江國美術館を「読んだ。」 といっても正式には「日のあたる白い壁」という江國香織さんの画に関してのエッセイ集である。 「江國美術館」とはこの文庫本の帯の文句。
画のセレクションはもちろん江國さんで、そして江國さん独特の言い回しが練り込まれた文章がとても「読ませる。」
ぼくは「画が語り出す物語」というのが好きだし、見ていると頭の中に物語が渦巻き出す画が好きだ。
江國さんがあげている画家たちにはぼくの好きなの画家と重なる人もいた。 ゴーギャン、ホッパー、ユトリロ、マティス、オキーフ、ワイエスなどがそう。特にホッパーがあげられていたのはうれしかった。
その画家の、あまり知られていない作品(それは画家につけられている代表的な「作風」のイメージとかなりずれているものなのだけれど)もいくつか取り上げられていて、すぐにそれらも好きになった。
たとえばゴーギャンの「オレンジのある静物」。あるいは小倉遊亀「家族達」。 特に小倉さんの人物画の色遣いの新鮮さには驚いた。それに画の持つ生命力の強さとみずみずしさ! 江國さんはオキーフになぞらえていたけれど、ぼくはマティスを感じた。
画を眺め、文章を味わう。贅沢な時間を過ごせた。うれしい。
画像は文庫本。上に載っているのは集英社文庫の「ナツイチ」フェアの対象作品を一冊買うともれなくその場でもらえるストラップ。 全部で八種類あって、ぼくがもらったのは「読書をしながら寝てしまった蜂」のもの。ケータイにつけないで机の上に置いてます。
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