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鈴木君たちのシュールな一日
信井柚木
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2002年09月26日(木)
『いつもと違う』(笑)同窓会

 時期は高1の冬です。
 えー。
 今日はいつもと違ったテイスト。
 違いすぎるので、読みたくない人は読まないほうが良いかも。
 というか、リク?ですし(笑)

−−−−−−−−−−

 田中安田市立 田中安田第三中学校、三年一組の第一回目同窓会が開かれたのは、中学を卒業して九ヵ月後 ―― 卒業と同年の年末、という実に気の早い話であった。

「お前どうするんだ?」
「ああ、その日はどうしても外せない用件があるからな。後から行く」
「へぇ・・・そうか。じゃ先に行っとくぞ」
「そうしてくれ」

 という会話を交わしたのが前日のこと。
 用件を済ませ、元級友の親が経営する喫茶店へと向かった鈴木が目にしたのは ――

「おそいぞ、すずきー!」
「・・・・・・」

 佐藤を取り囲み、なぜかきゃあきゃあと盛り上がっている女子たちと、上機嫌ですっかりできあがっている佐藤であった。
 幼馴染の前には、空になったワンカップが三本。そして今もその手に一本。
「・・・」
 どうやら、誰かがアルコールを持ち込んだらしい。なにをしている未成年ども。
 しかも、

「なぜフリル・・・」

 びらびらのブラウスとスカートを装備させられている佐藤少年。そしてたった今、リボンが追加装備された模様。
 本人素面なら、このような格好に仕立てさせるなど到底許すものではない。

「あ、鈴木君ー! 見て見て、似合うでしょー!」
 という女子からの問いかけに、
「―― そうだな」
 としか言いようがないというのは、どうしたものか。

「あははははは、すずきへんなかおー!」
 ピンクのリボンで髪を結われたまま、大笑いして鈴木を指差す佐藤。
 いつもの突っ込み屋?な姿は影も形もない。
「佐藤、お前酔ってるな」
「そうかー? あーうま・・・しちゅーおかわりー」
 ニコニコと空になった皿を差し出す佐藤。
 それこそ、何かのタガが外れたように笑顔全開である。
 鈴木はこっそり息を吐いて、机の上に並んだ空のカップをもう一度確認する。
 空は三本。
 そして、手の中にはカップに残り三分の一。
 長年の付き合いから佐藤の酒量を把握している鈴木 ―― だからお前ら未成年じゃ・・・―― は、シチュー皿を抱え込み黙々とスプーンを動かす幼馴染へ控え目に声をかける。
「佐藤、お前そろそろ ―― 眠くないか?」
「・・・しちゅー、ぜんぶたべたらねる」
「いや、ここでは寝るなよ?」
「・・・うごくのめんどくさい」
「・・・・・・・・・・・連れて帰ってやるから」
「ん、わかった」
 天井を仰いだ末の鈴木に、スプーンをくわえたままで佐藤がコックリ頷いた。
 すっかり退行している佐藤に遭遇するのは、年に一回程度とはいえ ―― 毎度手間がかかる。大弱りするようなだだをこねないだけ、助かるかもしれない。
 慣れもあるが、いつも色々巻き込んでしまう・・・らしいことへの礼もある。
 一応。
 ・・・よくわからないのだが。

 そうして、ほとんど意識のない佐藤を背負う鈴木に、元クラスメートの一人がしみじみと頷いた。
「お前らって、卒業しても変わんねぇよな。相変わらず名物コンビだぜ」
「そうか?」
「ああ。お前らの面倒って、やっぱお前ら同士にしか見れねぇよな」
「・・・俺たちはそこまで問題児か?」
「いや、問題児じゃねぇよ。ほらあれだ・・・一歩違う世界の人間ってやつだな」
「・・・・・・」
「おっ、気をつけて帰れよ」
「ああ、またな」
 軽く手を上げて店を出て行く二人を見送った少年が、ふと呟く。

「で・・・鈴木(あいつ)何しに来たんだ? ていうか、そういや佐藤あのまま帰ったな・・・まいいか」