抱きしめられたけど。
知らない部屋で。
知らない人に。
抱きしめられている。
そんな感覚で。
あたしの感情が、麻痺しちゃっている。
一年間、いろいろな事があった部屋で。
今までも、これからもずっとずっと好きな人に。
抱きしめられている。
・・・明日から離れるのだけど。
そう思えない。
思わないように、勝手にしているのかもしれない。
「泣け泣けって言うから。何だか、泣けなくなっちゃった。寂しい気持ちも、なくなっちゃった」
あたしは、そう言った。
「泣けって言うのは、悪乗りだったんだよ・・・。ただ、俺がこっちにいる間は、泣いても慰めたり、抱きしめたり出来るから、泣いていいよって意味だったんだよ」
って、「ごめんなさい」って言葉と一緒に言ってきた。
新年会でも。
後数時間で、離れ離れになるって分かっているからか。
分かってないのか。
なんなのか。
いつも以上に飲んでいるのに。
全然記憶は飛ばないし。
どうでもいいやーって、酔えないし。
あたしは。
泣かなかったよ。
泣く感情は、どっかに置いて来ちゃったみたいに。
あたし、泣かないで、最後まで「仕事、頑張ってね」って言えたんだ。
これは、冷めたとかじゃなく。
やっぱり、あたしは現実として受け止めたくない。
そう思ってしまうから。
だから。
泣かないで、いられた。
だって。
また、明日。
あの部屋に行ったら、やっぱりいつも通りで。
こたつがあって、ベットがあって、座椅子があって。
「寒いから、早くこたつ付けてよー!」
って、あたしが言いながら座って。
「まず、コート脱ごうよ」
って、あたしのコートを脱がせてくれて。
いつも通りの。
いつもの部屋がある気がしてならない。
あいつも、いつも通り、あたしと一緒にいて、笑ってて。
あたしも、いつも通り笑ってて。
「現実逃避。」
今みたいな、あたしの状態の事、言うんだね。
あたしの、結婚生活は。
感情を殺しながらの、毎日だった。
だんな様は。
あたしが泣くこと。
怒る事。
悲しむ事。
笑う事でさえ。
みっともないと言ってきた。
だから。
あたしは、感情を殺す事になれた。
なれてた。
けど。
あいつは、あたしに思う存分、そう言う感情を出してくれていいよっていう。
そして、少しづつ、感情を取り戻したあたしは。
こうやって、思ったままに悲しんだり、笑ったりする事が、凄く楽で、幸せな事だって気づいたんだ。
今日は、お父さんが来て、荷物を実家に運んだ。
後は簡単な掃除だけ残ってて、それやったら終わりだって。
でも、夜になって、荷物がなくなって、布団もない部屋で一夜を過ごすのは寒いからって、友達の家に行くって言ってた。
そんな話を電話でしてた。
「明日の新年会、りりか泣く?」
「泣かなーい」
「嘘つけ、泣くよ」
「泣かないって」
こんな会話の繰り返しをした。
あたしだって、泣いちゃうかもしれないって、自信がなかった。
けど、泣くよーって言われると、天邪鬼なあたしは「泣かない」を連発する。
そのうち。
「いや、泣くね。泣かせてみせるね」
とか言いだすあいつに、あたしはふと疑問。
「ねぇ・・・。何、泣いて欲しいわけ?」
「そりゃ、自分の事で泣いてくれたら嬉しいでしょ」
あたしは、何だかため息が出ちゃって。
「そか。なら、泣くかもね」
と言った。
こう言った瞬間。
何だか、一気に疲れが出てきちゃって。
泣くのは、恥ずかしいことじゃない。
それも、自分の感情の一部何だから。
でも、強要されてまで、泣きたくない。
それは、自分の感情じゃないから。
あたしは、「ここで泣くんだ!」って演技させられている、女優じゃなければ、「ここで泣いたほうが効果的かも」と思う演出家でもない。
自分のために、泣いてくれるのは嬉しい。
それは素直な感情だね。
誰だって、自分がいなくなるって言う理由で、泣かれたら嬉しいだろうと思う。
しかも、好きな人に。
「行かないで!」って泣かれたら、嬉しいだろうね。
けど。
わざわざ、「泣かせてみせる」とまで言わないでも。
泣かれるのが嬉しいから、泣かせてみせる。何て言わないでも。
と、あいつの子供っぽさを、客観的に分析しちゃったりして。
妙に、落ち着いちゃったりして。
元々、明日お別れ。
って言う実感がなかったのに、拍車を掛けて、感情が一気に消えて行き。
全然、悲しくも、寂しくも、なくなった。
そう。
感情がなくなったんじゃなく。
悲しいとか。
寂しいとか。
そういう気持ちじゃなくなった。と言うほうが適切。
今は、悲しくないし、寂しくない、落ち着いた感情。
と言ったほうが、適当。
妹が。
「最後にHちゃんと遊びたい」
って言ってきた。
あたしも、そうしたいって思った。
あいつも、喜んで、カラオケに行く事になった。
何だかね。
いつもどおりのいつもと同じあたしたちで。
仲良く、笑ったりするのも一緒で。
誰もしんみりしないの。
けど、帰り際、妹が「明日引越しだっけ?」っていった。
「うん、明日親父が来るからね」
「明日じゃなくて、違う日がいいって言いなよ。お父さんが来なければ、まだいられるんでしょ?」
「いやー、無理だよ、親父も忙しいから」
「なら、ばっくれて、三人でお台場に遊びに行こうよ!新しく出来たお台場の何かに、行こうって前々から約束してたじゃん・・・」
「なに、ひなちゃん明日休みなの?」
「Hちゃんのためなら、休むよ!」
「よく言うよー(笑)」
そこで、妹とあいつの話は途切れたけど。
妹が、予想以上に凹んでた。
大好きな友達が、いなくなってしまうのは、やっぱり悲しいんだよね。
悲しくなるくらいに。
あいつを大切な友達だと思ってくれて。
ありがとね・・・。
妹は、あいつにカラオケで、手紙を渡した。
あいつをおろした後、妹が言った。
「何か、同じ事の繰り返しばかり書いちゃったんだぁ。で、便箋四枚も書いちゃったよ(笑)」
「何書いたの?」
「んー・・。いろいろとね」
妹に送ってもらって、家に着いてからあいつからメール。
「ひなちゃんからの手紙に、りりかを幸せに出来るのはあんたしかいないんだからね!って書いてあったよ。俺もそう思う!」
あたしだって。
あなたとじゃなきゃ、幸せになれないって思う。
離れること、不安。
もうあさってがこっちで会うのは最後で。
いや、またこっちまで会いに来てくれるけど、遠距離になる前のこっちで会うのは、最後で。
なのにね。
あたし。
未だに現実的に受け止められない。
なんでだろうねぇ。
二人で。
あいつの部屋で。
いっぱいくっついて。
いっぱい話して。
一年目を楽しんだ。
いろいろな事があった。
本当に、いろいろな事があった。
けんかも山ほどしたし。
いっぱい笑ったし。
泣いたし。
あたしはね。
離れても、あなたが好きです。
きっと、いつか、一緒になれるんだ!って思ってる。
自信みたいなの、あるのかな。
いつも、あたしだけを見ててくれて。
あたしだけの事を考えてくれて。
本当に、暖かい一年をありがとう。
あなたに出会ってなかったら。
今のあたしは、どうしていたんだろう?って考える。
毎日が平坦で。
つまらなくて、でも、そこそこ平均的な家庭の中で。
あたしは、いろいろな感情を知らないまま、生きていたんだろう。
自分を、全力で愛してくれる人がいると言う事。
誰かを、手放しで愛せるという事。
悲しいときは、寄りかかりながら泣いていいという事。
楽しいときは、たくさん笑いながら話してもいいという事。
愛している人から聞く、愛していると言う言葉は。
胸の中が、きゅって縮むような感覚になって、暖かくなるという事。
いろいろなもの、教わった。
いろいろなもの、もらった。
あたしは、あなたに、何を教えてあげられたんだろう?
何を、与えたんだろう。
これから先も。
あたしは、あなたと一緒にいる。
それは、もう、確信だから。
だんな様・・・という呼び方も、そろそろおかしいので、元だんな様にする事にします。
元だんな様から、久しぶりに電話があった。
子供たちの様子を聞いたら、みんな元気で、まだ風邪とかは引いてないよって言ってた。
でも、学級閉鎖で、休みだったりしたけどって。
それ聞いて、ホッとした。
「彼女とはどうなの?」
「うん、まぁまぁ」
「子供たちとは何度か会ってるの?」
「うん、ライラとは仲良しなんだけど、上二人は緊張してるね、まだ」
「そか・・・」
ライラとは仲良し・・・。
そうだよね。
ライラは人見知りしない、ニコニコいつもしてる子だったもん。
でも。
ちょっとだけ、凹んだ。
ばかだなぁ。
あたしが凹むなんて、お門違いだよ。
「りりかは?どうなの?」
「何が?」
「彼とだよ」
「ああー・・・。まぁまぁ」
「うまく行ってるの?」
なんとなく。
なんだろう、あたしは言いたくなかった。
あいつがいなくなる事。
遠距離になる事とか。
なのに。
言っちゃった。
「2月に帰るのよ。実家の○○に。家業を継ぐんだって」
「え?そうなの?りりかもついて行くの?」
「ううん。行かないよ。仕事もあるし」
子供たちと今以上離れたくなかったから。なんて言えなかった。
「なら、どうするの?」
「遠距離かな。当分ね」
「そっか。りりかは強いよなぁ」
「・・・。そうだね」
「仕事の事のために、ついて行かないなんて、強いよ。男並」
強くなんかないし。
仕事の事だけだったら、ついて行っただろうし。
でも、「うん」とだけ言った。
「なら。来月から、子供たちと手紙のやり取りはしていいよ」
かなり。
カチンと来た。
寂しくなるだろうからって言う同情から言ったのもあるだろうけど。
そう言う事で、子供を、まるでご褒美のように使わないで。
寂しいのを我慢している、ご褒美みたいに。
「ありがと・・・」
ムッとしながらも、あたしはここは手紙のやり取りだけでもしたいって気持ちの方が強くて。
お礼まで言ってしまった。
電話を切った後も、しばらくムカムカしてたんだけど。
でも、冷静に考えて見たら、凄く嬉しい事で。
また、子供たちから手紙をもらえるって事に。
結局。
ご褒美もらって喜んでいるんじゃんね、あたしは。
今朝。
起きたら、あいつからのメールに写真の添付。
メッセージが「寒い」。
寒い?何が?
と思って写真を見たら・・・。
坊主頭に・・・。
五分がりってやつ?
びっくりして、あわてて電話。
「何、どうしたのよ?軽いめまいまでするんですけど・・・」
「いやー。気合入れて仕事頑張ること、りりか以外に目をむけない事を誓うためにも、やっちゃった」
「・・・。思い切ったねぇ・・・」
「寒いよ、頭」
「うん・・・寒そう。てか、何やってるんだか・・・」
電話を切ってから、支度して、あいつとランチをしに行った。
正直、驚いてしまった。
だって、高校球児とかじゃないんだから・・・。
年齢的には、仮出所して来た人っぽいかも。
「変?」
「変だし、もうびっくりだよ」
「いやいやー。驚かせようかなって思ったから」
「うん、確かに驚いた。一発で目が覚めたしね」
触らせてもらったら、触り心地は気持ちよかった。
それにしても、びっくり。
「これで、来月から気合入れて働く。目標は、りりかを何不自由なく暮らさせることだからね」
「はぁ・・。でも、坊主にする事はなかった気もするけど・・・」
「そう言わないでよ。俺だって勇気がいったんだから」
その後も、いろいろ文句というか、何やってるんだよ、とか連発したけど。
でも、気合入れたんだって言うのは、伝わったかな・・・。
帽子を買いたいというから、付き合った。
寒いらしい。
「夏位には、元通りになってるかなぁ」
あたしが聞くと「なってると思うよ?」って、言われた。
あたしは、あいつの後ろ髪を触るのが、好きだったのになぁ。
それは夏まで、お預けかな。
「でも、何だかホントに頑張らなきゃって気持ちになった。こんな髪切ったことくらいで。気分一新ってところかな」
気合入れて、頑張ろうって思う姿勢は、凄くいい事だよね。
そう思うよ。
でも・・・。
早く伸びないかなぁ。
そして、あいつは忘れてる・・・。
来月にお姉さんの結婚式があるのに。
その頭にスーツ着て、出席するんだね・・・。
ばか・・。
お友達が、入浴剤をくれた。
前に書いたと思うけど、この日記を通して仲良しになった。
それで、この間、写真たてをプレゼントしてくれた。
その中に一緒に、入浴剤が入ってた。
あたしが毎日忙しく働いている事を知っているから、ゆっくりお風呂に入ってね。って言う意味だと思ってたんだけど、彼女の日記を読んだら、あたしがあいつと一緒にお風呂に入るのが恥ずかしがっているから、色がつく入浴剤を、と思って買ってくれたらしい。
それで。
今日、その入浴剤を使って、一緒に入ろうって、言って見た。
すごく、嬉しそうだった。
もらった入浴剤はミルク風呂。
真っ白にはならなかったけど、うっすら白くなって。
湯船の中は見えないくらいにはなった。
くれたお友達も、春から遠距離になる。
彼が大好きで、大好きで、大好きな、その彼女も。
きっときっと、悲しい思いをしているんだろうなぁって。
寂しい思いをしているんだろうなぁって。
ふと、思う。
「明るいとこで、一緒に入るのはドキドキするね」
お風呂の中で、あいつが言った。
「はずかしい?」
「恥ずかしくはないけど、嬉しいのとなんか、ドキドキする」
今後は。
こうやって、一緒に入る事は、月に何回あるんだろう。
1回もないかも知れないし。
だいたい、お風呂どころか、会うことも何回あるか分からないし・・・。
なんて、悲しい事ばかり考えたらだめだよね。
「ホントに、片付いてきたね」
遊びに行った、あいつの部屋。
テレビの上とか下とか、すっきり。
前は、乱雑に本とかCDとかゲームソフトがおいてあったのに。
「あたし、お風呂場掃除してあげるね」
そういって、お風呂に入るついでに、綺麗に掃除した。
それくらいは、やらせて欲しいなぁって、言って。
「寂しくなった?」
あいつが聞いてくる。
実はまだ、実感が湧かないの。
って、あたしは答える。
でも。
何かあったとき。
あなたに会って話したいとき。
いないって事が、やっと現実に感じ取れるんだと思うよ?って。
だから。
その時はきっと、辛さにつぶれそうになっちゃうかもしれないなぁって。
「電話とか、メールじゃ、埋まらないかもしれないから。これあげても、そんなの全然埋まらないかもしれないんだけど」
あいつが、そういいながら箱を出してきた。
「本当は、一年目に、送る予定だったんだけど。引越しの物に紛れちゃったりしたら、嫌だからさ」
「何?」
「開けてみて」
中に入っていたのは。
薄い紫の、ガラスで出来た、オルゴール。
天使が、キャンドル持っている、形。
天使の顔には、目や口や鼻がない。
「これ聞いて、埋めてくれたらいいなぁって思った。顔がないのはね。そのときそのときの、りりかの気持ちに合わせて想像してもらおうかなぁって思って」
黙ったままの、あたし。
「嬉しくなかった?」
慌てて首を振る。
「嬉しいよ・・・素直に。ホントに・・・ありがと。でも、これ聞くとき、きっとあたしは悲しいときばかりで、天使の顔は悲しい顔ばかりじゃないかなぁ」
あたしの頭をなでながら。
あいつは、言う。
「嬉しい気持ちのときも、聞いて。たとえば、俺と会う前の日、とか」
曲目は、星に願いを。
あいつは、この曲が好き。
あたしからの着信音もこの曲。
ご飯を食べて。
二人で寝転がる。
あいつの胸に、あたしは頭を乗せて。
うとうとする。
いつもみたいに。
あたしの頭をなでながら、あいつが口ずさむのは、星に願いを。
あたしは、今は嬉しい、幸せな気持ちでいられる。
けど。
きっと、泣いてばかりの、寂しい表情の天使を。
この先、何度も見る事になるんだと、思う。
でも、もっともっと先で。
笑顔の天使ばかりを、見る事になりたい。
なりたい・・・なるよね。
そんな事を。
あいつの子守唄を聞きながら。
眠い頭で考えてた。
部屋の片付けは。
だいぶ進んだ、と言ってた。
本とかCDは、箱に詰めたよ。って。
実はまだ。
実感が湧かない。
なんだろう・・・。
あのあいつの部屋。
ここから車で15分のあの場所から。
あいつがいなくなるという現実が。
全くと言っていいほど、現実と思えない。
きっと。
もっともっとあと。
あいつがいなくなって、もっともっと後。
そして。
あたしが寂しいこととか。
悲しいこととか。
そういう事以外に。
嬉しい事、楽しい事、顔見て報告したい事。
そう言う事があったとき。
それが。
出来ないとき。
きっと、思い出すんだと思う。
あ、いなくなったんだ。
そんな風に。
そして、悲しくなり。
寂しくなり。
辛いんだと思う。
今は。
実感は全く湧かない。
いなくなる。
引越しの準備している。
そんな事聞いても、他人事のように。
「大変だね」
としか思えない。
もしかしたら。
あたし自身の中の、奥の中の何かが。
認めようとしたくないのかもしれないね。
「引越し、30日だっけ?荷造りあたし手伝いに行くよ」
朝、電話して言った。
「いいよ」
「なんで?」
「何でもだよ」
「変なの。一緒にやってあげるって言ってるんだよ?」
沈黙。
あら?
朝だから、機嫌悪い?
とか、思ってたら。
「俺ね、この部屋嫌いでさー。借りたときも時間無くて、親父にこれでじゅうぶんだろ、とか言われてさ。実際住んでて嫌いだったの。けど、かれこれ5年弱。なんだろうねぇ。ここから出ていくって実感が急に湧いてきちゃってさ」
「うん、そうだろうねぇ」
ふと。
あたしが、最後に家族五人で暮らしてたあの団地を、思い出してしまう。
寂しくなっちゃう気持ち、分かるなぁ。
「いろいろな事があったんだよ、ここで。合コンで引っ掛けてきた看護婦を一ヶ月泊めたりね」
「ばーか・・・」
「あとは、飲み会を毎晩開催したなぁ。とかさ」
「うん、そかそか」
「でもね。りりかとの一年が一番大きいかなぁ。うん、凄く、大きい」
「ありがと・・・で、片付けは・・・?」
「だからね。一人でやっても感慨深くて、しんみりしちゃうの。それをりりかと一緒にやったら・・・泣くかもしれないからだめ」
「あはは・・・そーなんだ」
「大丈夫、一人で出来るよ。ありがとね」
「実は、エッチな本とかビデオとか発見されたら困るから、とかじゃないでしょうね!」
「そんなの、発見されてもOKだもん」
結局。
あたしには手伝わせてくれないらしい・・・。
確かに、言ってる事も分かるんだけどね。
一緒に、片付いて行く部屋を見ているのは、悲しくなるだろうと、あたしも思う。
まして、今回はついて行けないのに。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今この日記を書いているのは 1/28 AM1:13
一年が経ってしまいました。
さっき、あいつから12時丁度に電話が来て、「おめでとー」と言われました。
何がおめでとう、なんだろ・・・(笑)
でも、ここまで続くとは、お互いに予想していなかったね、といいあいました。
長かった。
そして、あっという間だった。
いろいろな事がありすぎた、一年でした。
あたしたちは、成長したのだろうか?
きっと、したよね?と、励まし(?)あいました(笑)
電話を切る間際。
「これからも、ずっと、後、半世紀くらいかな。一緒にいてね」
と、言われました。
たぶん、一緒にいるんだと思います。
漠然とだけど。
ずっとずっと一緒にいるんだろう、と思う、一年目の深夜でした。
2003年01月21日(火) |
幸せにしてくれますか? |
仕事終わってから、夜。
結局あいつの部屋に遊びに行って。
二人でたくさん話して。くっついて。
こいつが好きだなぁって、思う。
「りりか、愛してる」
「あたしも同じだよ」
「ちゃんと言葉で言って」
「あたしも、愛してるよ」
あたしがこう言うと、あなたはいつも、頭を撫でて照れを隠すね。
一年前。
まだ、あたしたちは始まってなくて。
始まる寸前だったのかな・・?
あたしを後ろから抱きしめたと思ったら。
いきなり。
去年の今頃の話を、あいつがしだした。
覚えてる?
付き合うまでの前数日間。
夜中、仕事終わってから二人でよく話してたね。
車の中で。
なんか、照れちゃって、俺。
嬉しいのもあったんだけど。
ドキドキしちゃっているの、伝わらないかなぁって思ったりした。
店の駐車場で。
路上で。
ファミレスの駐車場もあったねぇ。
何を話してたんだろう?って位に、ドキドキしちゃってて記憶がないんだけど。
いつも、こうやって。
触れてみたいって思ってたよ。
りりかに。
触れてみたいなぁって、ずっと思ってた。
手が届かない存在だなぁって、思ってた。
憧れだけで、終わっちゃうのかなぁって、思ってた。
ほら。
俺って、凄くりりかに子供扱いされてたじゃない?
りりかの口癖が「お姉さんは悲しいよ」とか「お姉さんは嬉しいよ」だったじゃん?
その「お姉さん」って言葉が、越えちゃいけないって壁を作られてるんだろうなぁって思ったんだよ。
やろうとしたら、こうやって抱きしめる事なんか簡単だったじゃん?
あんな狭い空間の中なんだから。
手を握ることくらいはせめて出来たじゃん?
でも、俺さ。
それ越えちゃったら、きっともう憧れって気持ちも捨てなきゃいけなくなるんだろうなって思ったんだよ。
今は。
こうやって触れられる。
夢の中の、妄想の中のりりかじゃなく。
体温をちゃんと感じられるりりかがいる。
それって、凄い幸せなんだよね。
俺にとっては。
そうやって、俺たちは、俺たちなりに時間を作ってきたじゃん?
いろいろな事がありまくった一年だけど。
でも。
俺思う。
今までが幸せじゃなく、もしかしてちょっと先も幸せじゃなかったとしても。
死ぬ間際に「幸せだったな」って思えればいいって。
ちょっとのことなんだよ。
これからなんだと思うよ。
りりかがそう思いながら、最期を迎えて行けるように。
俺は頑張るね。
やるだけやる。
だから。
ずっと、触れさせていてください。
てか。
俺しかいないでしょ!
りりかみたいに、感受性豊かな子、ずっと大事に出来るのは!
あたしは、涙ぐんじゃって。
声出したら、泣くな、と思って。
黙ってて。
「泣かないのー。りりかが泣くと、俺、あたふたしちゃうんだから!」
言いたい言葉は、たくさんあるのに。
肯くだけで精一杯。
肯いたと同時に。
涙も出ちゃったけど。
「あたしを、幸せにしてくれますか?」
そう言えた。
今日は、朝から夜まで仕事で。
会う事は出来ない。
あの日、あいつがあたしに別れ話をした日から。
会えるときはホント一時間でも会うようにしてる。
でも、今日は会えない。
あいつも明日はテストだから。
勉強しているだろうなぁって、夜中の1時に帰ってきたあたしはメールもしなかった。
そしたら、電話がかかって来た。
「勉強は?」
「してたよ。でも、そろそろ寝る。明日眠いままテスト受けるのも、よくないじゃん?」
「そか。お疲れさま」
「うん、でも寝る前に会えなかった分、声聞きたかったの」
「そっか」
それから少しだけのつもりが一時間話しちゃって。
「もう、寝た方がいいんじゃない?」
「あ、うん。りりかも疲れているのに、ごめんね」
「あたしは明日は朝ゆっくりだから、平気だけどね」
「そっか、明日は会える?」
「うん、仕事終わったらいくね」
「俺が行こうか?」
「どっちでもいいよー」
「そしたら、次の日りりかのとこから登校しようかなぁ」
泊まられるのが、なんとなく。
なんとなく、抵抗あった。
今まで泊まったのは2回。
それは、どっちもあたしの風邪のせいで。
なんで抵抗あるのかなぁ?って考える。
そか。
そのままずるずる泊まられたりするのが、嫌だったんだ。
そして、いつのまにか同棲、とかいう形になるのが嫌だったんだ。
でも、あれから状況は変わった。
あいつは31日に帰る。
だから。
そういう心配は、なくなった。
そしたら、泊まってもよくなったのか?
と聞かれたら、やっぱり手放しで「いいよ!」って感じじゃない。
こんなに小さい事にこだわってるあたしも、何だかなぁって感じだけどね。
あいつは、そういうの全く分かってないみたいだし・・・。
「泊まるのは、おいといて。来ていいよ」
「うん、泊まるのはそのときの状況だねー」
結局電話を切ったのは3時近く。
長電話し過ぎちゃったなぁって思った。
そういえば。
あいつはDOCOMOのゆうゆうコールにあたしの番号を入れてくれているんだけど。
それは、掛けた相手に3分毎10円無料通話となるんだけど。
今月は2600円くらい無料通話になってた・・・。
どれだけ掛けたんだ?って話。
嬉しいけどね。
控えなきゃなぁ。
だから。
これからは、電話は少しで、後は手紙にしようねって言った。
あいつは、「気にするなよ」とか言ってたけど。
手紙は残るから。
手紙も、嬉しい。
あなたの声を聞いているのも、もちろん嬉しいけどね。
あたしは、ちゃんと気持ちを言うようになった。
寂しいって事はもちろん。
楽しい事、嬉しい事。
いろいろな事。
あと10日余りで離れてしまう。
それまで、ううん、それからも。
素直でいたいって思う。
「りりかさん、俺の事、愛してる?」
「うん、すごくね」
「おっ。嬉しいなぁ」
満面の笑みで、あたしを見る。
お茶を持ってきてくれたりするあいつに。
「ありがとう」
って言うと、いつもみたいに冗談で、
「なら、お礼のキスして」
って言われて。
普通にした。
言った本人が、本当にされてびっくりして、真顔だったりして。
あたしはそれ見て、笑う。
「自分で言ったんだよ?」
って、抱きついたりする。
「りりか、可愛い」
「は?」
「なんだかね。反応が、可愛い。どうしたの?」
「今までは可愛くなかったの??」
「いやいや、いつもも可愛いいよー。でも、格段に今日は可愛い」
あたしは、恥ずかしさと、嬉しさで。
「可愛くいたい。素直でいたいの。ずっと好きでいてほしいからかな」
って、目をそらして言った。
「どんなんでも、好きだよ、りりかだもん」
可愛くいたい。
あたしは、可愛くいたいなぁって思う。
だって、好きでいてほしいもん。
素直になれなかった。
思ってる事、いえなかった。
そんなまんま別れたりしたら、やっぱり後悔凄くするから。
あなたがいつも全力でぶつかってくれるくらいに。
あたしもぶつかって行こうって思う。
大好きなあなたに。
ずっと好きでいてもらえるように。
あたしは、思ってる事話した。
こう言う風に考えてしまう。
こんなに後ろ向きになっちゃう。
この間の、別れようっていったときのあなたの顔が、忘れられない。
あのときは、一瞬でも、ホントに、あたしに気持ちがなくなってたと思う。
そして、それ以来あなたを信じる事が、怖い。
もう、好きになりすぎて、別れがやってきたときの辛い思いをしたくない。
だから・・・
信じる事が、出来ない。
愛されているって言う気持ちも・・・でない。
逃げたくなっちゃっているのかもしれない。
そう言う、不安とか、苦しさとかから・・・。
あいつは。
黙って聞いてた。
そして、あたしを抱きしめて。
思い切り抱きしめて。
「そんな風に考えさせちゃって、ごめん・・・。取り返しつかない事しちゃって、ごめん。あんな、くだらないことで、そんなこと言っちゃって、本当にごめん。・・・でも、りりかの気持ちがまた。俺を信じてくれるように、頑張ろうって思う」
よしよししながら。
いつもみたいに、抱きしめながら。
あいつが言う。
本当に。
本当に、あの一瞬はそう思ったかもしれない。
けど、今はりりかしかいないと思ってる・・・。
だから。
りりかが俺の愛情をめちゃくちゃ感じるように、頑張るよ。
あたしってば、愛されまくってる!って思うくらいに。
「愛してる」
目を見て言われる。
その目に、嘘はない。
って、あたしは思う。
あたしは。
あたしは・・・あたしも。
きっと、これからもあなた以上に誰かを愛する事は出来ないと思う。
こんなに誰かを、愛する事が出来るんだね。
今日は、会う約束してて。
でも、仕事が長くなってしまって、約束より遅くなっちゃって。
ホントは、あいつの家で最後に手料理食べたいって言われてて、作る予定だったんだけど。
「こんな時間じゃ、もう買い物行って作って食べるころには10時過ぎちゃうからいいよ」
「ごめん・・・」
「いいよ、いいよ。遅くなるって連絡もらったから、俺が焼きそば作ろうと思って、材料買ってきたから。食べる?」
「うーん、余りおなか空いてないけど・・・。Hは?」
「俺は夕方ちょっと前に食ったから、減ってないかな」
「なら、まだいいかなー。ありがとね」
ほら。
素直に、ありがとうも出ちゃう。
「飲む?」
あいつがワインを出した。
「うん」
二人で飲む。
なんだかね、飲んでも酔えなかったりする。
あたしが、ボーっとテレビ見てたら。
いつもみたいに、あたしの後ろに座る。
ドキッとする。
なんでだろう・・・。
すごく、ドキッとする。
いつもみたいに、頭をなでてきて。
後ろから抱きしめられたりするんだけど。
あたしは、悲しくなってしまう。
「本当に、あたしが好きだから、こうするの?今だけ?ここにいる間だけのためにこうするの?」
そんな風に、勘ぐってしまう。
でもね、もしそう思うなら、それでいいよ、って思ったりもする。
あなたが、優しすぎて、あたしにそう言えないのであれば。
あたしから言おうか?
「今月いっぱいで、終わりにしよっか」
て、言おうか?
でも・・・。
それは、逃げている事に値する。
あたしが、こうして一緒にいる事が苦しいから。
だから、逃げたいのかもしれない。
何より。
先に別れを切り出したいのかもしれない。
言われる辛さは、嫌って言うほど分かったから。
そんなあたしの変化を気づいたのかなぁ。
「ごめんね、この間は」
「んー?」
「いっぱい、泣かせちゃったし。嫌な事言っちゃったし」
「うん・・・あたしが悪いんだしね」
「ほんと、ごめんね」
こんな言葉だけで、あたしは胸を捕まれたみたいに、悲しくなってしまう。
ごめんね、って言葉を。
うまく信じられない。
「大好き」
そういう気持ちが、薄れていっているのかなぁ。
とか、思ってしまう。
きっと、自分が好きだったら。
自分も大好きだったら。
相手が言う「好き」も信じられると思うんだ。
だけど、ちゃんと思ってないから。
信じられなくなっちゃったのかなぁ。
「今月いっぱいにしよっか」
「何が?」
突然、あたしは言う。
「あたしたちが付き合っているの、今月で終わりにしようか?」
「何言ってるの・・?」
「そう思ったのかと思った」
「は?」
「違うな。そう思ってるのかと、思ってる」
「思ってる?誰が?俺が?」
「うん、そう」
「ばかじゃねーの?」
「信じ切れなくなってるの。前みたいにね。愛されている自信とかないの」
あの、「お別れ」って言ったときの、あなたの表情・声・動作。
そういうのが、引っかかる。
消えない。
あれは、単にふてくされてた、とかじゃなかったから。
本気で、そう思ってた顔だったよ、声だったよ。
「もう、ほんとに・・・ごめん」
ぎゅって、抱きしめられる。
「そんな風にいわないでよ・・・本当に」
「あたしが、ついて行けない人で、ごめんね。だから、勝手にそうやって勘ぐっちゃうんだね・・・」
「そういうので、あの時別れようって言った訳じゃないよ」
「うん・・・」
「今は、元通りにりりかが好きだし。愛しているし。一生、一緒にいたいと思ってるよ・・・」
昨日。
友達に言われた。
「一瞬でもりりかの手を離そうとした人間だよ?その人はまた離すかもしれないって思いながら、掴んでいくの?」
そう。
一瞬でも、離した人。
だからか。
あたしが、今。
この人の言葉を心から信じられなくなっているのは。
携帯にカメラがついたけど。
あたしは二人で撮ったきり、自分は写してない。
職場のバイトたちは撮ったりしたけど。
今のあたし、かわいくないから・・・撮れなくて。
夕方。
帰宅した後あいつから「友達と遊びにいってきます。ちゃんと暖かくして寝てね」ってメッセージと一緒に、あいつの写真が送られてきた。
写真見たら、ちょっと、泣けて来ちゃって。
パソコン立ちあげたら、写真立てくれたお友達とちょっとだけ、メッセで話す。
「今ね、泣きそうなの」
「あたしの前では泣いていいよ」
そう言ってくれた、お友達に感謝した。心から・・・。
いつもと同じなのに。
友達と遊んでいるときは、いつもメールだって電話だって少ないのに。
同じなのに・・・ね。
なぜか。
疑ってしまう、あたしがいる。
別に、他に女がいるんじゃないか、とかそう言う疑いじゃなく。
とりあえず、ここにいる間は、あたしと付き合って行くつもりなの?とか。
面倒になったんだけど、ここにいる間はつきあって行きたいだけ?とか。
そんな事あるはずないじゃん、って思うような事ばっかり考えては消して、また考えて。
そんな嫌な考え方をするあたしが嫌いで。
苦しくて。
ちゃんとに、あたしって愛されているなぁって思えない事に、苦しくて。
でも。
メールで。
辛いのに。
苦しいのに。
泣きたいのに。
笑顔の絵文字を付けられるあたしがいる。
苦しいって事とか、悲しいって事とか。
言いたくない。
言えない。
「今日は何時くらいに帰宅するの?」
ってメールした後、数時間帰ってこなくて。
やっと帰ってきたのはあたしが送ってから4時間後。
「終電までには帰るよー」
いつもだったら「遅いなぁ、返事!」とか言うのに。
そういう事も言えなくて。
「そか、気を付けてね(笑顔マーク)」
今きっと。
あいつと会ったとしても、あたしは笑えるだろうと思う。
きっと、笑顔でいられるんだと思う。
笑顔の下の、いろいろな気持ちは隠そうとするんだと思う。
(昨日の続きです)
あたしは。
「分かった」
って、言った。
言った途端。
いっぱい、泣いちゃった。
酔っていたせいもあるんだけど。
大泣きしちゃって。
今の気持ち。
一生懸命伝えようとするんだけど、嗚咽でなかなか言葉にならなくて。
あいつは、そんなあたしを、ボーっと見てた。
いつもみたいに、よしよしなんか、もちろんしない。
何か、泣きまくったら、落ち着いてきて。
あたしは「帰るね」って言った。
なんだか、ここにいるのが、辛くなってきて。
でも、車のカギがなくて。
カバンも、ポケットも探してもなくて。
まさか、つけっぱなし?って思って、玄関に行ったら、靴もない・・・。
「ねぇ・・・。靴がない」
あいつは黙ったまま。
で、ぴーんと来て。
「カギも、H?」
それでも黙ったまま。
「返して。帰るから」
「無理。酔ってるじゃん」
「もう平気」
「平気って思って、去年の今頃、事故ったやつがここにいるじゃん」
「あたしは、平気!いいから返して!」
「返さないって」
返して。返さない。
この繰り返しになって。
あたしも、諦めて、座った。
「事故起こしても関係ないんじゃない?別れた人間なんだから」
嫌味をいいながら涙が出そうだった。
「嫌いで別れるわけじゃないしね。それに、うちから帰る途中で事故起こされたら、気分的に嫌じゃん」
「嫌いじゃないって、冷めたって言うのは、好きじゃないって事だよ?」
「いいから、酔いを醒ましてよ」
なんだか、その後はだらだら話してた。
「なんで歌って、なんていきなり言い出したの?」
「だって・・・」
クリスマスの数日前。
この歌詞の事で、こんな会話したじゃん。
って、話をした。
「だから、歌って欲しかったの。そばにいてくれなくなっちゃうけど。でも、この曲聞いて思い出して頑張ろうかなって思ったの」
泣くの我慢しながら。
一生懸命、あたしにしては、一生懸命言った。
「そういうこと。ちゃんと言ってくれなきゃ、分からないよね・・・」
頭をなでられた。
なんだか、びっくりして。
あたしは、あいつを見た。
あいつ、泣いてた。
何で?って思った。
「りりかが。わざとやってるのかと思ってた。わざと、俺に嫌われるように、最近わがままばっかり言うのかと思った。そう考えたら、なんだよ、それ!って思っちゃって」
「わざとは、わざとだと思う・・・。あたし、わがままいっぱい言って。それ聞いてくれるから、嬉しくて。つけ上がって・・・。愛されているから、わがままをいっぱい言っても平気なんだなぁって、勝手に思ったりして」
「寂しいって気持ちとか、そう言うのきちんと言おうよ。分かってあげられないよ」
「ごめんなさい・・・」
あいつに抱きしめられたら。
泣くの、我慢してた気持ちとかが。
一気に噴出しちゃって。
あとは、泣いて泣いて泣いて・・・謝って。
「りりかがそう言う風に思ってるって事聞いたら。俺のコンプレックスだとか、なんだとか、そういう風に言うの、どうでもいい事のような感じがしてくるなぁ」
あたしは、首を振った。
どうでもよくなんかないよ、って意味で。
「りりかぁ。ごめんね・・・」
「あたしも、ごめんね」
仲直り、したのかなぁ。
帰りはいつもどおり送ってくれたし・・・。
で、朝方帰ってきて、ちょっとだけ寝て。
起きたらあいつから着信あり、になってて。
折り返し電話したら。
「ねぇ。りりか、今日は夕方まで何もないでしょ?一緒に携帯買いに行こうよ!」
「へ?」
「カメラつきにしようよ。するって言ってたじゃん?ね。今から迎えに行くから」
「今からぁ?あたし今起きたの」
「なら、洗車してから行くわ。りりかも用意しておいて」
「あー・・・うん。分かりました」
30分位して、迎えに来た。
「買いに行く前に、ひなちゃんのとこで飯食おうよ。腹減ったし」
いつもどおりのような。
そうじゃないような・・・。
昨日の話は、どうなったの?
って、思ったりして。
妹の所で昼ごはんを食べて。
食べてるとき、あいつが言った。
「昨日は、本当にごめんね。なんだかね、ふてくされちゃったんだよね・・・。下手なの分かってて何度も歌わせてーとか思ったりしちゃって。それで、むかつくって気持ちが冷めたって思ったりしちゃって。俺って、考えたらすぐに言葉に出しちゃうから・・・。ごめんね・・・」
「ううん・・・。あたしもわがままだったし。最近、特に」
「いや、りりかはわがままでOKだよ、うん」
「それじゃ、だめだよー。わがままばっかり言ってたら、やっぱりだめだと思うもん・・・」
あいつは、何も言わないで、よしよししてくれただけ。
その後。一緒に携帯を買いに行く。
機種変更している間、二人でブラブラ電気屋さんを覗く。
「パソコン買わなきゃー。りりかと今以上に連絡取らなきゃいけないし。でも、メールだけのためにパソコン買うのもなんだから、安いやつでいいかなぁ」
「あ、ねぇねぇ、こう言うコンポ欲しいんだよねぇ」
「俺の部屋にこう言うのあるんだよー」
いつも以上におしゃべりなあいつ。
あたしの手を引っ張って、いろいろ話しながら見てる。
そんなのが、急に不安になる。
一昨日までのあいつと、ちょっと違う気がして。
携帯も、急に買おうなんて言い出して。
今まではあたしが欲しいって言っても、「まだ前変えてから10ヶ月たってないんだし、必要ないって」とか言ってたのに。
なんだか・・・。
なんだか、焦っているような感じ。
何を、焦っているの・・・?
いつもと同じだよ、と言われたら、そう思えるし。
そりゃ、喧嘩の後だもん。ちょっとは違うかも。と言われたらそう思えるし。
「短い時間の中で、焦っていろいろな思い出を作りたがっているのかもしれない。」
と考えたら、そう思えてしまうし。
あたし?
あたしは、ものすごく素直だったりする。
嬉しい。楽しい。
そう言うの、凄く素直に出せて。
ただ。
何かいつもと違う?って言う不安とか。
昨日の、真剣な顔しながら「りりか。お別れで」と言ったあいつを思い出すと、胸が苦しくなって。
もしかしたら。
あたしがあんなに泣いたから。
あいつは折れちゃったんじゃないか、折れてくれたんじゃないかとか。
そう言う事は、言えなくて。
いつもみたいに、気軽に言いたい事とか言えなくて・・・。
あたしは、バカみたいに微笑んでいるばっかりだった。
携帯が出来上がって、あいつが「まず二人で撮ろうよ!」って言って車の中で撮った。
その写真のあたしは、どう見てもちゃんとに笑えてなくて。
寂しい、笑い方で。
「このりりか、いつもより可愛くない!」ってあいつが茶化してきても。
いつもみたいに「うるさいなー」とか言えなかった。
「うん・・・可愛くないよね・・」
とか、言っちゃった。
「もう一度、ちゃんと撮らせて!」
って言われて、何か辛くて。
「ここ暗いから、今度明るい場所で撮らない?」
って言ったら、「そうだねー」って言われて。
帰ってきた。
帰ってきたら、この日記を通してお友達になった方から、プレゼントが届いてて。
あけたら、写真立てと入浴剤。
きっと。
彼の写真とか、子供の写真とか、入れてね、って送ってくれたんだろうなぁって。
でも、ね。
あたし、笑えなくて・・・。
写真撮れないんだ、ちゃんと。
だから、もう少し、箱の中で眠らせてね・・・。
でも、嬉しかったです。
ありがとう。
16時。
あいつと待ち合わせしてて。
あいつの家に行った。
あいつは、ちょっといつもと違った。
今、思えば。
「カラオケ、やっぱり難しいよ」
「うん、だから、歌わないでいいってば」
「いや、歌うよ。歌えって言ったの、りりかじゃん」
「でも、もういいよ、って昨日言ったじゃん」
「遅い。歌う」
「いいよ!嫌なのに、無理矢理歌ってもらっても嬉しくないし!今は歌って欲しいって余り思ってないし!」
「・・・。いいよいいよ、ってさっきから言うけど・・・。一度も謝らないんだね」
「昨日、メールで謝ったよ!」
「まぁ、昨日はね」
ため息つかれて。
あたしも素直に謝れなくて。
無言のまま。
時間が過ぎて。
先に、口を開いたのは、向こう。
「ねぇ。俺にだってコンプレックスがあるんだよ?」
「え?」
「俺は、歌が嫌いで。音楽の授業とかも嫌いで。それでも歌え歌えってりりかが言うから頑張って。その上、もう歌わないでいいよー?歌ってほしくないよー?何それ?」
「だって、嫌なのに歌うんでしょー?約束だからって理由だけで」
「りりかは、頑張ってね。とか言わないしね。あれして。って言ったすぐ後、やっぱいいや。とか。簡単にいうよね、人の気持ち考えないで」
「・・・。そう?」
「うん。だから、もう疲れました。うん」
「・・・。疲れた?」
「冷めました」
「・・・」
「俺にも限界があったりするからさ」
「・・・」
「俺さ、昨日もりりかと何度かメールしたけど、いつもみたいに楽しく無かったし。今日も、りりかとこうして一緒にいても、抱きしめたいって思えなくなっちゃったんだよね」
あたしは、口聞けなくなった。
なんて言ったらいいのか、分からなくて。
瞬きばっかりしてた。
「りりか。お別れで」
あの瞬間。
真っ暗になった気がする。
目の前が。
喉が、からからに渇いて。
あいつが飲もうと用意してたコップの中の日本酒を、一気に飲んだ。
水だと思ってて・・・。
甘えすぎてた。
あいつの優しさに。
調子に乗ってた。
不安なの、あたしだけだって思って。
わがままばっかり言って。
でも、あたしを愛しているからこそ、わがままも聞いてくれるんだね、なんて浮かれてた。
目が。
覚めた。
あいつにだって。
我慢の限界は、当たり前のようにある事。
やっと、分かった。
「カラオケ、だんだん憂鬱になってきた」
朝、こんなメールが来た。
あたしもちょっと反省して。
「そか、無理に行かないでいいよ。下手でもいいし、嫌なら歌わないでもいいよ」
「ううん、歌うよ。だって、約束したから」
「約束って言うか、あたしの一方的なわがままって言うか・・・ね」
「簡単に約束破ったら、相手にも簡単に破られちゃうから。俺は守るよ」
「何か。義務っぽくなってきたのね・・・」
「義務?て言うか約束は、守る。当然の事」
「そう・・・。無理しないでね」
歌うのが余り好きじゃない。
酔った勢いで歌う事はあっても、自分から歌うような人じゃない。
だから、あたしも反省した。
それをみんなの前で歌わせようとした、自分に。
夜。
「頑張ったけど、お前にはこの歌、会わないんじゃない?なんて友達に言われちゃいました」
って、メールが来た。
「そか・・・。ごめんね、無理させて」
いつもみたいに。
「無理じゃないよ」
って言うメールが来なかった。
あたしは、疲れちゃったのかな?って思っただけだった。
明日、会う約束してる。
久しぶりに、早い時間から会える。
それ考えたら、嬉しくて。
歌ってほしいと言った事や、あいつが無理矢理歌わされて疲れてることとか、忘れちゃってた。
毎日のように書いているけど。
あたし、わがまま。
嫌な事言って、困らせて、でも怒らない。
そんな、あいつに甘えてる。
甘えてると言うか。
そうやっている事で、笑って「仕方ないなぁ。りりかは」といわれる事で、あたしを好きなんだなぁなんて、実感しようと、大事にされているんだもん!なんて思い込もうと。
勝手な妄想して。
毎日のように、わがままいったり、愚痴ったりして、困らせて。
そうとう、あいつはストレス溜まったかなぁ。
「ねぇ、これ歌って」
あたし、不意に言い出した。
「これって難しいから、歌えないよー・・・」
「嫌。新年会で歌って」
あいつが実家に帰る前日。
仲間内で新年会が前々から決まってた。
そして、あいつには内緒で、送別会もしようって事になってた。
一次会はカラオケで。
そこで、歌ってほしいと言った。
歌詞が、好きなの。
その歌詞の一部分に「寂しいときは僕がそばにいるから」って言うのがあって。
その曲は聞いた事あったんだけど、歌詞はちゃんと聞いた事なかった。
ちゃんと聞いたのは、去年の12月半ば。
その時は、まだ実家に帰るとか決まってなくて。
あたし「この歌詞いいなぁ」ってあいつに言った。
そしたら。
「俺だって、いつだってりりかのそばにいるもん」
って言われて。
そんな会話から数日後のクリスマス。
あいつに、実家に帰る事を聞く。
だから。
この曲を歌ってほしかった。
でも、そんな事、言えない。かわいくないから。
「歌ってほしいの。どうしても」
「俺が歌下手って分かってるじゃん・・・。しかも、これ高いし・・・」
「嫌なの、歌って。今から練習しよう」
あたしは、何度も何度も、歌わせた。
何度も何度も「ここはこう言う音だよ」とかいいながら。
あいつは笑顔で。
「明日練習してくるかぁ」
って、友達とカラオケの約束してた。
そう、笑顔だったんだもん。
だから、あたし。
「上手になってきてね」
なんて言ったんだもん・・・。
つい。
「みんなの前で、下手なの、嫌だよー」
とか言っちゃったんだもん・・・。
あたしのわがまま。
いつもどおり、聞いてくれていると思ってたから。
Hへ。
いつも、いつも。
あたしのわがままとか。
愚痴とか、不満とか。
いっぱい聞いてくれて、本当にありがとう。
なのに。
あたしは、何も聞いてあげられないね。
あなたが望むこと。
たくさんあるだろうと思う。
なのに、あたしは、何もしてあげられないね。
いつだって、一緒にいたいし。
一緒にいなきゃいけないのに。
分かってるのに。
分かってるのに。
離れる事を、あたしは選びました。
きっと。
いつか迎えに来てくれる。
あたしも、きっと、いつかあなたのそばにずっといる。
そして、あなたの望む事。
あたしが出来る限り、かなえるから。
もう少し。
待っててください。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
たくさんメールありがとうございます。
全部読んでいます。
なのに、返事出さないでごめんなさい・・・。
もう少ししたら落ち着く予定です。
そしたら、返せるだけ返して行こうと思っています。
本当に、元気付けられるメールばっかりで、ものすごく嬉しいんです。
ありがとうございます。
あいつと、夕方から会う約束をしてたんだけど、妹が具合悪いーと電話して来たので、病院に連れて行く事に。
歩けそうもない・・・と言う妹。
あいつに言ったら、「俺が抱えれば済む話でしょ」と。
先にあいつを迎えにいった。
「りりかさん、お疲れ」
ウーロン茶を買っておいてくれたんだね。
「ありがとー」
「うん。これはひなちゃんの」
同じ500mlのウーロン茶。
あたしのは冷たくて、ひなのは暖かい。
「暖かいのと冷たいの、両方買ったの?」
「ううん、ひなちゃんのは家で湯煎で暖めてきた。熱あるんだし、暖かいほうがいいかなぁって思って」
こういうの、すごい気が利くなぁって思う。
いい子だなぁって。
思ったりする。
妹を病院に連れて行って、帰り際コンビニでゼリー買いたいと言う妹。
車の中で待ってるから、適当に買って来て。って。
あいつと二人で買いに行く。
ゼリーとヨーグルトと食べれるようになったら食べてもらおうって、サラダと。
「ひなちゃん、大丈夫かなぁ?」って凄く心配してくれてる。
妹を送った後、二人で話す。
いろいろ、話した。
車の中で。
遠くに行ってからの事を、重点的に。
大丈夫だよって、何度も言う、あいつと。
不安だもんって、何度も言う、あたしと。
「りりかは、わがままだなぁ」
「わがままでもいいもんー」
「分かった分かった」
本当、そう。
最近のあたしは、自分でも後で呆れるくらいに、わがまま。
なんだか。
わがままをたくさん言って。
あいつを困らせて。
困りながらも、笑って聞いてくれて。
そう言う事でしか。
なぜか、不安を消せない。
わがままを聞いてくれる。
イコール。
あたしへの愛情のバロメーター。
って訳じゃないのに。
だめだね、あたしは。
2003年01月09日(木) |
あたしはあたしが・・・ |
くたくたになって帰ってきたら、妹から電話。
「具合が悪いの・・・。病院に連れて行ってもらえないかな・・・」
彼はどうした?って聞いたら、仕事。
仕方ないよね、あたしと同じ飲食の店長って立場。
そりゃ、彼女が熱出しているので帰ります、とは言えないわね。
救急でやっている病院を探す。
熱は40度。
インフルエンザだな、これは・・・。
病院が終わって、妹を送って、帰宅したらあいつから電話。
「ひな(妹)がね、熱出して。インフルエンザだったの」
「ほんとー?平気かなぁ?」
「仕事終わったら彼も来るみたいだから」
「りりかー、明日会わない?」
「え?何で?」
「なんとなく、会いたくなったから」
「うーん。考えて見る。てか、明日の疲れ具合によるなぁ」
「分かりましたー」
疲れ具合も何も。
会いたいくせに。
あたしだって。ね。
最近、素直に「うんいいよ」って言えなくなった。
もう余りゆっくり会う時間がないって分かったときから。
素直に言えなくなった。
たぶんね。
会うたびに、減って行くのが怖くてたまらない。
帰り際に、悲しくて悲しくて・・・仕方なくなるんだ。
今。
あたしは、あたしが嫌いです。
大嫌いです。
素直じゃない。
残った時間、いっぱい会いたいんだ!って素直に言えない、あたしが。
大嫌いです。
今頃あいつはテスト中だなぁって思ってたら。
メールが来た。
「やっちゃった。寝坊しちゃって、遅刻しちゃった・・・」
・・・。
は?
「で?で、どうなったの?」
「もちろん、受けさせていただけませんでした」
「はぁ???どうするの??」
「レポートとして出せばいくらかは違うかも、と言われた」
「ばかーーーーー!!!!」
昨日は、「明日テストだから早く寝るね」ってメールが12時くらいには来てたのに・・・。
何をしてたのよ??
「あの後、3時くらいに目が覚めちゃって・・・。んで、7時にまた寝て・・・」
「起きれるはずないじゃんー」
「はい・・・。ごもっともです」
とりあえず、うちでネットで調べる事になった。
その、レポートの資料とやらを。
「すげー、こんな事も分かるんだー」
とか感心してるし・・・。
挙句、ネットゲームしたいとか言い出すし・・・。
もちろん、却下。
「あ。これりりかの日記だー」
あたしのお気に入りを勝手に開けてるし・・・。
バカ!
ほんっとうに、バカなんだから!!!
もう知らない!
ばかばかばかーーー!!!
とか思ってたけど。
真面目に何か書いているあいつを見てたら。
バカだけど、頑張れーって思った。
夜。
昔からの友達と、カラオケに行った。
この友達のお子さんも、あたしの子供たちと仲よしだった。
うちの子供たちより、ちょっと下の1年生。
その、お子さんも一緒に来て。
「らいらは?○○(長女の名前)は?○○(次女の名前)は?」
って、聞かれるたびに、なんて答えていいのか分からなくて・・・。
1年生の子に分かるような言葉なんか、全くみつからないし。
「パパと一緒にいるの」
「お留守番してるんだ?うちのパパも今日は一人でお留守番」
お留守番とは・・・違うんだけど・・・。
「うーん、今ね、おじいちゃんのおうちで暮らしているのね」
「そうなんだー。遠いの?」
「そうだねぇ。電車で2時間くらい掛かるかなぁ。2時間って分かる?」
「まだ時計の勉強分からないの」
「そか・・・、そうね、遠いよ。遠い所に住んでいるんだ」
「なら、転校したんだ?」
「うん、そうなの」
「私のクラスにも転校生がきたんだよー」
そこから、違う話になったので、あたしはちょっとホッとした。
久しぶりに小さい子とたくさん会話した気がした。
帰るとき、その子が言ったんだ。
「また、会えるよね?」
「誰に?」
「ライラたちに」
あたし、何も言えなかったよ。
友達が、あたしの変わりに。
「うん、きっと会えるよー」
って言ってくれた。
それはきっとね。
あたしに向けて、だね。
ありがとね。
お休みの一日。
友達とお茶して。
夕方から、あいつとの約束。
今日からあいつは学校で。
テストの予定とかを聞いてきたと言うから、二人でそれを見て。
二人でくっついてたら。
久しぶりに、いや違うか、元旦ぶりにそう言う空気になって。
避妊に失敗しちゃいました。。。
抜けちゃったらしいです。。。
でも、基礎体温だけで見ると、一応安全日だし、大丈夫だと思うよ?って言っておいた。
あいつは「ちゃんと結婚するんで」なんて言ってたけど。
もし。
もし、妊娠したら?
あたしは産まない。
産めるはずもない。
だから。
失敗なんだ。
2003年01月05日(日) |
今考えてること、だらだらと。 |
分からない事ばっかりで。
泣いてばかりで。
不安だらけで。
前に進めない。
今日泣いてて、明日も泣いてて。
きっと、ずっと先のあたしも泣いてる。
あたしは、一人ぼっちなのかもしれない。
元旦以来、3日ぶりに会った。
あたしの仕事が終わった後。
あたしたちは毎月、あたしの勤務表を見ながら会う予定を立てたりするんだけど。
今月はたくさん仕事が入ってて。
そしてあたしが休みだったりしても、あいつがテストだったりで。
なかなか二人の予定がかぶらない。
「俺、テストでも終わった後とかに会ったり出来るよ?」
「やだよ、テストの勉強とかもあるでしょう?」
「平気平気」
「平気じゃない!」
離れて暮らすことに、大きな不安がある。
だけど。
仕方ないって諦めている、あたしがいる。
「もし。もしあたしが全く独身で。もちろんバツイチとかじゃなくて、だったらどうしてた?」
「何がどうしてた?」
「こうやって実家に帰る事になって。どうしてた?」
「あー。りりかがここに残らなきゃいけない理由もなかったら、て事?」
「うん」
「結婚してもらうかなぁ。それで連れて行く」
「あたしが嫌だって言ったら?」
「それでも説得して連れて行く」
「そか・・・」
それって、我慢させているんだよね。
本当は、一緒に行きたいのに。
あたしが子供たちと今以上に離れるの、嫌だって言うから。
我慢してくれているんだね・・・。
「なんでそんな事聞くの?」
「なんとなく」
「いつか、でいいよ。いつか来れる時になったら、来てくれたらいいよ。その前に俺が我慢出来なくなって、迎えに来ちゃったらごめんね。その可能性は強そうだなぁ」
「うん・・・」
「寂しい?」
「寂しいよ」
「頑張ろうね」
「うん・・・。寂しさが爆発しちゃったらどうしよう」
「そしたら、爆発する寸前に言ってよ。会いに来るから。それで、消すようにするから」
「でも、仕事とかで疲れて来れなくなったりするんじゃない?」
「俺、若いから!」
「何それ、嫌味?」
「そう聞こえちゃったー?気にしないで」
「気にするよー」
「でも・・・。ごめんね」
「え?」
「そばにいてあげられなくて。俺がここにいたら、そんな不安なかったのにね・・・」
ここにいたら。
あいつがここにいたら。
きっと、不安はなかったのに。
そうだよ、ここにいてくれたらよかったのに。
なんて、わがままな考えが浮かんでくる。
離れても平気とか。
自分たちは強い絆で結ばれているとか。
そんな風に思ったりしたけど。
もともと前向きじゃないあたしは。
不安で不安で、仕方なくなってしまう。
不安に潰されそうになる。
昨日から仕事は始まって。
あたしは今日も朝から晩まで仕事。
今月はたくさん仕事が詰まってる。
何でかと言うと、あいつはテストが今月は詰まってて。
だから君がテストを頑張っている間、あたしも仕事を頑張るねって。
先月の始め、言ったんだ。
その代わり、2月はたくさん休みを取るから、どこか行こうね。って。
まだあいつが実家に帰ると決まる前に、話したんだ。
けど。
もう今月しかなくて。
今月しか、自由に会う事が出来なくて。
出来上がった勤務表を見て。
ため息をついた。
会える日が、もう数回しかない。って。
だからって、休もうと思えないあたしは不器用で。
休もうと思えば休めるのに、それが出来ないあたしは、バカだなぁって。
ちょっと思った。
残り少ない時間を。
大事にしよう。
・・・。
別に終わるわけじゃないんだし。
昨日(1月1日)の話。
ホテルを出たあたしたちは、初詣に行った。
雪はすぐやんじゃって、薄日もさして来てて。
「お賽銭っていくら入れるか知ってる?」
あいつが聞いて来た。
「え?五円じゃないの?」
「15円だよ」
「何で?半端な・・・」
「充分ご縁がありますようにって意味だよ」
「あー、そう言うのなら聞いた事ある。あたしの知ってるのは五円が二個で二重にご縁がありますようにってやつ」
そんなどうでもいい話しながら、並んでた。
参拝するのに、凄い長蛇の列で・・・。
「何のお願いする?」
「言ったら意味ないでしょ」
あたしの願いは・・・内緒です。
そして、また並んでおみくじを引いた。
二人とも吉。
同じ吉なのに、微妙にあたしのほうがいい事が書いてあったような・・・。
「待ち人」
って言う項目に。
あたしは。
「遅れますがやってきます」
あいつは。
「来たいのですが、問題がある。当方から訪ねなさい」
何か、微妙に合ってて。
笑ってしまった。
木に、結ぶとき、あいつが高い位置にある枝を引っ張ってくれて。
他の人に落とされないようにって。
下にいっぱい落ちてたしね・・・。
そのまま。
あたしは実家に。
あいつも実家に。
帰った。
待ち人。
来るのかなぁ。
2003年01月01日(水) |
あたしの恥ずかしい部分 |
あいつの。
あたしが大好きなあいつの胸の上で、心臓の鼓動を聞きながら寝た。
あたしがあいつの胸に頭乗せて、そのまんましばらく会話してた。
「それでね、こんな事があって・・・」
「・・・」
「でね、びっくりしちゃったー・・・」
「・・・」
「?聞いてる?」
「・・・」
頭あげて見たら、寝てるんだもん。
あたしの頭触りながら。
でもね。
すごく、ほんわかした。
あたしは、そのまんま胸に頭乗せたまま。
重かったらごめんね。って心の中で言って。
寝ちゃった。
気がついたら、あいつに髪の毛触られてて。
いつの間にかちゃんと枕に頭乗せて寝てたんだけど。
あたしが目を開けたら、あいつは起きてて。
「おはよう」
って、笑った。
何か、寝顔見られた事、恥ずかしくて。
「見ないで!」とか朝から怒鳴っちゃうし。
朝起きたときに、あいつと目が合うって事が。
一日の、一年の最初の朝に、あいつと一緒って言う事が。
ものすごく不思議で。
ドキドキして。
でも嬉しくて。
でも。
冷静を装って洗面所で顔を洗った。
顔を拭いてたら、あいつが大きな声で。
「りりか!!!ちょっと来て来て!見て!!!」
あたしはびっくりして、「何???」って走って行った。
そしたら。
窓の外はうっすら白くなってて。
まだまだ降り続いている雪と。
あいつのはしゃぎ様。
「雪だよー。寒いはずだねぇ」
って、窓開けてるし・・・。
「そりゃ、冬だもん。窓開ければ、雪じゃなくても寒いわね」
「あ、そか」
「ばか・・・」
不思議な光景。
高い所から見るから、上から降ってくる雪が、下に落ちて行く。
当たり前の事なんだけど、何だか不思議な光景で。
あたしがいつまでもそれを見てたら。
あいつが電動カーテンのボタンを押しちゃって、閉められた。
「見たかったのにー」
「抱かせて」
「・・・え?」
「お願い。りりかを抱きたいの」
「は・・?朝だよ・・・?」
「知ってる。お願い」
昨日はそのまんま寝ちゃったあたしたち。
あたしたちは、本当にエッチする事が会う回数とかと考えると、少なくて。
あたしが嫌がる事も関係するけど、あいつもそんなにしたいしたいって言うほうじゃなくて。
我慢しているだけなのかもしれないけど。
「だめ。って言ったら?」
「お願い・・・」
「何で?どうしたの?」
「分からないけど、すごく今りりかを抱きたくなっちゃって」
「あー。朝立ちだ?」
こんなときにも、こんな風に冗談ぽくしか返せない。
こういう真剣なの、苦手・・・だよ。
「ううん。そういうんじゃなくて。今雪見てるりりかを後ろから見てたら、すごく。なんだか。うまく言えないけど・・・愛してるなぁって思ったから」
黙ってた。
あたしは。
それが、あたしの返事。
あたしが返事しないときは、OKの事だったりする。
それが、あたしたちの中では通ってる。
カーテン越しに明るい白い光が入ってくる。
だから、部屋の電気を消しても見える。
から。
あたしは凄く恥ずかしがった。
あたしが胸とか隠そうとすると、手をつながれる。
「恥ずかしいんだって・・・」
言おうとすると、あいつの口であたしの口を塞がれる。
口が自由になって。
あたしがまた「恥ずかしい」を言う前に、あいつが言った。
「俺は、りりかの何を見ても嫌いになったり嫌になったり出来ない自信があるから。だから、見せて。全部見せて平気だから」
いつものあいつじゃない、目だったから。
何か、あたしはちょっとだけ怖くなった。
いつもの優しい目の。
あいつじゃないから。
反論、出来なくなった。
お腹を何度も触られて、ゆっくり舐められた。
「これでしょ。妊娠線て」
指でなぞられる。
「たぶん・・・」
「こんなの、気にすんなよ」
だって・・・って言い掛けてやめた。
「りりかはりりかだよ。大丈夫、関係ないよ。俺が世界一大事にしている人だよ」
何度も何度も、触られた。
そして、何度も何度も、あいつはキスしたりした。
妊娠線に。
あたしは、変な感覚になってた。
あたしの体の中で。
あいつに見られたくない部分。
恥ずかしい、部分。
けど。
あいつにとっては、関係ないのかもしれない。
あたしが。
あいつの体にもし妊娠線がついてても(あるはずはもちろんないけど)関係のないように。
なにより。
世界一大事にしている人。
そう言われた事が、ものすごく嬉しくて。
一瞬だけどね。
遠距離だとか。
寂しいだとか。
妊娠線があるだとか。
そういう事全部、いろいろな事全部の。
不安が飛んだ。
ホント、一瞬。だけ。
きっと、時間がたったらまた、不安だらけモードになるんだろうけど。
そしたらさ。
また、あたしを安心させて。
あたしから不安を、消してくれるよね。
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