岩波文庫の「フランス短編傑作選」山田稔訳を読み続けています。ほとんど手もとに置いていつでも読めるようにしています。
フランスでは圧倒的に長編が多く、短編小説は編集者から冷遇されてきた歴史があります。ようやく1990年頃から復興の動きが出て、「モーパッサン賞」がもうけられもしました。
アメリカやイギリスにはショート・ストーリーとかサドン・フイクションという言い方が定着していますが、フランスでそれにあたる言葉は「コント」になるようです。「ヌーヴェル」という言葉もありますがそれは中編以上を意味するようですね。
「コント」だから、などと書くと見え透いたように聞こえるかも知れませんが、 フランスの短編(ほとんど掌編ともいえる長さが多い)は「芸」を磨かねばならない、と訳者の山田さんは解説で強調されています。 文芸つまり「文章の芸」として。 ル・モンド紙によれば短編は「フィクション芸術のエッセンス」であり、それにふさわしい表現を目指して芸を競うのだ、と。
たしかに読んでいると英米とは趣が異なる作品が目立ちます。 最初にいいな、と思ったのはマルグリット・デュラスの「大蛇」でした。細やかなひんやりとした感情の描写がとてもよかった。 それから読んでいくうちに次々に贔屓にしたくなる作品が見つかっていきました。 ヴァレリー・ラルボーの「ローズ・ルルダン」、ジュール・シュベリビエル「ヴァイオリンの声をした娘」、ミッシェル・デオンの「ジャスミンの香り」 ロジェ・グルニエの「フラゴナールの婚約者」、アルフォンス・アレーの「親切な恋人」などなど。
以前から「読むことは書くこと」とぼくは信じていて、したがって読むことで書くことも豊になると信じています。
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