もうここからは特に可能性もないということも分かっているというのに。予定調和が蔓延し始めた。週間天気予報が支配している安定した帝国。飲む酒の銘柄から休日の行き先からワックスでキメる髪型、もうどうしようもない。iPODが指し示すリズムと音階はすでに寸分違わずパターンに嵌まっているのだ。彼女は言った。「まだあなたには可能性があるよ」と。だが彼女の言葉の裏側はこう言った、「もうあなたには化膿しきっているよ」だ。それでもいい、それでもいいと言い切れるほどの加速力があればよかった。残念、エンジンは取り外して置いてきた。調和と安定っていうやつだ。敗北のない、そして勝利もない世界が数年前のおれが望んだものだったらしい。おかげで徒歩で歩かなきゃいけない。するとこの帝国が煩わしくても、疑問でも、余所の国が素晴らしかろうとも、どうにもならないんだな、今日も同じ、明日も同じ。それってどうなんだ? ほんとにそうなのか? 疑問のお便りは受付済みだ。新しい音楽、新しい物語はないのだろうか。ないんだな、これが。では、新しい彼女は。ないんだな、これが。ないのだ、これが。やべ、嵌まっちまった、パターンだ。 |
writer*マー | |
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