誰が教えたのか、運命を元通りのかたちへ復元する方法を、知っている者がいるらしい。二つに割れた茶碗を繋ぎ合わせるというのならともかく、既に過ぎ去ってしまった運命など、砕け散った破片が風に吹かれ、波に攫われ、手元に大部分が残っていないも同然なのだ。なのに、運命を回復させることができるのだという旨を告げる輩。さて、一方で、こいつらを駆逐することがひとつの目標となりつつある輩。復元の夢を見るぐらいなら、夢を語る語り部を世界中から抹殺することのほうを選ぶといった具合だ。目には見えない攻防戦をしばし静観していようと思う。 |