enpitu




   

 


オーバードライブ  2011年11月13日(日)
正義が蛇となって絡みついてくる。コンクリートの巨搭に逃げ込んだら、ヘリコプターが大挙して追いかけてくる。運命の女は既に指令をくだしたのだ。通報は為された。おれは砕かれるのを待つだけになった、咲いた後の花は散るだけなのだが、この程度が花だったのかと思うとひどい人生だった。誰のための花だったのか、なんて、考えたくもない。そうして、狙撃舞台は開き、照明が炊かれ、やけくその円舞が始まった。脳髄を引き落とす鋸の音色が、禁じられていた曲をやった。人類を苦しめてきた厳しい音楽だった。犯されながら泣いて許しを乞うが、あの女はおれの性分を知っていて、おれが、解放された途端にまた自堕落に適当に自分を守りながら生きるのだと知っている、ゆえに、今度は本気で苦しめるつもりだ。遺伝のらせんにまで悲劇の爪痕が刻まれるぐらいにおれの心や脳を切り刻む。そうすればおれは、電撃的な鳴き声を発して、感電したバッタのように飛び跳ね、珍しい踊りを踊るのだと。あなたのオーバードライブを見せて。あの女はくそったれなことにそういうことを言った。端末の向こうで笑いながら。どうして世の中の端末はこんなに画面がでかくなってしまったのだろう。どうしてこんなに美しく鮮明な画面になってしまったのだろう。どうして同時に通信し合って繋がりあえるシステムが横溢しているのだろう。両目を閉じることも許されないまま、全神経を引きずり出されてイヌのように引き回され、おれは、たんまつの向こう側で嫣然と笑う、あの女に、最後の踊りを、オーダーされ、そして、踊ろうとしている。それも、つまらなければ、虚しく燃やされるか踏みつぶされて脳髄とともにあらゆる意識を失い、ここから消えるのだ。さらば、世間様。おれは、いずこへ。




My追加
新サイトでアート、珍スポットのレビュー特集中!

★Link『マーでございます』★




writer*マー

★↓729参加・総合リンク↓★

☆テキスト・アート☆

零壱【01】ランキング

☆☆ダークゾーン☆☆

エンピツ