話は昨晩から始まる。 午後九時半。ハナを寝かしつけ、猫たちのもとへ。
水を替え、トイレを清掃し、遅い晩ご飯を食べるルルのトレイを整えていると、どうも様子がおかしい。 猫たちがいない。でてこない。 そこで一匹ずつ捜索していった。
ベッドの掛け布団の下に潜り込んでいたのがルル。ダイニングテーブルの下に潜んでいたのがキキ。ところがこの雄たちが何かひどく緊張し、警戒のポーズをとり続けるのだ。
さて雌が二匹とも見つからない。 するとお客様用ベッドの下の隅にうずくまるピピを発見。血の付いた爪が落ちている。 喧嘩か? ベッド下からピピを引っ張り出すと、案の定、左前足の内側の大きな爪の根本から出血していて下腹部と足が真っ赤。床も。ベッドのシーツも。
いやがるピピを抱え洗面所に連れて行き、体を洗った。 血はもう止まっていて、乾いていたのだけれどタオルを何枚か真っ赤に染めてしまった。
それが終わり三匹がベッドルームに集合。 後もう一匹、チャチャがいない。
かなり探して発見したのは折りたたみ座卓の裏。かなり怯えていた。 傷はない。
さて何があったのか。
喧嘩なら猫の毛が舞うほどに散らばっているのだけれど、それがない。 四カ所に置かれた水を入れたトレイのうち二つがひっくり返っていた。 それを拭きながら原因を考えていた。
ピピが何かでパニックになったのは確かなようだ。部屋を見ていくと壁紙にきつい傷が付いていた。爪研ぎのようなレベルではなくしがみついたような跡だ。しがみつき、落ちていったような。
うーん、わからない。マーロウ氏に相談する訳にもいかず、ピピの身に何か起こったのだろうと想像するのみ。 猫は時として人知を超えた行いをすることがあるのだし、と。
翌朝、たぶんまだ血糊が体についているだろうとピピを見ると、見事に真っ白なおなかと足だ。 すばらしいグルーミング!! 何かに怯えていた猫たちも平穏に戻った。
ハナのところに戻り、排泄の世話と散歩をし、ベッドに寝かせて落ち着いたところで、ぼく自身の指の治療に出かけた。 老先生によるガーゼ交換る腫れはだいぶ退き、痛みもないのだけれど、傷を開放しているので時々ひりっとする。
ほんの少しだけ膿が残っていて、それを掻き出す。痛。 だけどかなり快方に向かっているという自覚がある。 「もう少し毎日くるように」「先生、明日は休みです」。
帰宅してから、ハナの定期診断へ。前回、これで指を噛まれたのだ。
体重微減。体温少し低め。 点滴とビタミン注射。そして問題の腸の具合…。 「あ、今回はいいです。少ないし、柔らかい」 ということでおなかをごしごし「しごく」こともなく帰宅。
痛くなかったのでルルもご機嫌。 動物病身への行き帰りに、さわやかな風を満喫もしたし。
来週も治療。 その時にはぼくの傷がふさがりだしているといいのだけれど。
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